レクサスNX250“version L”はインテリア、装備だけでなく、走りも心地よかった
今回は新型レクサスNXのバリエーションのなかから、 自然吸気の2.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンを積むNX250“version L”をチョイスして試乗した。新型NXにはこれ以外に、ターボ付きのガソリンエンジンとハイブリッド、プラグインハイブリッドもある。多彩なラインナップは、海外のプレミアムブランドに対するアドバンテージになりそうだ。
そのなかで自然吸気ガソリンエンジンは、最高出力201PS、最大トルク241N・mと、比較的おとなしいスペックを持つ。これでプレミアムブランドにふさわしい加速感は得られるのか、気になる人もいるだろう。
結論から先に言えば、まったく問題はなかった。以前からこのエンジンは、大きな4気筒としては滑らかに回るものだった。この美点が受け継がれていたことも大きいが、それ以上にトランスミッションがトルコン式8段ATであることが効いている。
CVT車のように、いきなり高回転まで吹け上がったりすることはなく、車速に合わせて回転を上げ、トルクの山をつなぐようにギアを的確に切り替えつつ、スムーズに加速していく。
おとなしいエンジンとはいえホイール/タイヤは20インチと、ひと昔前のSUVからすれば驚きのサイズを組み合わせる。でも乗り心地は不快ではない。むしろ日本のプレミアムブランドならではの、おもてなしを感じる。
先代NXも、アグレッシブな見た目から想像するよりはるかに快適な乗り心地が得られたが、モデルチェンジでその傾向が強まった。ハンドリングも自然であるだけでなく、しっとりした感触が味わえるもので、ドライなタッチのジャーマンプレミアムとは一線を画している。
こうしたフィーリングを重視したいなら、おとなしいエンジンを積んだこのNX250こそベストではないかとも感じた。
例えば、ラグジュアリーホテルの最も安価な部屋とビジネスホテルの最上級の部屋が同じ料金だったら、どちらを選ぶか。旅慣れた人ほど前者を選ぶというコメントを、以前目にしたことがある。「スペースや設備は限られるかもしれないが、共用空間を含めた仕立ての格が段違い」というのが、その理由だったと記憶している。同じことがNX250にもいえる。
都市部においてはハイブリッドの燃費は魅力だし、高速道路ではターボの爽快な加速感が心地いい。でも郊外や地方に住み、さほど速さを求めない人にとっては、この250こそが最も価値あるNXではないだろうかと思った。
(文:モータージャーナリスト・森口将之)
[GAZOO編集部]
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