レクサスUX 開発責任者に聞く ~チーフデザイナー編~

チャレンジあるのみ

「これまでになかった新しいジャンルのクルマを作りたい」というチーフエンジニアの難しい要求に応え、UXにおいて相反する要素の融合を模索したのがプロジェクト・チーフ・デザイナーの三木鉄雄さんである。デザインの意図とチャレンジしたポイントについて話を聞いた。

<プロフィール>三木鉄雄(みき・てつお)1994年入社。電気自動車のe-comや初代ノア/ヴォクシー、4代目の4Runner(フォーランナー、日本名はハイラックスサーフ)などのインテリアデザインを担当。2001年から2005年までCalty Design Research, Incに出向。2012年レクサスデザイン部に異動し、NXおよびCT(マイナーチェンジモデル)のデザインをまとめた。
<プロフィール>
三木鉄雄(みき・てつお)
1994年入社。電気自動車のe-comや初代ノア/ヴォクシー、4代目の4Runner(フォーランナー、日本名はハイラックスサーフ)などのインテリアデザインを担当。2001年から2005年までCalty Design Research, Incに出向。2012年レクサスデザイン部に異動し、NXおよびCT(マイナーチェンジモデル)のデザインをまとめた。

どちらの方向に振るべきか?

「(車高は)高く見えるようにしろ、でも実際の車高とヒップポイントは低くしろ」というのは厳しい要求のように見えるかもしれません。でも、チーフエンジニアが一方的に言ったわけじゃないんです。僕らも同じ思いでしたから、覚悟してやりました。もちろん、難しかったんですよ。UXは同じGA-CプラットフォームのトヨタC-HRよりも重心が低くなっていますから。そのうえで、ボディを分厚く見せて、中では広いスペースを感じられるように工夫しました。

このサイズ、このカテゴリーではUXは最後発です。レクサスにはNXというクルマがありますからどういう違いを持たせるかというのが悩みどころでした。LXやRXのいかついのとは違う。ただ、アグレッシブなところは同じでしょう。SUVが持っている力強さと走りのよさをどうやって融合させるか。デザインのメンバーだけでなく製品企画や商品企画のスタッフといっしょに議論して考えました。

UXのデザインについて解説する三木プロジェクト・チーフ・デザイナー。「サイドの抑揚を使って、セキュア(安心感、守られ感)と走りのイメージを表現しています」。
UXのデザインについて解説する三木プロジェクト・チーフ・デザイナー。「サイドの抑揚を使って、セキュア(安心感、守られ感)と走りのイメージを表現しています」。

クロスオーバーではあるけれど、どちらの方向に振るのか。本格的なSUVならばフェンダーがグッと張り出したラギッド(武骨)なものになりますが、そういう方向ではない。SUVが持っているよさをどうやって持ってくると走りの部分と融合できるか。

そこで“セキュア”というキーワードを見つけて、ようやくこれだったら新しいものができるんじゃないかと思いましたね。いけるぞ、とみんなが思ったんです。SUVの持っている見晴らしのよさ、安心感、守られ感を走りのアジャイルというところとしっかり結び付ければいい。

UXのシートの着座位置は、SUVタイプのクロスオーバーモデルとしては低めに設定されている。写真はUX“version L”のフロントシート。
UXのシートの着座位置は、SUVタイプのクロスオーバーモデルとしては低めに設定されている。写真はUX“version L”のフロントシート。

軽装甲車×レーシングカー=UX

方向性がセキュアということで明確になれば、それは外形だけでなく内装でも表現できる。外見はSUVでも、中に入るとハッチバックのようなイメージになるようにしました。最初にヒップポイントや外形寸法は決まっています。乗用車に近いヒップポイントでどういうふうにすれば見晴らしをよくできるか。ヒップポイントは低いんですが、ダッシュボードの位置を下げることで見晴らしはよくなっています。和紙調オーナメントの部分を少し下げて、スペース的にも余裕が生まれます。

中と外を連続して見せる工夫もしていますよ。設計の早いうちからトライして、ダッシュボードの最上部がボンネットフードと連なっているような見え方にしました。キャラクターラインとつなげて抜けのよさを見せるんです。三角窓もありますから、見晴らしがよくなりますね。

インテリアにおいては、「守られているような安心感のある力強さ」たるセキュア感と、前方への抜けのよさが実現されている。
インテリアにおいては、「守られているような安心感のある力強さ」たるセキュア感と、前方への抜けのよさが実現されている。

レクサスブランドとして出す意義、NXとの違いをどう表現するかなど、課題がたくさんありました。議論する中で、極端なものを突き詰めてかけ合わせたほうが面白いものができるんじゃないかという話になったんです。今までと違うチャレンジをしなければ、本当に新しいものは生まれないんじゃないか、と。

具体的には、軽装甲車とレーシングカーです。軽装甲車というのは軍用のクルマで、どこの断面も六角形になっている。強い構造で、ぶつかっても壊れない。それとレーシングカーのアジャイルという面をかけ合わせるんです。UXのボディは基本断面が六角形的にできていて強さを見せます。凝縮した鉄のカタマリ感もある。そこにレーシングカーのリヤスポイラーの要素を入れるんですね。

凝縮感のあるプロポーションを見せるUX。デザインの要素として、軽装甲車とレーシングカーのイメージが取り入れられている。
凝縮感のあるプロポーションを見せるUX。デザインの要素として、軽装甲車とレーシングカーのイメージが取り入れられている。

“遊び心”も大事な要素

リヤスポイラーの縦のフィンのところには整流作用があって、端のほうを上げると操縦安定性に効くんじゃないかと考えました。空力の実験や設計のメンバーと一緒にやっていて、彼らもやったほうがいいと言ってくれたんですよ。味方になってくれたんです。デザイン的にも性能的にもやったほうがいいということになり、背中を押してもらえました。

ホイールアーチをWRC(世界ラリー選手権)のマシンのように前が丸くて後ろがストンと落ちる形状にしたのも、空気をいなしてうまく流すことにつながっています。リヤコンビネーションランプを一文字に光らせるという提案をすると、設計のメンバーもやりたいと。空力にも効いているというんですね。

もうひとつのキーワードは“遊び心”でした。UXはレクサスのSUVの中で末っ子的なサイズなので、若い人にアピールする役割があります。これまでレクサスがチャレンジしてこなかったところにデザイナーの遊び心を見せた。設計や実験のメンバーも含めて、みんな新しいことをやりたいんですよ。そうして一枚岩になって同じ方向に進めたことは大きかったと思います。

フィン形状のリヤコンビランプは、レーシングカーのリヤスポイラーを意識してデザインしたもの。機能美を盛り込んだ、新たな試みである。
フィン形状のリヤコンビランプは、レーシングカーのリヤスポイラーを意識してデザインしたもの。機能美を盛り込んだ、新たな試みである。

並々ならぬ素材へのこだわり

チーフエンジニアは女性なのですが、その点についてはまったく意識しませんでした。たまたま女性だったというだけで。ただ、彼女の専門は材料・素材なので、そのマッチングについては厳しく言われました。質感の異なるシボなんかが混在しているのはダメですよね。しっかりと整理してシンプルにしなければならないというのは強く要求されました。もちろん僕らも同じ考えです。だから、いくら厳しくても「もちろんやりますよ、当たり前じゃないですか!」って返していました(笑)。

UXでは、3つの新しいボディカラーを採用していいます。「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング」は、光が当たるとゴールドのマイカが光ります。影の部分はレンガっぽくて、存在感と重厚感があります。社内の最後のプレゼンでは、このボディカラーのクルマを見せました。「テレーンカーキマイカメタリック」「セレスティアルブルーガラスフレーク」も含めて、ファッション性の高い色です。都会を走るのにふさわしいと思います。

写真のボディカラーは新色「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング」。西日を浴びるとオレンジの発色が強くなる。
写真のボディカラーは新色「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング」。西日を浴びるとオレンジの発色が強くなる。

正直に言って、荷室はあまり大きくないし、リヤシートの居住性も特にいいとはいえません。そこを重視するならばNXのほうがいいでしょう。NXがあるから、UXはこういう位置づけにすることができました。

「Creative Urban Explorer」ですから、泥まみれになるクルマではありません。見た目の部分でSUVの要素が入っているとカッコいいし、ぶつかっても大丈夫という見え方が安心感につながります。走りの面もいい仕上がり。山道のドライブも楽しめるクルマですよ。

[ガズー編集部]

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