「新型ゴルフ8」1.0Lターボ 48Vマイルドハイブリッドの走りの特徴は?
マイルドハイブリッドシステムが採用された「フォルクスワーゲン・ゴルフeTSIアクティブ」にモータージャーナリスト島下泰久が試乗。8世代目となる最新型の、驚くべき乗り味についてリポートする。
長年にわたって「乗用車のベンチマーク」と言われてきたフォルクスワーゲン・ゴルフ。それは初代ゴルフが「アウトバーンを民主化した」と評されたように、歴代モデルが、上のクラスの技術をより手ごろなものとして普及させてきたということも念頭においての言葉である。
今回の進化の主なポイントはデジタル化と電動化。この分野に関しては、これまでとやはり同じように、上のクラスでの当たり前を、このセグメントにも普及させる役割を担っているといっていい。デビューした2019年末には、「ゴルフという幅広いユーザー層を持つクルマにしては、ちょっと先鋭的過ぎるのでは……」と危惧したのを覚えているのだが、今やこれくらいで驚くことはないといっていい。つまりゴルフは、やはり先がちゃんと見えていたわけだ。
一方で、車両の基本骨格は先代に続いてモジュラーアーキテクチャーの「MQB」を用いている。正直、乗る前には走りに関してはマイナーチェンジくらいかと思っていたのだが、実際にステアリングを握ったら、そんな先入観は吹き飛ばされた。快適性もフットワークの正確性も、格段の進化を果たしていたからである。
振り返ると通算6世代目のゴルフは、その前の5世代目の基本アーキテクチャーをそのまま使ったモデルだった。今にして思えば、開発中のMQBを用いた7世代目登場までの中継ぎ役だったわけだが、その印象を思い浮かべてみればこのゴルフ8、実は名車と呼ぶにふさわしい完熟ぶりだった。2世代続けて同じ基本骨格を使い続けたことで、ノウハウが蓄積され、半端ない度合いで熟成された。つまりは、そんなところだろう。
このゴルフ8も、同じ匂いがする。そもそも高い実力を持つMQBのポテンシャルをフルに引き出した感のある走りと快適性には本当に感服させられ、これぞゴルフと大いに納得、感心、させられたのである。
電動車シフトをアピールし、「ID.」シリーズに未来を託そうとしている今のフォルクスワーゲンが、これから先ゴルフをどのように扱っていくのかは分からない。しかしながら少なくとも言えるのは、いま私たちの目の前にあるゴルフは紛れもないゴルフ、その究極型だということである。おそらく将来には「ゴルフ8って良かったよね」と言われているに違いない。試乗して思ったのは、そんなことだったのだ。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[ガズー編集部]
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