ランタボ、RX-7、CR-Xも! 世界で活躍した国産ラリーマシンがホンダコレクションホールに集結
2017年、トヨタは18年ぶりにWRC(世界ラリー選手権)への参戦を決定。翌2018年にはトヨタとして通算50勝目を獲得し、19年ぶりのマニュファクチャラーズタイトルも獲得します。先頃、終了した2019年はドライバーズチャンピオン、コドライバーズチャンピオンを獲得しました。2020年にはWRC最終戦が日本で開催されることが発表され、ラリー界隈は活気づいています。
しかし、日本メーカーがラリー参戦を始めたのは、最近のことではありません。何十年もの歴史があり、実にさまざまなクルマが活躍してきました。そんな日本ラリーの礎を築いた9台のラリーマシンが「ホンダコレクションホール」に集められ、展示されています。
4メーカーの協力のもと、開催された企画展
およそ300台の市販製品やレーシングマシンを常設展示している、「ツインリンクもてぎ」内ホンダコレクションホール。現在、企画展では初めての試みとなる、ラリーマシンをテーマにした『RALLY WORLD~日本の挑戦車たち~Part1:黎明期編』を開催しています。
ホンダコレクションホールでは、これまでさまざまな企画展を催してきた中で、入館者から「ラリーの企画展を開催して欲しい」という声が多数、寄せられていたそうです。しかし、ホンダは自動車ラリーのワークス参戦歴がなく、参加車両を揃えられないという実情がありました。そこで4メーカー(トヨタ、日産、マツダ、三菱)が所有するラリーマシンを借りて、開催を実現させたのが今回の企画展示です。
本企画では、主に1970年から1980年代前半にかけて世界のラリーフィールドに参戦し、初優勝や上位入賞を果たした、各メーカーにとってエポックメイキングとなる9台のラリーマシンが展示されています。ここでは年代順に展示車両を紹介します。
日産「ダットサン1000セダン桜号(1958)」
ドライバー:大家義胤 コ・ドライバー:三縄米吉
広大なオーストラリア大陸を右回りに一周する「モービルガス・トライアル(通称:豪州ラリー)」に、日産は2台のダットサン「1000セダン(210型)」、富士号と桜号を出場させます。富士号はクラス優勝、展示車両の桜号もクラス4位入賞を果たす、輝かしい記録を残しました。
三菱「コルトギャラン16LGS(1972)」
ドライバー:アンドリュー・コーワン コ・ドライバー:ジョン・ブライソン
モービルガス・トライアルの後継ともいえる、オーストラリア「サザンクロス・インターナショナルラリー」。その第2回大会より三菱は「コルト」で参戦します。展示車両の「コルトギャラン16LGS」は、1972年の第7回大会に投入されたもので、総合優勝をもたらしました。
三菱「ランサー1600GSR(1974)」
ドライバー:ジョギンダ・シン コ・ドライバー:デイビッド・ドイグ
地元プライベーターのジョギンダ・シンが、スポーツキットでチューニングした「ランサー」。「世界一過酷」と称されるサファリラリーで、エントリー99台中46番目からスタートし、プジョーやポルシェといった強豪チームが次々と脱落する中、見事に完走を果たし総合優勝を飾りました。
マツダ「RX-7 Gr.2仕様(1979)」
ドライバー:中川一 コ・ドライバー:森川修
プライベートチームが、発売されたばかりの「RX-7」を用いてWRCモンテカルロラリーに参戦。まだチューニングパーツが出ておらず、ラリー規定に合致させるための改造しか施せなかったにも関わらず、クラス優勝を成し遂げました。欧州でRX-7は未発売とあって、至るところで注目を浴びたそうです。
三菱「ランサーEX2000ターボ(1982)」
ドライバー:ペンティ・アイリッカラ コ・ドライバー:ユハ・ピロネン
オイルショックの影響で1977年からラリー活動を休止していた三菱は、1981年より「ランサーEX2000ターボ」Gr.4仕様にて復帰を果たします。翌1982年、フィンランドの1000湖ラリーで総合3位入賞を獲得しました。
マツダ「RX-7 Gr.B仕様(1984~1986)」
ドライバー:インバー・カールソン コ・ドライバー:ベニー・メランデル
マツダ・ラリーチーム・ヨーロッパにより製作されたグループB仕様のRX-7。1985年のアクロポリスラリーでは後輪駆動車ながら4WD車を相手取り、総合3位を獲得します。安全上の理由からグループBは1986年で廃止。展示車両のRX-7も、その役目を終えました。
三菱「スタリオン4WDラリー(1984)」
ドライバー:- コ・ドライバー:-
1994年からのWRC参戦を目指し、製作が進められていた「スタリオン4WD」。しかし諸問題により、ホモロゲーションの取得を断念します。南フランスにて開催された第9回「ミル・ピストラリー」のエクスペリメンタルクラス(ホモロゲーションが不要なクラス)に出場し、優勝を獲得。素性の良さを見せつけました。
*展示車は香港~北京ラリー出場車を展示用に仕様変更したもの
トヨタ「セリカ ツインカムターボ(1985)」
ドライバー:ユハ・カクネン コ・ドライバー:フレッド・ギャラハー
4WDやミッドシップマシンの台頭が著しい中、トヨタはサファリラリーに3台のFR「セリカ」を送り込みます。5200キロに及ぶ過酷なレースに、次々と姿を消すライバルたち。しかし、ユハ・カクネンの操るセリカはノントラブルで走りきり、総合優勝を獲得します。
ホンダ「バラードスポーツCR-X Siラリー仕様(1985)」
ドライバー:大久保力 コ・ドライバー:渡辺靖彰
1985年、中国初のモータースポーツイベントとして開催された「香港~北京」ラリーに、チームは足回りを中心に改造した「CR-X」で参戦。燃費の良さも手伝ってSクラス優勝を獲得し、総合でも20位に入る健闘をみせました。
ラリー企画展はPart2も計画中
「Part1:黎明期編」と銘打たれているように、ホンダコレクションホールでは続編となる「Part2」も計画しています。開催時期は未定ですが、展示車両は4WDマシンが中心になるそうです。
本企画展の開催は12月9日(月)まで。興味のある人は、急いで見に行きましょう!
(取材・文・写真:糸井賢一 編集:木谷宗義+ノオト)
<関連リンク>
ツインリンクもてぎ ホンダコレクションホール
https://www.twinring.jp/collection-hall/
[ガズー編集部]
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