【動画】トヨタGRヤリス 試乗インプレッション 試乗編

車名に「ヤリス」とあるものの、別次元の走行性能が与えられた高性能モデル「トヨタGRヤリス」。そのステアリングを握ると、どんな走りが楽しめるのか?島下泰久が動画でリポートする。

コロナ禍で状況が変わってしまったが、もともとGRヤリスはWRC(世界ラリー選手権)で戦うマシン「WRカー」のベース車両として生み出された。

いくら改造範囲が広いWRカーとはいえ、ベース車両の素性は重要で、そこを最初から見込んで開発されている。ここまでモータースポーツありきで仕様決定されたクルマは、かつてトヨタには無かった。これだけでも画期的なことなのだ。

低いルーフを持つ3ドアボディーは、フロアからの高さが規定されている大型リアウイングに十分な風を当てるという目的のほか、ホイールハウス周辺の改造範囲の広さから採用されている。

同じ理由でライバルであるヒュンダイの「i20クーペ」も3ドアボディーを採用しているが、GRヤリスはさらに、低重心化を狙って炭素繊維複合材料でできたルーフを採用するという徹底ぶりをみせる。これまでならコスト的にこのクラスでは絶対使えなかったカーボン素材のルーフ。短繊維を樹脂で固めて成形するSMC(シートモールディングコンパウンド)工法を用い、手間のかかる表面処理を省ける画期的な生産方法を見いだすことで、コストを下げることに成功している。

1.6リッターターボエンジンが3気筒とされたのも軽量化のため。開発は完全に新規で、WECやインディカーなどのエンジンにも携わったメンバーが関わり、完全に競技での使用を念頭に置いたレーシングスペックとされているのだ。

こんな具合で、本当にどの部分にもすべて“こだわり”が詰まっているのがGRヤリスなのだが、こうして世に出たので開発は終了……とは、なっていない。

すでに参戦しているスーパー耐久選手権などでは、当然レースだけにトラブルが起きていたりもする。GRはそこで得た知見やノウハウを、市販車にフィードバックして進化させようとしているのである。

GRヤリスに乗ることはモータースポーツを応援することになり、そしてそれはまた巡り巡ってユーザーに、もっと良いスポーツカーへの進化として返ってくる。ユーザーとモータースポーツが、ここまで密接な関係になるクルマは、他にそうはないはずだ。

(文:モータージャーナリスト・島下泰久)

[ガズー編集部]

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