大迫力のバス&トラックが勢ぞろい! 世界最大の商用車ショー「IAA2018」レポート
2018年9月20日(木)~27日(木)の8日間、ドイツ北部のハノーバーで商用車ショーIAA2018が開催されました。世界最大級と言われる商用車ショーはどんなものだったのでしょうか。
ドイツで開催されるIAAと名の付くショーは、フランクフルトで開催されている乗用車ショーが有名ですが、あちらは奇数年の開催。つまりIAAは、奇数年にフランクフルトで乗用車、偶数年にハノーバーで開催される商用車ショーが交互に開催されていることになります。行こうと思った方、場所を間違えないようにしてくださいね!
今回のテーマは電動化
事前情報では“CONNECTED(コネクテッド=つながるクルマ)”が大テーマになるとのことでした。
確かに、そこかしこにコネクテッドな雰囲気はあったものの、ワールドプレミアされたダイムラーのeアクトロスをはじめ多数のEVトラックやハイブリッドトラックが前面に展示、プレゼンされているのを見ると、どちらかと言えば電動化祭りという印象を受けました。
- ダイムラーのEVトラックeアクトロス
日本の商用車ショーよりメーカー数が多い
小型から大型までのバス・トラックがすべて揃うこのショーにはEUからだけでなく、中近東、中国のメーカーも出展しています。
特にバスのデザインは日本で見られるバスとはかなりモチーフが異なる上にメーカー数も多いので、好きな人はぶらぶら見て歩くだけでも楽しいと思います。
一般公開日には、自分の次期相棒を探しにトラックドライバー達が集まるのですが、ブルートのような屈強な男達がヴァイツェン(ドイツで有名なビール。私も好きです)片手に本気で品定めしている光景も日本では見られない迫力の風景です。
また、大手メーカー製バス・トラックだけでなく、ベンチャー的な企業が提案する新技術なども散見されるので、ふと通りかかったブースでベンチャー技術者からアツい説明を聞くのも楽しいかもしれません。
それではショー会場の中を見ていきましょう。
新星TRATONグループ
先日、フォルクスワーゲンの商用車部門を分社して発足したTRATON(トレイトン)グループ。MAN(ドイツ)、SCANIA(スウェーデン)、フォルクスワーゲン、RIO(ドイツ)の4つが1つになり、世界一の商用車グループであるダイムラーを本気で追撃する構えです。
- フォルクスワーゲンのeデリバリートラック(左)とパンタグラフから充電でき、長い航続距離を謳うスカニアのEVトレーラーヘッド(右)
- スカニア製路線バス
- MAN観光バス
- ワールドプレミアされたMANのEVバス、ライオンズシティ12E。480kWhバッテリーを搭載し、航続距離は200km~270km
- フォルクスワーゲンは初の量産EVバンe-クラフターの水素版であるハイモーションとBUZZ CARGOコンセプトカーを発表
また最近提携が発表された日本の日野自動車から小型バスのポンチョEV、HOWO(中国重汽)の大型トラックも急遽展示され、グループの迫力出しに一役買っていました。ポンチョEVは、メルセデス・ベンツ・スプリンターの対抗馬としていいんじゃないかと思うんですが、今のところ海外進出の予定はないそうです。
- フジツボのマフラーなど日本製特選パーツを装着したプロフィア大型トラックを入口近くの一等地に展示し来場者の注目を集めていた
王者ダイムラー
世界王者ダイムラーグループは、ゼトラ(ドイツ)、フレイトライナー(アメリカ)、オーマン(中国・北京福田汽車の海外ブランド)、それに日本の三菱ふそうトラック・バスから成るので、世界制覇した感があります。
- ダイムラー館入口には、三菱ふそうトラック・バス(日本)、AUMAN(中国)、バラットベンツ(インド)、フレイトライナー(アメリカ)のグループ代表モデルを一同に展示
- ゼトラ製観光バス
- EVトラックなどを持ち込み、ダイムラーグループの中でも存在感が高い三菱ふそうトラック・バスの展示
- eアクトロスのパワートレインもワールドプレミア
- トラックのもうひとつのトレンドは、低床化による乗り降り性向上と、バスタイプの折戸による“見える化”
- “ベンツの天才たまご”ビジョン・アーバネティックコンセプト。自動運転時代のプラットフォームで、乗用、貨物用など用途に応じてボディをごっそり載せ替えられるのが売り
ボルボトラックス
3つ目の連合はこちら。乗用車のボルボとは別会社の、ボルボ商用車(スウェーデン)、ルノートラックス(フランス)、それに日本のUDトラックスの3社で形成されています。
- すっかりおなじみになっている、バンタグラフ式集電装置を備えたEVバスなど
- EVショベルとeパッカーゴミ収集車
- ボルボにも死角を減らした“見える化”トラック
デザインが個性的なトルコ勢
その他メーカーから気になったクルマをいくつかご紹介いたします。
- トルコ、カルサン社製EV路線バス。デザインがユニーク
- アナドル・いすゞを侮るな。いすゞはトルコで古くから合弁で商用車を生産している
- 欧州テイストのアナドル・いすゞ製バスは何やら新鮮な感じ
日本にはないデザインテイストの商用車たち、最新の商用車たちだけでなくレストアされたヒストリックモデルも見られますし、各社力を入れているグッズショップでここでしか手に入らないアイテムを買い歩く楽しみもあります。
ハノーバー中央駅からトラムに乗って30分ほどで着き、しかも駅前が会場というとても行きやすい場所にありますので、次回欧州旅行のついでにでも行ってみてはいかがでしょうか。
(取材・写真・文:大田中秀一 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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