【シトロエン ベルランゴ 改良新型】より広く訴求できるフロントフェイスに

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ステランティスジャパンはシトロエンのMPV、『ベルランゴ』をマイナーチェンジした。新型のターゲットを日本車にまで広げた理由は何か。

◆シトロエンブランドの大黒柱
ベルランゴは2020年の日本導入以降、「2024年8月までに累計登録台数は1万台を記録した」と話すのは、ステランティスジャパンシトロエンプロダクトマネージャーのディミトリ・オック氏だ。これはシトロエンブランドとしてはかなり大きな数字で、「ベルランゴ導入以前は年間で大体2000台から3000台程度。しかし、導入後、には5000台規模(2022年)にまで成長した」とシトロエンブランドの大きな柱であることを強調。

また、ベルランゴが属する輸入CMPVセグメントをフルイヤーで見ると、「2021年から2023年までトップシェアを誇るクルマに成長した」とは、ステランティスジャパンシトロエブランドマネージャー中山領氏のコメントだ。

ベルランゴの購入理由は大きく5つあるという。ひとつは「MPVで求められているラゲッジルーム、収納性はかなり評価されている」。そして、「ベルランゴの独特なポイントとしてエクステリアデザインとディーゼルエンジンというこの2つは特に大きな強み」(オック氏)と分析。これら以外にシートアレンジやシート数。ニーズに合う機能性などが挙げられた。

◆シトロエンの新しい顔
こういった武器をもとに、新型ではフロント周りのデザインが近年のシトロエンのデザインに変更されるとともに、インテリアの視認性やADASの機能が充実。特に購入理由で挙げられたデザイン面では、2022年のパリショーで発表された『OLIコンセプト』がモチーフとされ、オック氏は、「クロームパーツが少ないなど、ミニマリズム的なデザインが大きな特徴」と語る。また、ライトシグネチャーは「フックのような形で3つのパーツで構成され、LEDのテクノロジーも採用することで、フレッシュかつ性能も向上」。

また、エンブレムもシトロエンの最新のものを採用するとともに、フォグランプ周りに細い縦棒のカラーアクセントが追加された。

なお、今後日本にも導入されるであろう『C3』や『C3エアクロス』などもこのフロントフェイスの印象を踏襲するという。

◆日本でテレビCMも作成
さて、今回のマイナーチェンジにおいて、メインターゲットを「日本車ユーザー、特に現在日本のミニバンをお持ちで、輸入車もちょっと検討してみたいなと思っているお客様」にも広げたと中山さんはいい、そういった層は「ある一定数いることは確認している」とのこと。

その特徴は大きく3つ。1つは、「クルマをただの移動手段ではなくて、自己表現するための大きなツールと捉え、人とは違うクルマに乗りたい、心から気に入ったクルマを買いたいというニーズがある」。その一方で、「ミニバンは生活に根差したクルマであることから、実用性も非常に気になる人」。そして「価格は慎重に見ている」という意識が強い層を狙うという。

具体的には、「大体30代から40代の会社務めの方で、子育てをまさに今されている方。小学生、もしくは未就学児くらいのお子様が一人か二人いる家庭」。そして、アウトドアを含めた趣味を持っている人。実はベルランゴユーザーのうち、「56%ぐらいがキャンプをしたことがある、あるいはしているというデータもあることから、ここは欠かせない趣味嗜好なので、そこは訴求していく予定」と中山さん。つまり、「輸入車の中でのユニークなデザインでありながら、家族みんなで快適に使いやすいという実用性を持ち、アウトドアや非日常のシーンでも使いやすい機能を担保していることをポイントにしている」と説明した。

そこで、ステランティスジャパンとしては、訴求するためのビジュアルを、「グローバルのものを使っており、これはグローバルレベルでプロダクトの統一した認知を得るのが目的」。同時に、「日本のお客様に親しみを込めて受け入れてもらえるアプローチが必要だと考え、特例として日本側でテレビCM素材をはじめとした動画素材を制作。“ベランゴの歌”とともに楽しんでほしい」とコメントした。

◆フロントフェイスの変化がキー
ではこれまでのベルランゴはどういうアピールをしてきたのか。中山氏は、「どちらかというと趣味を軸としてピンポイントで訴求していく感じ」だったという。まさにこういう趣味を持っている人、あるいは、そこに興味を持っている人などに向けた戦略的なアプローチだった。しかし、「今回は割り当て台数が増えることでより広く訴求をしたい」という。

そこで新型の導入戦略のために調査をかけると、「フロントフェイスの変化がポイントとなった」とのこと。中山さんによると、マイナーチェンジ前のフロントフェイスは、「割とクルマが好き、フランス車が好きなどある程度クルマに対して素養のある人」。一方新しい顔が好きな人は、「クルマは必ずしもすごく好きではないけれど、見た目が格好良い、シュッとしているねというコメントが聞かれた。クルマ好き濃度からすると少し薄いかもしれないが、そのぶん広く獲得できる可能性が高い」と予測。そこで日本製作のCMやムービーなどで、日本ユーザーにもアプローチすることにしたのだ。

一方、アウトドアレジャーというキーワードだとプジョー『リフター』やフィアット『ドブロ』との差別化も気になるところ。その点について中山さんは、リフターは。「今回のリフターの改良を踏まえ、おしゃれ系で、スタイリストやカメラマンなどそれなりに大きな機材があり、そういう人たちが街中で使うようなイメージ。そこから、スタイルコンシャス、おしゃれコンシャスな人たちの使えるMPV」という。

ベルランゴは、「ファミリーで、かつ場所としてはアウトドアとか郊外」だという。そしてドブロは、「(中山氏の個人的なイメージでは)まさにシンプルのまま、まるで商用車のように使うというイメージ」と棲み分けがより明確になったようだ。

実はリフターは、デビュー当初は三菱『デリカ』などと比較検討されたこともあった。改良前は、「フェンダーアーチが付いているなどで、アウトドア感が強かったが、グローバルとしてプジョーはスタイリッシュ方向に舵を切っているので、それを受けていまのデザインになった。本国としても街中、シティのスタイルコンシャスな人たちに向けている」とコメントし、日本だけでなく本国でもよりはっきりとした差別化が図られたことを語った。

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