新型「レクサスNX」が人気沸騰の理由を、森口将之が解説
2021年秋にモデルチェンジして新型になったレクサスNXが好評だ。いまオーダーしても、納車までには1年以上待つことになるという。
人気の理由はいろいろあるが、まず挙げられるのは「ライバルが増えてきたこと」。このクラスのプレミアムSUVに目を向ける人が増えたことは外せないだろう。
具体的に言えば、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの“ジャーマンプレミアム御三家”のほか、ボルボやジャガー、アルファ・ロメオ、DSなども加わってきた。にぎやかな場所が気になるというのは、街歩きでもクルマ選びでも変わらない。
NXは、そのタイミングでモデルチェンジが実施された。結果、ボディーサイズの拡大はわずかな範囲に抑えられて、日本の道での使いやすさをキープしつつ、中身が大幅に進化した。
とりわけデザインは格段に洗練された。プロポーションは先代とそれほど変わっていないが、フロントマスクでは、従来はランプ本体から独立していてビジーな印象を受けたL字型マーカーランプのデザインが、レンズの中に収まってスッキリした。
ボディーサイドでは、キャラクターラインが整理されて、アグレッシブな雰囲気が薄れ、落ち着きを手に入れた。しかし単調になったわけではなく、面の抑揚はかなり立体的になっている。
「線よりも面でみせる」というのは、日本車で最もデザインコンシャスなブランドと思われるマツダも推し進めている方針で、最近のトレンドでもある。レクサスもセダンの「ES」以降、そういう方向へシフトしつつあるのは好ましいことだ。
インテリアは逆に、ドライバーズカーらしさが高まった。先代は水平基調のインパネからセンターコンソールが垂直に下がる、オーセンティックなT字型だったのに対し、新型はセンターのディスプレイがドライバー側にチルトし、そこからのラインも運転席を囲むような流れになっている。
クルマのエクステリアが周囲の景観に影響するのに対し、インテリアはオーナーのための空間である。もちろん同乗者への配慮は大切ではあるが、ドライバーズカーらしさを強調した造形は、見るほどに納得できるものだ。
(文:モータージャーナリスト・森口将之)
[GAZOO編集部]
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