サメ肌アルミシートで空気抵抗減、きしめん状CFRPで軽量化! GRヤリスDATに新技術…スーパー耐久 第6戦 岡山
スーパー耐久シリーズの第6戦が岡山国際サーキット(岡山県美作市)で、10月26日と27日に開催された。
トヨタは「#32 ORC ROOKIE GR Yaris DAT concept(GRヤリスDAT)」で出場。今回、同車は大きく3つの改良を行いレースに臨んだ。うち2つは新たな技術が投入されている。
まず注目したいのが、空力性能を向上させる「サメ肌ミラー」だ。サメの肌は水中での抵抗を減らし速く泳ぐためにザラザラとしているが、これを模倣した微細な凹凸をアルミフィルムの裏から型を押し当てるインクリメント工法で実現。サイドミラーの外側に貼り付けている。これによって細かい渦を発生させ、目に添わせてスムーズに風の流れを作ることができる。風洞試験での効果を見た後に、今回の岡山へ投入。ヴォルテックスジェネレーターと同様の原理で境界層(空気)の剥離を抑えることでCd値を0.0005低減しており、岡山ではストレートでの最高速度が1km/hアップした。『GRヤリス』チーフエンジニアの齋藤尚彦氏は「自然界の空気の流れと風洞のキレイな空気の流れでは単純比較できないが、一先ず効果が出ている」と話す。
このような生物の構造や機能、仕組みを活用した「バイオミメティクス(生物模倣)」技術は、自動車以外の分野も含め様々なところで開発、採用されている。前述のヴォルテックスジェネレーターはフクロウの羽の構造にヒントを得て誕生したものであり、他にもヤモリの手を模した接着技術、昆虫の複眼を模したカメラなどがある。齋藤氏は「生物から学ぶということは非常に大切なこと。このサメ肌もそうだが、本当に均等かつ面白い模様している。なぜこの形状なのか僕らは解明できないが、とりあえず真似するところから始めて、その先にイノベーションがあるのではないかと思って今トライしている」と語る。
この渦を使うという技術は、F1からスーパーGT、ラリーも含め様々なレースの場で使われている技術だが、「私達も市販の車にしっかり渦を使った技術を入れられないかとチャレンジしている」と齋藤氏。ミラーは空力向上という観点では非常に問題児だ。どうしても横に出っ張った部分が抵抗を生む。「逆に言うと改善しがいがあるということで、ここに着目している。レースカーだけでなくBEVであれハイブリッドであれ、普通の車とユーザーに展開できる燃費向上技術になるので、レースの世界でしっかり効果を見ながら展開していければもっといいクルマづくりを横にも広げていくことができる」(齋藤氏)
もう一つの「超開繊CFRP」は、リアウィングに通常よりも平たく潰した(薄い)カーボンを織り込むことで、高剛性化と軽量化に挑戦するというもの。齋藤氏の言葉を借りると「うどんをきしめんにした」ようなものだという。今回は、薄く作っているが故に、樹脂と一緒に加工する際、一部にヒケが出てしまうといった課題が発生。すこしでも成形不良を改善べく2枚重ねているため、「結果的には150gしか軽くなっていない。次に向けては1枚で何とかキレイに作りたい」という。ちなみに強度は従来のものと同等で、質量もほぼ変わらない。 また、チェッカーフラッグ柄の意匠もあわせて検討中とのことだ。
最後に、前回の第5戦鈴鹿で導入された、ロールケージに関連するアップデート。鈴鹿ではこのアーク溶接新技術SFAで製作されたロールケージの搭載によって、ドライバーから剛性の高さが格段に変わったとのコメントも得たが、その反面、サスペンションとのバランスがアンマッチになってしまったという。ロールケージ側の剛性を落とすことはせずに、アーム単体の剛性を上げたり、アライメントや前後駆動力配分を調整したりすることで、対応してる。鈴鹿よりは乗りやすくなったはずだが、ここでも乗りにくい部分がまた出てきているとのこと。「まだまだ次に向けて改善を重ねていく」(齋藤氏)としている。
GRヤリスDATは、ST-Qクラスグループ2に出走。27日の決勝でも大きなトラブルなく無事3時間のレースを終え、完走を果たした。
次回第7戦は、11月15日と16日に富士スピードウェイで開催される。各チーム、シーズン最後の作り込みを行い挑む最終戦だ。どのような進化、走りが見られるか期待が高まる。
トヨタは「#32 ORC ROOKIE GR Yaris DAT concept(GRヤリスDAT)」で出場。今回、同車は大きく3つの改良を行いレースに臨んだ。うち2つは新たな技術が投入されている。
まず注目したいのが、空力性能を向上させる「サメ肌ミラー」だ。サメの肌は水中での抵抗を減らし速く泳ぐためにザラザラとしているが、これを模倣した微細な凹凸をアルミフィルムの裏から型を押し当てるインクリメント工法で実現。サイドミラーの外側に貼り付けている。これによって細かい渦を発生させ、目に添わせてスムーズに風の流れを作ることができる。風洞試験での効果を見た後に、今回の岡山へ投入。ヴォルテックスジェネレーターと同様の原理で境界層(空気)の剥離を抑えることでCd値を0.0005低減しており、岡山ではストレートでの最高速度が1km/hアップした。『GRヤリス』チーフエンジニアの齋藤尚彦氏は「自然界の空気の流れと風洞のキレイな空気の流れでは単純比較できないが、一先ず効果が出ている」と話す。
このような生物の構造や機能、仕組みを活用した「バイオミメティクス(生物模倣)」技術は、自動車以外の分野も含め様々なところで開発、採用されている。前述のヴォルテックスジェネレーターはフクロウの羽の構造にヒントを得て誕生したものであり、他にもヤモリの手を模した接着技術、昆虫の複眼を模したカメラなどがある。齋藤氏は「生物から学ぶということは非常に大切なこと。このサメ肌もそうだが、本当に均等かつ面白い模様している。なぜこの形状なのか僕らは解明できないが、とりあえず真似するところから始めて、その先にイノベーションがあるのではないかと思って今トライしている」と語る。
この渦を使うという技術は、F1からスーパーGT、ラリーも含め様々なレースの場で使われている技術だが、「私達も市販の車にしっかり渦を使った技術を入れられないかとチャレンジしている」と齋藤氏。ミラーは空力向上という観点では非常に問題児だ。どうしても横に出っ張った部分が抵抗を生む。「逆に言うと改善しがいがあるということで、ここに着目している。レースカーだけでなくBEVであれハイブリッドであれ、普通の車とユーザーに展開できる燃費向上技術になるので、レースの世界でしっかり効果を見ながら展開していければもっといいクルマづくりを横にも広げていくことができる」(齋藤氏)
もう一つの「超開繊CFRP」は、リアウィングに通常よりも平たく潰した(薄い)カーボンを織り込むことで、高剛性化と軽量化に挑戦するというもの。齋藤氏の言葉を借りると「うどんをきしめんにした」ようなものだという。今回は、薄く作っているが故に、樹脂と一緒に加工する際、一部にヒケが出てしまうといった課題が発生。すこしでも成形不良を改善べく2枚重ねているため、「結果的には150gしか軽くなっていない。次に向けては1枚で何とかキレイに作りたい」という。ちなみに強度は従来のものと同等で、質量もほぼ変わらない。 また、チェッカーフラッグ柄の意匠もあわせて検討中とのことだ。
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