地味にスゴイ! クルマの運転に欠かせない「視線誘導標」の役割とは

クルマを運転する際に必要不可欠なもの、それは「視線誘導標」です。普段あまり意識していないかもしれませんが、実は事故防止に重要な役割を担っているのです。今回はデリネーター、道路鋲、車線分離標、縁石ブロックなど、さまざまな視線誘導標の役割について調べてみました。取材にご協力いただいたのは、道路視線誘導標協会・事務局の岩間隆さん、奥本謙壮さん、名児耶幸夫さんです。

  • (左から)道路視線誘導標協会・名児耶幸夫さん、岩間隆さん、奥本謙壮さん
    (左から)道路視線誘導標協会・名児耶幸夫さん、岩間隆さん、奥本謙壮さん

――「道路視線誘導標協会」とは、どのような団体なのでしょうか?

道路鋲や車線分離標、線形誘導標などのメーカー7社が集まって運営しています。製品のおもな納品先はNEXCOさんや国土交通省さんで、施工規模も大きく、民間企業1社で対応することが難しいことも多々あります。そこで、関連する会社を集めて「道路視線誘導標協会」を作りました。各社それぞれ得意分野が違うので、協力しあいながら活動しています。

――そもそも「視線誘導標」とは、どのような目的で作られたのでしょうか?

視線誘導標とは、道路の両サイドやセンターラインに沿って端や線形を分かりやすく表示し、ドライバーの視線を誘導するためのものです。
資料によると、道路鋲の原型となるものは大正時代に使用され始めたようです。その後、昭和39年の東京オリンピック開催にともなう道路建設、道路整備にあわせて設計に組み込まれるようになりました。モータリゼーションの進化によって視線誘導標も広まっていった、と考えられます。

――視線誘導標には、どのような種類があるのでしょうか?

協会として案内しているのは、デリネーター、道路鋲、車線分離標、樹脂製縁石ブロック、線形誘導標、自発光商品(ソーラー式)の6種類です。

【デリネーター】
視線誘導標の中でもっともポピュラーなタイプです。昼間はレンズの色、夜間は反射によってドライバーに視認させる目的で設置されています。
通常は丸型で、大きさは一般道用で直径8~10cmです。ガードレールの上に付けるタイプ、くぼみに設置するタイプ、壁面につけるタイプなどさまざまなパターンがあります。
基本色は、進行方向左側が白、右側が橙色です。ただし事故が多い場所や、高速道路の料金所を出て本線に入るところ等は、左右ともに橙色を設置する場合もあります。

霧やガスがかかる場所では、見やすさの点で青を使っているところもあります。NEXCO西日本のイメージカラーが青ということもあり、西日本では青色のデリネーターを見かける機会が多いかもしれません。最近では蛍光の黄緑色も使われています。

蛍光黄緑と青色のデリネーター
蛍光黄緑と青色のデリネーター

――羽のようなものが付いているタイプもありますよね?

それは防塵タイプのデリネーターですね。トンネルの中は雨も降らず排気ガスが充満するため、表面が汚れてしまいます。そこでプロペラをつけ、風によって回転することで表面を掃除する仕組みを設計しました。

東名高速道路は防塵タイプが多いですね。昔はブラシのようなものを付けていましたが、回転するうちに毛が小さくなりうまく掃除ができないということで、最近ではゴムが主流になっています。

防塵タイプのデリネーター。抵抗を少なくするため、プロペラの内側、真ん中、外側3か所に分けてゴムが付いている
防塵タイプのデリネーター。抵抗を少なくするため、プロペラの内側、真ん中、外側3か所に分けてゴムが付いている

【道路鋲】
かつて道路鋲の主流は「チャッターバー」でした。これには2つの機能があります。1つが車線逸脱防止効果、そしてもう1つが視線誘導効果です。チャッターバーにタイヤが当たると走行車線に戻ってくるよう、「ひし形」になっています。また、ヘッドライトが当たると光が反射する機能を追加しました。

古いタイプのチャッターバー(昭和40年ごろ、群馬県高崎市の新町バイパスにて撮影)
古いタイプのチャッターバー(昭和40年ごろ、群馬県高崎市の新町バイパスにて撮影)
現在のチャッターバー
現在のチャッターバー

しかしチャッターバーは、車線逸脱防止という点では高さが不十分です。現在はコンクリートでマウントアップし、縁石の上に道路鋲をつけるパターンが主流となっています。
色は白と橙色が多く使われていますが、青や緑色もあります。熊本は「火の国」ということで、赤い道路鋲が使われている所もありますよ。ただし、反射輝度は白が最も高く、色が濃くなると輝度が落ちてしまいます。

縁石の上に貼り付けるタイプの道路鋲(樹脂製)
縁石の上に貼り付けるタイプの道路鋲(樹脂製)

【車線分離標】
道路鋲よりも高さが必要な場所には、車線分離標が使われています。基本色は緑と赤ですが、青や茶色を使う時もあります。最近では高速道路の逆走対策として使用されるケースが非常に増えています。

【樹脂製縁石ブロック】
対面通行の道路では、樹脂製の縁石ブロックを組み合わせて使用しているケースも多いですね。特に圏央道で多く設置されています。

【線形誘導標】
急カーブなど危険な場所に設置する誘導標です。道路の線形が分かりやすく、夜間でもハッキリ確認できるので、クルマを安全走行に導きます。

【自発光商品(ソーラー式)】
かつては地下に配管を埋め、商業電源を使用していました。しかし、既存の道路に電気を通すのは手間も費用もかかります。そのため現在は、電源を必要としないソーラー式が主流となっています。

上面がソーラーになっており、暗くなると自動的に光る
上面がソーラーになっており、暗くなると自動的に光る

――視線誘導標は、やはり事故が多い場所に設置されるのでしょうか?

そうですね。設置基準はあるのですが、警察や道路管理者の協議によって「1種類だけでは効果が弱い」という話は出てきます。二重、三重に視線誘導標が設置されている場所は、事故が多発している場所であるといえます。

――他にも何か変わった視線誘導標はありますか?

「ワイヤーロープ式防護柵用ゴム製視線誘導標」というものがあります。ワイヤーロープ式防護柵の支柱の上に取り付ける視線誘導標です。通常はプラスチックや金属製ですが、クルマが衝突した際に飛散すると危ないですよね。これは軽量かつ弾性の高い合成ゴムを使用しており、飛散による二次被害を軽減する仕様になっています。

あとはスノーポールもあります。積雪の多い地域ではセンターラインが雪で隠れてしまうので、こういったポールが必要不可欠です。ポールを上にのばせるタイプや、吊り下げ式で「ここがセンターラインですよ」と表示するタイプなど、バリエーションが増えています。

普段あまり意識することもなく、当たり前のように存在している「視線誘導標」ですが、それぞれいろんな機能があるのですね。
視線誘導標がたくさん設置してある箇所は、裏を返せば事故が多発している「危険な場所」であるともいえます。今回紹介した視線誘導標の役割を認識しつつ、安全運転を心がけましょう。

(取材・文・写真:村中貴士 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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