現役当時の走りをもう一度!レストアで甦ったフェアレディZ「IMSA 300ZX-GTS-1」
みなさんは、華々しく活躍していたレーシングカーの“余生”について考えたことはありますか?
イベントで走行する姿を見ることもありますが、多くのマシンは、その役目を終えると、どこかで眠るか、場合によってはスクラップになってしまいます。今回、紹介するフェアレディZ「IMSA 300ZX-GTS-1」も、長らく眠りについていた1台。しかし、「日本のレーシングカーが元気で走る姿を再び見たい!」というオーナーの想いによりレストアされ、息を吹き返したのです。
IMSA GTO 300ZXとはどんなレーシングカーなのか?
「IMSA 300ZX-GTS-1(以下:300ZX)」は、アメリカの「IMSAシリーズ」のGTOクラスをメインに戦っていたマシン(95年にGTS-1へクラス変更)。1990年から1995年までは、アメリカのレースチーム「カニンガム・レーシング」からIMSAシリーズに参戦、1996年から1997年は日本の「JGTC選手権(現在のSUPER GT)」にも参戦していました。1994年には「セブリング12時間レース」総合優勝、「デイトナ24時間レース」総合優勝、「ル・マン24時間」レースクラス優勝という、華々しい戦歴も持っています。
今回、レストアされた個体は、1994年から1995年までをIMSAシリーズで戦い、その後1997年までJGTC選手権に参戦していた車両です。
日本のレーシングカーをもう一度走らせたい!
この300ZXのオーナーであり、レストアを実施したJMIA(日本自動車レース工業会)会員の株式会社PEAKS代表の細井さんは、幼いころからモータースポーツが大好きで、長くモータースポーツ業界に身を置いてきた人物。
細井さんは、日本のレーシングカーが海外へ売却されていく様や人知れずお蔵入りとなって走れなくなっていく様子を見てとても残念に思っており、「日本のレーシングカーをもう一度レーシングスピードで走らせたい!」と業界の仲間たちに話していたそう。
すると、「自身でレストアしてみたらどうだ?」と声をかけられ、タイミングよく御殿場にガレージを持つ「チーム・ルマン」に眠っていたこの300ZXを購入できる話が舞い込み、レストアを決意します。
メカニズムよりもカラーリングの再現に苦戦
細井さんの願いは「レーシングカーを当時のレーシングスピードで走らせること」。そのため、展示目的のレストアではなく、実際に走行できるコンディションを目指してレストアされています。
この300ZXは、1997年のクラッシュを最後にモータースポーツシーンから遠のいていましたが、幸いにも一度、アメリカのカニンガム・レーシングで修復されており、エンジンはオーバーホールされていました。日本に戻ってきたあとも、チーム・ルマンで定期的にエンジンを掛けていたためエンジンの状態はよかったそうです。しかし、エンジン以外の主要ユニットであるトランスミッションや足回りなどはすべてバラし、組み直したとのこと。
細井さんが代表を務める株式会社PEAKSは、レーシングカーの部品を設計・製造している会社。そのため、部品を作ることはそれほど難しくなかったそうですが、カラーリングの再現に苦労したと言います。
1990年から1997年と、レーシングカーとしては長い期間、活躍していたマシンであるため、さまざまな時期の写真が混在しており、特定の仕様を再現するのに困難を極めたそう。最終的に、1995年のセブリング12時間耐久レース仕様が再現されました。
- ヘッドライトを再現したステッカーは、数少ない“当時そのまま”のポイントだそう
300ZXの第二の人生はこれから!
今後はイベントで展示し、多くの人に見てもらえる機会を作りたいとのこと。しかも、柵で囲うことはせず、誰でも運転席に座れるスタイルで展示するそうです。これは、「実際にレーシングカーに触れて、そのカッコよさを肌で感じてほしい」という細井さんの想いから。
- 取材時、実際に運転席に座わらせていただいた。ドアが開かない構造のため乗り込むのもコツが必要
また、レーシングスピードで走らせるために、現在もレストアは続けられています。最終的には売却することも考えているそうですが、「ちゃんと走らせてくれる人でなければ売らない」と細井さんは言います。また細井さんは、今後も可能な限り日本に眠っているレーシングカーを復活させ、「いつかはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのようなイベントを日本で開催したい」と、夢を語ってくれました。
この300ZXの展示情報などは、常時ツイッターで情報を発信していくとのこと。気になった方はフォローして、1990年代のレースシーンで活躍したレーシングカーを肌で感じてはいかがでしょうか?
▼株式会社PEAKS(JMIA会員)
http://peaks-racing.com/
▼PEAKSツイッター
https://twitter.com/peaks_racing
(取材・文・写真:西川昇吾 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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