作者にインタビュー! クルマ擬人化漫画『ウチのクルマがこんなに可愛いわけがない!?』の魅力に迫る
艦船、城、刀剣、競走馬といった特定の分野のものを擬人化(キャラクター化)する方法が、アニメ・ゲーム・マンガなどのサブカル業界でここ10年ほど人気を博しています。この流れ、もちろんクルマ業界にも。
2018年4月からはクルマ擬人化漫画『ウチのクルマがこんなに可愛いわけがない!?』の連載が、「Webモーターマガジン(モーターマガジン社)」で始まりました。この漫画、一体どんな狙いで作られたのでしょうか? 作者の鈴木秀吉さんと編集担当の蔭山さんに話をうかがいました。
クルマファン拡大を目的に連載を開始
Webモーターマガジンでは現在、第2・第4水曜日の毎月2回、同作を掲載しています。毎回、「日産 C120型サニーバネット」「トヨタ ファンカーゴ」といった1車種にスポットを当てて美少女キャラクター化。その車種ならではの“あるあるネタ”などを紹介しています。擬人化については、クルマファンを拡大するという狙いがあるそうです。
「自動車専門誌を発行する出版社やユーザーを含めたクルマ業界は、全体的に高齢化しています。弊社が発行する『モーターマガジン』や『ホリデーオート』で行っているアンケートの集計結果を見ても明らかです。そこで若返りを図りたいと、30~40代のクルマファンを獲得するために始めたのがクルマ擬人化マンガです。近年の擬人化ブームもあって、作者の鈴木秀吉氏に連載を依頼しました」(蔭山さん)
すでに鈴木さんは、同社のバイク専門誌『オートバイ』と『Webオートバイ』で『バイク擬人化禁書』というバイク擬人化マンガを掲載して、注目されていたそう。また、「クルマ好きの中にも、賛同できる部分があるのでは?」と、蔭山さんは話します。それは誰しも気づかずにクルマを“人”のように扱っている瞬間があるからです。
「ひと昔前は、エンジンがかからないときに『今日は機嫌が悪いな』とか点検に出すとき『病院に連れて行く』とか、愛車をまるで人のように表現したユーザーも多かったものです。中には名前をつけていた人もいるでしょう。擬人化はクルマと相性がいい、ユーザーに馴染みやすいと考えたわけです」(蔭山さん)
擬人化とはいえ元ネタへのリスペクトも忘れない
こういった擬人化作品の場合、重要なのが元ネタへのリスペクトとたしかな情報ソース。手抜きでやっていると、詳しくない人が見てもわかってしまうものです。
「ストーリーは、題材にするクルマの知識にあらかた目を通し、その知識に感動や笑いなどを加えて構成します。4コマの方は、営業マンやメカニックなどの“ディーラー視点”ですので、クルマの長所や特徴をネタにしていく感じです。基本的にファミリーカーや不人気車、実用車が好きなので、取り上げる車種もこうしたクルマが多いですね。逆に高級車やスポーツカーなどはほかの漫画でもたくさん題材にされているので、あまり取り上げません。バイクもそうですが、ほかの漫画家さんが題材に『しにくい』『できない』『しない』凡庸なクルマほど描きたくなりますね(笑)」(鈴木さん)
擬人化を最初に大々的に始めたのは、おそらく『MC☆あくしず』(イカロス出版)というミリタリー”萌え”軍事誌ですが、同誌は戦闘機・戦車・艦船を女の子としてキャラクター化しつつも、ミリタリー情報に関しては同社の普通の軍事雑誌と同程度のリソースが書かれていて、それが笑いや可愛さを強調する形になっています。また、DMM GAMESの『艦隊これくしょん-艦これ-』や、競走馬を擬人化して今年話題となっているアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』も、史実ネタを巧みに織り交ぜてキャラの魅力としています。
『ウチのクルマがこんなに可愛いわけがない!?』も、「ファンカーゴが可愛い顔をしていても積載量はすごい」「新米社員がスズキ エブリイのことを『エブリ“ィ”』と呼び間違っても気にしない」といった、クルマ好きには“わかる”、知らない人にも“そうなんだ”と思わせるネタが随所に。
「そういえば連載開始当初、『業界やクルマを茶化すようなネタや下ネタなどは控えるように』との指示が担当者からあり、私もそのお考えに同意してきました。ところが、先日唐突にその方向へのGOサインが出まして困惑しています(笑)」(鈴木さん)
しかも、どうやら今後はブラックなネタもOKらしい……。もしかしたら、ジェレミー・クラークソンみたいな女キャラクターが出てくるかもしれない!?
TwitterやFacebookでの反響も上々
蔭山さんは「クルマと擬人化の相性がいい」と思いつつも、反響については「あまりないのでは?」と不安もあったようです。しかし、連載開始から、TwitterやFacebookを中心に大きな影響がありました。
「クルマ雑誌読者やWebモーターマガジンのユーザー層との違いから、反響は小さいのではないかと連載開始当初は心配していました。しかし、連載第1回目から予想以上の反応を得られ、さらに鈴木氏が展開しているTwitterや弊社のFacebookに展開していることから、多くの新たなユーザーが興味を持ってくれたように感じます」(蔭山さん)
- 月刊ホリデーオート2018年5月号掲載のK12マーチ
鈴木さんのTwitterには、読者から直接コメントなどがくるそうですが、身近なクルマをネタにしたことが功を奏しているようで「誰でも話に乗れるネタなのでコメント誘因になっているようです」と話していました。
現在はオムニバス形式で、毎回違うクルマにスポットを当てている形ですが、今後は「各キャラ同士の交流の可能性もある」とのことでした。また、輸入車については「国産だけでもメーカーと車種が一生かけてもやりきれないほどあるので、ある程度国産メーカーを一周してからかなと」と鈴木さん。なお、同作の愛称は「ウチクル!?」だそう。正式題名も略称もどこかで聞いたことがある気がしますが、それはさておき、この作品がもっと話題となって、クルマ好きが増えると嬉しいですね。
▼ウチのクルマがこんなに可愛いわけがない!?
https://web.motormagazine.co.jp/_tags/ウチクル
▼株式会社 モーターマガジン社
住所:東京都港区新橋5丁目33-10
電話:03-3434-3151
Webサイト:http://www.motormagazine.co.jp/
(取材・文:斎藤雅道、編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
あわせて読みたい!
特集・漫画作者に聞いたクルマの魅力
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-