ヒルマン・インプ・・・リアエンジン・リアドライブの名車特集
今回ピックアップするのは、いまやすっかり少なくなった「エンジンを一番後ろに積むクルマ」。軽自動車からスポーツカーまで、代表的なリアエンジン・リアドライブのモデルを紹介します。
ヒルマン・インプ
1960年代初頭の時点で、ヒルマン、シンガー、ハンバー、サンビームの4ブランドを擁していた英国ルーツ・グループ。1960年代半ばに米クライスラーの傘下となるが、その直前の1963年にミニ(ADO15)に対抗すべくリリースした小型サルーンがヒルマン・インプである。
世界的にはやっていた“コルベア・ルック”を採用した2ドアセダンボディーのリアに、F1用エンジンで知られるコベントリー・クライマックス設計の総アルミ製875cc直列4気筒SOHCエンジンを右に45度傾けて縦置きした。ルーツお得意のバッジエンジニアリングによって、内外装の細部のみが異なるシンガー・シャモアやサンビーム・インプ、またそれぞれのクーペ版なども追加設定された。
最大の仮想敵だったミニを筆頭に世の小型車の趨勢(すうせい)がFF化に向かおうとするなかでのRRの選択に加え、信頼性の低さが災いして、ライバルの背中は遠かった。石油危機後には経済性が見直されて一時はセールスが好転したこともあったが、設計の古さはいかんともしがたく、1976年に生産終了。13年間のシリーズ総生産台数は約49万台を数えた。
[ガズー編集部]