【動画】ランボルギーニ・カウンタック 25thアニバーサリー 試乗インプレッション 車両紹介編
フェラーリマニアとして知られる自動車ライター、清水草一が「ランボルギーニ・カウンタック」を買ったのはなぜか? 個性派スーパーカーに対する思いを熱く語る。
スーパーカー世代にとって、「カウンタック」は猛烈に特別な存在だが、それ以外の者にとっても、超絶スーパーな存在だ。
私は若干年かさなため、スーパーカーブームは素通りしたが、27歳にしてフェラーリと出会い、その崇拝者となってから、カウンタックという巨大な壁に遭遇した。具体的には「フェラーリが束になっても、カウンタックにかなわない」という事実である。
私はフェラーリの、主にあの官能的なエンジンを崇拝する者だが、その魅力はフェラーリを運転してみなければわからない。
しかしカウンタックは、運転などしなくても、その姿を見るだけで、誰もがすべてを理解する。「これはとんでもないクルマだ!」と。
ひそかに悩んだ私は、10年前、当時乗っていた「フェラーリF355」を売却し、思い切ってカウンタックを買ってみた。それは、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざに従った行動であった。
確かにカウンタックはものすごかった。ものすごかったが、やはり徹底的に私の好みではなかった。
あれから10年。
還暦を間近にした私の脳裏に、突如としてカウンタックの思い出がよみがえった。それは、すべてポジティブな思い出だった。
クラッチが重かった、ハンドルが重かった、エンジンが重機みたいだった、ライトをつけるために片手をハンドルから離しただけでクルマがフラついた、ケータイを窓から突き出して狂ったように追いかけてくるクルマがいた、サービスエリアで止まっていたら、ママとお子さまたちがたくさん集まってきて、ママが「〇〇君、絶対触っちゃダメよ! 絶対よ!」と叫んでいた……等々である。
「ああ、カウンタックはよかったなぁ……」
それは、スピードへのこだわりが消えたからこそよみがえった、クルマ好きとしての一種の悟りのようなものだった。
こうして私は、再びカウンタックを買うことを決めたのだ。
(文:自動車ライター・清水草一)
[ガズー編集部]
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