クルマの電動化アイテムが目白押し! 人とくるまのテクノロジー展2019横浜レポート

自動車業界の技術者や研究者に向けた、自動車技術の専門展示会が「人とくるまのテクノロジー展」です。1992年にスタートした、このイベントは進化を続ける自動車業界の最新技術が並ぶ展示会として、非常に高い注目を集めるようになりました。特に最近は、「CASE(ケース)」という、「コネクテッド」「オートノマス(自動化)」「シェア&サービス」「エレクトリック(電動化)」というキーワードで、クルマの未来が語られるようになり、技術革新がクルマの姿や利用方法を一変させる可能性が見えています。そうした時代背景もあり、横浜パシフィコで2019年5月22日から24日にかけて開催された、今年のイベントには9万人を超える人が訪れました。

1968年の第3回日本グランプリ・レースに出場し、GP1クラスで優勝したレーシングカー「P-5」。
1968年の第3回日本グランプリ・レースに出場し、GP1クラスで優勝したレーシングカー「P-5」。

クラシックレーシングカーで注目を集めたダイハツ

自動車メーカーは、トヨタをはじめとする国内メーカーすべてがブースを構えました。自動車メーカーは、全体として次世代の技術というよりも、最近の新しい技術を広く紹介するというスタンスが多いように見受けられます。トヨタのブースの中央には、人工知能技術を搭載したコンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i」。日産は、可変圧縮を可能としたエンジン「VCターボ」、スバルはプラグインハイブリッドの「クロストレック」、マツダは「スカイアクティブX」エンジン。並ぶのは、すでに公開されている技術展示が中心のよう。

トヨタのブースの中央は、人工知能技術を搭載した「TOYOTA Concept-愛i」。
トヨタのブースの中央は、人工知能技術を搭載した「TOYOTA Concept-愛i」。

そうした中で、ホンダはセニアカーのコンセプト「ESMO(エスモ)コンセプト」を本邦初公開。「カスタムもできるようにして年配の男性にモーターサイクルっぽく使ってほしい」と開発担当者は説明します。また、ダイハツは、レストアした1968年のレーシングマシン「P-5」を出品。未来志向の技術が並ぶ中に登場したクラシックカーは、非常に大きな注目を集めていました。

最高速度時速6㎞のセニアカー「ESMO(エスモ)コンセプト」。ホンダモビリティパワーパックという交換式電池も提案のひとつ。
最高速度時速6㎞のセニアカー「ESMO(エスモ)コンセプト」。ホンダモビリティパワーパックという交換式電池も提案のひとつ。

サプライヤーで目立つのが電動化アイテム

発表済みの技術の多かった自動車メーカーに対して、サプライヤー系の展示には、開発中の次世代技術が数多く見られます。特に目に付いたのが、モーターとコンピューターなどを一体化した「eアクセル」と呼ばれるもの。車軸につけることで、簡単にクルマを電動化させることのできるアイテムです。デンソーとアイシンによる合弁会社「BluE Nexus (ブルーイー ネクサス)」をはじめ、デンソーの「ELEXCORE(エレックスコア)」といった日系サプライヤーだけでなく、ボッシュ、コンチネンタル、ZF、ヴァレオ、マグナなどの、欧米サプライヤーのブースにも、「eアクセル」が並びます。また、ボッシュはモーターを内蔵するハイブリッド専用CVTのコンセプトも出品していました。

他に、電動化のための技術として、日立はアウディの電気自動車「eトロン」に採用された小型インバータを出品。東芝は、48Vシステム向けのリチウムイオン電池のパッケージを参考出品。

デンソーとアイシンによる合弁会社「BluE Nexus (ブルーイー ネクサス)」の「eアクセル」製品
デンソーとアイシンによる合弁会社「BluE Nexus (ブルーイー ネクサス)」の「eアクセル」製品

さらに、ZFやコンチネンタルなどのブースには、自動運転技術に欠かせない、ライダーや3眼カメラといった最先端のセンサーを見ることもできます。小糸製作所のブースには、ライダーを内蔵するヘッドライトなどが提案されていました。そしてショーワとZFは、ステア・バイ・ワイヤを出品。自動運転実現化の未来を見据えた展示が並びます。

ZFによる最新のセンサーラインナップ。一番手間がライダーで、その奥にはレーダーやカメラが並ぶ。
ZFによる最新のセンサーラインナップ。一番手間がライダーで、その奥にはレーダーやカメラが並ぶ。
ショーワは、ステアリング機構と車軸が離れているステア・バイ・ワイヤ技術を出品。
ショーワは、ステアリング機構と車軸が離れているステア・バイ・ワイヤ技術を出品。

7月には名古屋で開催!

「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」の出展社数は624社。自動車メーカーやサプライヤーだけでなく、計測機器メーカーやソフトウェアメーカーから生産設備メーカーまで、広い自動車産業のすそ野をカバーする顔ぶれ。2万平米にもなる会場には、ぎっしりとブースが並ぶ、そのほとんどに「最新技術」と「次世代技術」が用意されていました。

約2万平米の会場内に、参加624社のブースがぎっしりと並んでいる。
約2万平米の会場内に、参加624社のブースがぎっしりと並んでいる。

また、7月17日~19日にかけては愛知県名古屋「ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)」にて「人とくるまのテクノロジー展2019名古屋」が開催されます。中部エリアにお住まいの方で、自動車にまつわる最新の技術をチェックしたいというのであれば、ぜひとも足を運んでみてはいかがでしょうか。

(取材・文・写真:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

<関連リンク>
人とくるまのテクノロジー展2019横浜
https://expo.jsae.or.jp/

人とくるまのテクノロジー展2019名古屋
http://expo-nagoya.jsae.or.jp/

[ガズー編集部]

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