これが本物のワークスパワー! モビリティリゾートもてぎでの合同試乗会に潜入
レース業界では自動車メーカー系のチームを指す言葉が「ワークス」。ワークス系チームといえば、最新のレーシングカーが渡される強豪チームのことを言う場合が多い。
レースではないがチューニング業界にもワークス系と呼ばれるサプライヤーがいる。それが自動車メーカー直系のチューニングパーツブランドたちだ。そんな各社はそれぞれの自動車メーカー向けパーツしかリリースしないためライバルではなく、一緒に業界を盛り上げていく同志である。ならばそこで手を組んでイベントを開催し、それぞれのクルマを一挙に取材しようというのがワークスチューニング取材会なのだ。
毎年恒例となったメディア向け合同試乗会がモビリティリゾートもてぎ南コースにて開催され、各メーカーのデモカーを一挙に試乗することができた。
◆TRD
今回のメインは『86』。スポーツ走行を楽しむために提案するのがサスペンションアームとメンバー、マウントなどの強化。サスペンションアームは前後ともに開口部に当て板をしたりなどそれ自体の剛性をアップ。ブッシュも強化ブッシュや場所によりピロボールを採用。
サスペンションメンバーは補強を入れることで、メンバー自体の動きを抑えてステアリングに対する応答性をアップ。さらにマウント系もミッションやデフなど試作の強化品を装着している。
乗ってみるとそのひとつが効いているわけではないが、相当にドライバーの言うことを聞いてくれる86になっていると感じる。ステアリングを切ればラグなく、スッと向きを変えていってくれる。それによってタイヤが路面に適切に接してくれていることでアクセルオンでのトラクション性能が高まっている。低速ヘアピンからわざとアクセルを踏んでリアタイヤを滑らそうとしてもなかなか滑らない。それだけタイヤが駆動力を受け止めてくれている。
同時に扱いやすさを重視したメタルクラッチディスクと強化レリーズフォークも試作品で、シンプルで扱いやすく小気味よいシフトチェンジを可能にしている。また、86ではトラブルの出やすいレリーズフォークもプレス品から鍛造品とすることで、剛性や強度を高めている。
◆NISMO
注目は『スカイラインNISMO』に投入された「スポーツリセッティングTYPE-2」。NISMOはワークス系ならではのエンジン制御コンピュータ書き換えサービスを行っている。今回の「スポーツリセッティングTYPE-2」では、スロットルマップの初期から中間域を変更。発進や加速時にスムーズ&スポーティな加速感を実現。またオートマチックミッション制御に関するチューニングも行っていて、キックダウン時の介入速度を変更することでレスポンス良く加速できる。
ほかにも人気ホイールLMをリニューアルしたLM GT4を装着。軽さは1台分で純正比で約15kg。剛性の最適化を行うことでスカイラインの420psを受け止める。さらにオーリンズベースのサスはNISMO専用にチューニング。マフラーはオリジナルのチタン製で排気効率アップはもちろん、約10kgという大幅な軽量化を実現している。
ハイパワーセダンであるが、もともと決して軽い部類のクルマではない。しかし、今回のNISMOパーツ装着済みのスカイラインNISMOでは日常域での走行で軽快感がある。クローズドコースで攻めていくと、しなやかにサスが路面を捉えてくれてブレーキ性能もトラクション性能も高い。NISMO機械式LSDが滑らかに作動してトルクを路面に伝えてくれるので加速性能も高い。ハイレベルのスポーツセダンとしてまとまっている。
◆無限
『シビックタイプR』のパフォーマンスをさらに高めるパーツをラインアップしてきた無限。「Extreme "R"」をコンセプトに無限のレース経験からのノウハウと野尻智紀選手によるテストなどを経て開発が完了した「Group A」から発売。
「Group A」では、エアロパーツ、インテリアパーツ、ホイール、マフラーをラインアップ。フロントアンダースポイラーはダウンフォースを高めて高速安定性を高めてくれる。リアウイングは可変式で調整が可能。翼端板はドライカーボン製で軽量化を実現している。
そしてホイールはBBSと開発したものでFL5に向けて、剛性を調整。高ければ良いというわけではなく、適度にしなることでホイールもサスペンション的な役割を持ち、タイヤと路面の接地性を良くしようという狙い。
乗ってみるとコーナリング時にタイヤがしなやかに路面を掴んでいるのを感じる。乗り心地がよく、それでいて限界が上がっていて安心してコーナリングすることができる。
低速コーナーではフロントがグイグイと向きを変えていく。これはしなやかなホイールによる限界の高さや、エアロパーツによる効果などが相まったものと思われるが、強烈な旋回能力はリアタイヤが限界を迎えるほど。昔のFF車のようにリアタイヤを低い限界で振り出して曲がっていくのではなく、強烈にフロントがインを向いて、その結果リアタイヤがスライドすることがあるということ。それだけよく曲がる素晴らしいセッティングに仕上げてあった。
◆STI
『WRX S4 STI Sport#』はすでに完売している限定仕様だが、そこにはSTIが提唱する「運転が上手くなるクルマ」を実現するためのパーツが多数投入されている。今回試乗し、そのフィーリングを味わうことができた。
運転が上手くなるためにはいかに操作からクルマが素早く反応してくれるかが大切だという。ハンドルを切っても反応がないと大きく切りすぎてしまい、そこから向きが変わりすぎる、ハンドルを戻す、結果クルマがグラグラする、というスパイラルに陥ってしまう。
そこでSTIではそのタイムラグ解消を目指す。そのためにはコーナリング時内輪にいかに仕事をさせるかが大切だという。そのために投入されたのがボディやサブフレームにあらかじめ力を加えておいて、応答遅れを防ぐフレキシブルパーツたちだ。
フレキシブルドロースティフナーはクロスメンバーをスプリングによって引っ張ることで、クロスメンバーの取り付けブッシュによるヨレを消しておいて、反応を高めてくれるパーツ。フレキシブルドロースティフナーリアはフレーム自体にテンションをかけシャシーのしなりを補正する。
さらに「STIフレキシブルパフォーマンスホイール」も装着される。これはホイールの剛性を前後タイヤに合わせて最適化。同じサイズのホイールだがフロント用とリア用があり、フロントホイールはタイヤをたわみやすくして接地面積を増やす。リアホイールはサイドウォールのたわみが小さくなるようにしているという。
それらの効果によって乗ってみると明らかに走りの質感が高い。ハンドルをわずかでも切ればクルマもわずかに反応してくれる。コーナーに飛び込むと荒れた路面でもしっとりとタイヤは接地して曲がっていける。これはホイールの剛性バランスを前後タイヤに合わせて最適化された効果だと思われる。
速めの速度でコーナーに入っていっても、操作に対するクルマの反応が速いので安心して走ることができる。これは普段乗りからこそ意味がある味付けで、クルマと自分の信頼感が高まってゆく。そういった高い質感にあじつけされている。WRX S4 STI Sport#はすでに完売だが、ここに使われているパーツをすでに乗っているスバル車に投入していくこともできる。
レースではないがチューニング業界にもワークス系と呼ばれるサプライヤーがいる。それが自動車メーカー直系のチューニングパーツブランドたちだ。そんな各社はそれぞれの自動車メーカー向けパーツしかリリースしないためライバルではなく、一緒に業界を盛り上げていく同志である。ならばそこで手を組んでイベントを開催し、それぞれのクルマを一挙に取材しようというのがワークスチューニング取材会なのだ。
毎年恒例となったメディア向け合同試乗会がモビリティリゾートもてぎ南コースにて開催され、各メーカーのデモカーを一挙に試乗することができた。
◆TRD
今回のメインは『86』。スポーツ走行を楽しむために提案するのがサスペンションアームとメンバー、マウントなどの強化。サスペンションアームは前後ともに開口部に当て板をしたりなどそれ自体の剛性をアップ。ブッシュも強化ブッシュや場所によりピロボールを採用。
サスペンションメンバーは補強を入れることで、メンバー自体の動きを抑えてステアリングに対する応答性をアップ。さらにマウント系もミッションやデフなど試作の強化品を装着している。
乗ってみるとそのひとつが効いているわけではないが、相当にドライバーの言うことを聞いてくれる86になっていると感じる。ステアリングを切ればラグなく、スッと向きを変えていってくれる。それによってタイヤが路面に適切に接してくれていることでアクセルオンでのトラクション性能が高まっている。低速ヘアピンからわざとアクセルを踏んでリアタイヤを滑らそうとしてもなかなか滑らない。それだけタイヤが駆動力を受け止めてくれている。
同時に扱いやすさを重視したメタルクラッチディスクと強化レリーズフォークも試作品で、シンプルで扱いやすく小気味よいシフトチェンジを可能にしている。また、86ではトラブルの出やすいレリーズフォークもプレス品から鍛造品とすることで、剛性や強度を高めている。
◆NISMO
注目は『スカイラインNISMO』に投入された「スポーツリセッティングTYPE-2」。NISMOはワークス系ならではのエンジン制御コンピュータ書き換えサービスを行っている。今回の「スポーツリセッティングTYPE-2」では、スロットルマップの初期から中間域を変更。発進や加速時にスムーズ&スポーティな加速感を実現。またオートマチックミッション制御に関するチューニングも行っていて、キックダウン時の介入速度を変更することでレスポンス良く加速できる。
ほかにも人気ホイールLMをリニューアルしたLM GT4を装着。軽さは1台分で純正比で約15kg。剛性の最適化を行うことでスカイラインの420psを受け止める。さらにオーリンズベースのサスはNISMO専用にチューニング。マフラーはオリジナルのチタン製で排気効率アップはもちろん、約10kgという大幅な軽量化を実現している。
ハイパワーセダンであるが、もともと決して軽い部類のクルマではない。しかし、今回のNISMOパーツ装着済みのスカイラインNISMOでは日常域での走行で軽快感がある。クローズドコースで攻めていくと、しなやかにサスが路面を捉えてくれてブレーキ性能もトラクション性能も高い。NISMO機械式LSDが滑らかに作動してトルクを路面に伝えてくれるので加速性能も高い。ハイレベルのスポーツセダンとしてまとまっている。
◆無限
『シビックタイプR』のパフォーマンスをさらに高めるパーツをラインアップしてきた無限。「Extreme "R"」をコンセプトに無限のレース経験からのノウハウと野尻智紀選手によるテストなどを経て開発が完了した「Group A」から発売。
「Group A」では、エアロパーツ、インテリアパーツ、ホイール、マフラーをラインアップ。フロントアンダースポイラーはダウンフォースを高めて高速安定性を高めてくれる。リアウイングは可変式で調整が可能。翼端板はドライカーボン製で軽量化を実現している。
そしてホイールはBBSと開発したものでFL5に向けて、剛性を調整。高ければ良いというわけではなく、適度にしなることでホイールもサスペンション的な役割を持ち、タイヤと路面の接地性を良くしようという狙い。
乗ってみるとコーナリング時にタイヤがしなやかに路面を掴んでいるのを感じる。乗り心地がよく、それでいて限界が上がっていて安心してコーナリングすることができる。
低速コーナーではフロントがグイグイと向きを変えていく。これはしなやかなホイールによる限界の高さや、エアロパーツによる効果などが相まったものと思われるが、強烈な旋回能力はリアタイヤが限界を迎えるほど。昔のFF車のようにリアタイヤを低い限界で振り出して曲がっていくのではなく、強烈にフロントがインを向いて、その結果リアタイヤがスライドすることがあるということ。それだけよく曲がる素晴らしいセッティングに仕上げてあった。
◆STI
『WRX S4 STI Sport#』はすでに完売している限定仕様だが、そこにはSTIが提唱する「運転が上手くなるクルマ」を実現するためのパーツが多数投入されている。今回試乗し、そのフィーリングを味わうことができた。
運転が上手くなるためにはいかに操作からクルマが素早く反応してくれるかが大切だという。ハンドルを切っても反応がないと大きく切りすぎてしまい、そこから向きが変わりすぎる、ハンドルを戻す、結果クルマがグラグラする、というスパイラルに陥ってしまう。
そこでSTIではそのタイムラグ解消を目指す。そのためにはコーナリング時内輪にいかに仕事をさせるかが大切だという。そのために投入されたのがボディやサブフレームにあらかじめ力を加えておいて、応答遅れを防ぐフレキシブルパーツたちだ。
フレキシブルドロースティフナーはクロスメンバーをスプリングによって引っ張ることで、クロスメンバーの取り付けブッシュによるヨレを消しておいて、反応を高めてくれるパーツ。フレキシブルドロースティフナーリアはフレーム自体にテンションをかけシャシーのしなりを補正する。
さらに「STIフレキシブルパフォーマンスホイール」も装着される。これはホイールの剛性を前後タイヤに合わせて最適化。同じサイズのホイールだがフロント用とリア用があり、フロントホイールはタイヤをたわみやすくして接地面積を増やす。リアホイールはサイドウォールのたわみが小さくなるようにしているという。
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