“こだわり”と“仕上がり”に感激! オートモデラーの集い in 横浜2018

明日モデラーの集まりがあるから取材においでよ? そんなお誘いを受け日産横浜工場で行われた「日産テクノモデラーズクラブ(NTMC)」主催の「オートモデラーの集い in 横浜」に行ってきました。

「モデラーって何? クレイモデラーの集まり? それともモデルさんの集いなの?」と、どんな会なのかもわからないまま行ってみたのですが、そこにはまったく知らなかった驚きと感激に満ちあふれた、そして一度足を踏み入れたら二度と出られない世界が広がっていたのです。

とにかくディティールにこだわる

この集まりは、プラスチックモデラーが自慢の作品を展示し、同好の士とのコミュニケーションを楽しむ実にコアなものでした。主催者は場所を提供するだけ。参加者が作品を持ち込んで自由に展示するというスタイルで、作者同士がお互いの作品を見たり見せたりしながら、情報交換や苦労話を熱く語っている姿が見られました。

参加者たちの真剣なまなざしの先にあるのは、細部にまでこだわった改造プラモデルやほぼゼロから作られたフルスクラッチモデル。「いやいやこんなものが!」とただただ感心するばかりです。
こだわりぬいて作られた作品のすべてを紹介したいところですが、膨大な数になってしまうので特に筆者の目を引いたモデルを紹介いたします。まず目に飛び込んできたのは、グリーンメタリックがひときわ鮮やかなホンダ・NSX!

なんとエンジンをフロントに移設しピックアップに改造されているではないですか! ドアもランボルギーニのようなシザーズドアに。なんと美しく細かい仕事かと、感心するしかありません。聞けば、この作品を作った人は、とにかくどんなプラモデルでもドアからボンネットから何でも開けちゃう人らしい。こういう創作車を作れるのは、モデルカーならではですね。

お次はマツダ・ロードスターとロードスターRF。

このロードスターとロードスターRFのすごいところは、どちらもモーターが仕込まれていて電動でルーフの開閉ができること。しかも、動きは実車を忠実に再現されており、ソフトトップの方はドライバーのフィギュアがトップを掴んで手動で動かしているように見せる細かさです。「恐れ入りました!」と言うしかない作品でした。詳しくは作者であるkatsuさんのページで。

▼愛車を作ろう!Full Scratch Modelling Cars
http://www7b.biglobe.ne.jp/~aishawotukuro/

こちらの新型NSXも、作りがとっても細かい1台。ヘッドライト、テールライト、ブレーキランプ、ウインカーが実車と同じように点灯・点滅するようになっていました。しかも、ウインカーは音まで出る仕掛けが! ぜひ、ホンダウエルカムプラザに展示したいですね。実車のオーナーにプレゼントしても喜ばれるかもしれません。

オーバーフェンダーが勇ましい黄色いユーノス・ロードスターのモデルは、国内でNA型ロードスターがデビューしたときに、雑誌『GENROQ』の模型のページのために作ったものだそう。シカゴオートショーに参考出品された『ミアータ・クラブスポーツ』を再現したというこのモデル、思わず声を上げるような派手さはないけれどしっかり作り込んである、心が見える作品でした。

魂が込められた「細かすぎて伝わらない」作品たち

上から見ると、グリーンのBMWだけほかのクルマと比べて幅が狭いことがわかるでしょうか? プラモデルやミニチュアカーは、実車をただ縮小して作られているのではなく、小さくしてもそのクルマらしく見えるように、モデル化の際には幅を拡げられているのだそうです。それをわざわざ細く戻して、実車を忠実に縮小した形にしたのだとか。細かすぎて伝わらないけれど、そういう部分にも魂を込めるのがモデラーなんですね。もうひとつ、別の意味で細かすぎて伝わらない作品を。

もはや「細かすぎて伝わらない」を通り越して見えないレベルのモデルです。5円玉に乗るほど小さく、虫眼鏡がないと見えない豆ミニカー。感服です。次に紹介する作品は、会場で唯一のバス、いすゞ旧型ガーラのモデルです。

作者は、先に紹介した黄色いロードスターを製作した方で、現行型ガーラ(実車)のエンブレムをデザインした方でもあるそうです。このガーラは、タミヤのプラバンとプラ棒だけでゼロから作ったとのこと。タイヤは海外のトラックのプラモデルからの流用。いつまでたっても完成しないことから、「モデルカー業界のサグラダファミリア」と呼ばれているとは本人談。

クーペからセダンに、レーシングカーからノーマル車に

綺麗に仕上がっているメルセデス・ベンツ500E。なんと、もともと500Eのキットがあったわけではなく、フジミ模型の300CE(クーペですよ!)に190E Evolution IIの屋根を合体させて作られたものでした。エンジンはタミヤの500SLのキットから改造し流用したとのこと。

メルセデス・ベンツC36 AMGも、オリジナルで作られたモデル。タミヤのCクラスDTM(ドイツツーリングカー選手権)のキットを改造して作られています。ある意味「デチューン」ですね。AMGエアロは、タミヤのS600クーペAMGからの改造流用、内装はフジミ模型の300CEからの改造と自作、ホイールはおなじくフジミ模型のE320のものを使っているのだそう。

作者は先の500Eと同じ方で、こうしたモデルの難しさを聞いてみると、「屋根とガラス、特に曲面部分は改造が難しいので、そのまま流用。屋根とガラスを中心に、何ができるかをじっと考え、完成車をイメージしていく」とのことです。なるほど。

モデラーさんたちが持ち寄ったモデルカーの数々、いかがだったでしょうか? 「オートモデラーの集い in 横浜」は、定期的に開催されているようです。モデルカーの緻密さは写真では伝わらないので、興味を持った方はぜひ一度、会場で実際にご覧になってみてください。ほんと、感動します。ちなみに今回の代表的な作品は一台ずつ撮影され、『model cars』誌に掲載されるそうですので、こちらもお楽しみに。

(取材・写真・文:大田中秀一 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]