整備や車検はどうしてる? 離島クルマ事情 -その4-

何かと勝手の違う離島でのカーライフ。そんなどこか外国のようでもある離島でのカーライフをお伝えする本シリーズも第4回を迎えることとなった。今回はカーライフに欠かせない整備や車検、クルマ購入についてリポートしたい。

整備代は「ツケ」が基本!?

自動車メーカーのディーラーがないことも多い離島では、整備や車検は地元の整備工場に託すことになる。その整備工場も島にひとつ、もしくは近隣の島々も合わせて1軒しかないこともあるため、その整備工場はエリア内のクルマとそのオーナーを知り尽くしているのだ。

そのせいか、金銭の受け渡しは「ツケ」が日常的に行われている。一般的には、車検や整備が終わったクルマを引き取るときに費用を支払うが、離島では工場のスタッフとオーナーが顔見知りであるせいか、車両引き取り時に請求されることはあまりない。後日ポストに請求書が入っており、それを持って支払いに行く方法が取られているようだ。

「欲しい」「手放したい」ときはとにかく人に話す

ディーラーや販売店がないことも多い離島では、「本土からクルマを仕入れることがある」と第1回で紹介したが、もちろん島内でクルマを購入するケースもある。島内でクルマを探す場合は、「こういうクルマが欲しい」と、いろいろな人に話をするのが有効だ。

例えば「ATの軽トラがほしい」「5人以上乗れるクルマを探している」と、近隣の人に話をしていると、どこからともなく「それなら○○さんが手放すらしいよ」と話がやってくるのである。反対に、自分のクルマを手放したいときも、「誰かこのクルマほしい人いませんか?」と話しておくと、買い手が見つかるそうだ。シニア世代を中心とした島の「口づてネットワーク」は、インターネットを超える情報網かもしれない。

ちなみに、新車を購入したい場合、整備の工場を通じて取り寄せてもらうことができる。本土のディーラーから買う方法もあるが、購入後の整備や車検を考えると整備工場で取り寄せるのが得策と言えそうだ。

輸入車を維持するのは難しい

離島で輸入車を目にすることは、ほとんどない。旅行者が本土から持ち込んだものを目にするくらいだ。島で輸入車を維持するのは、難しいのである。

コンピューター制御が進んだ今どきのクルマは、故障診断もメーカーごとに異なった診断機を使用する必要がある。しかし、島で海外メーカーの診断機を備えている整備工場はほとんどなく、故障に対応できないことも多い。

故障箇所が判明したとしても、部品を取り寄せるルートがないため、オーナーがネットなどで部品を入手し、それを持ち込んで修理してもらうのが関の山。離島で輸入車に乗り続けるのはそれなりに大変で、移住時に持ち込んだとしても、車検などを機に国産車に乗り換えるケースが多い。離島でのカーライフは趣味性より実用性が勝るようになるといえそうだ。

(上泉純+ノオト)

[ガズー編集部]