ピリ辛な味付け、「ホンダ・フィット モデューロX」こだわりの装備とは?
ホンダ・フィットは、質実剛健なデフレ世代のニーズに合ったコンパクトカーだ。
ミドル級セダンなみに広い室内スペースと、「e:HEV(イーエイチイーブイ)」がもたらす静かで燃費に優れる走り。必要な情報をシンプルにまとめたメーターや、清潔感のあるインテリアには、“ノームコア”な若い世代に合うセンスを感じる。あえての2本スポークステアリングなんて、見ているだけでたまらない。「そう、これでいい。余計なものは要らんのだよ!」という気持ちになる。
しかしひとつだけ「これじゃよくない!」のは、そんなフィットにスポーツモデルがラインナップされていないことだ。確かに「NESS(ネス)」と呼ばれるそれっぽいグレードもあるけれど、それは内外装のスポーティーなバリエーションモデル。かつて存在した「RS(ロードセーリング)」グレードがラインナップされていないことが、残念でならない。
きっとホンダアクセスも、同じ気持ちだったのではないか。だからこそフィット版のモデューロXは、これまでの“X”たちよりも、ちょっとだけハンドリングコンシャスなテイストで仕上げられているのだと筆者は感じた。
その最大の特徴は、“実効空力”をうたうエアロダイナミクスだ。特にフロントバンパー下に設けられた「エアロスロープ」の効果は大きくて、ノーマルのフィットから格段にその直進安定性が高められている。バンパー下、両脇のフィンは、走行時にタイヤがかき混ぜたホイールハウス内の空気を整える。そしてそれを、バンパーサイドのフィンがつくり出した空気の流れが引き抜いてくれる。
ここにすべてを書き尽くす余裕はないが、こうした空力効果はまさにモータースポーツの世界で使われている技術だ。しかしホンダアクセスは、そのダイナミクスを誰もが日常の領域で感じ取れるように、フィット モデューロXを仕上げている。
すべては、ホンダ・フィットで走りの楽しさを感じるために。これを彼らは、実効空力と呼んでいるのである。
(文:モータージャーナリスト・山田弘樹)
[ガズー編集部]
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