新型「ダイハツ・ムーヴ キャンバス」便利な最新装備を竹岡 圭が解説

“新感覚スタイルワゴン”として人気を博した、ダイハツの軽乗用車「ムーヴ キャンバス」がフルモデルチェンジ。その進化のポイントについて、竹岡 圭が解説する。

モーターショーのコンセプトカーって夢がありますよね。もちろん、そのままの姿で出てくることは少ないのですが、ムーヴ キャンバスでは、その大まかなコンセプトが市販車へと引き継がれました。

私の記憶が正しければ、元になったコンセプトカーは左右観音開きのスイングドアだったと思うのですが、“Bピラーレス”ということではタントがありますからね。そこは上手にすみ分けたうえでリリースされたということなのでしょう。

ところで、そのコンセプトは「母と娘」というもの。なぜ母と娘なのかといいますと……まず、この娘はまだまだママの手がかかる“お子ちゃま”ではありません。そういった「ママと子ども」は、それこそタント世代なわけです。ムーヴ キャンバスの母と娘は、お年頃のお嬢さんだったり、もう少し大人になって、免許を取って自ら運転するようになったお姉さんだったり。つまり、ママと娘でクルマをシェアできる年代がイメージされているのです。

ママは平日、お買い物へ。娘は休日にお友達とお出かけ(その場合、休日のママのお買い物は、パパのクルマでパパとともに)……なんていうカタチで、1台をシェアしている。あるいは、基本的にムーヴ キャンバスは娘のクルマで、ママと女性同士でお出かけするときは、娘の運転でお出かけするといった感じ。そう、なんとなく温かなホンワカした感じの、仲良し母娘の雰囲気が伝わってきませんか? そんなクルマの使い方を想定した場合、しっくりくるクルマ。その世界観は上手に表現されていると思います。

ちなみに、ムーヴ キャンバスの最大のポイントである「全高を抑えたクルマでのスライドドア」にチャレンジしたのは、何を隠そう、三菱の「eKワゴン」が最初でした。eKはインナースライドレールという方式を採用することで、全高が1550mm以下におさまり立体駐車場もオーケーと、ビックリするほど利便性に優れていた反面、開口部がやや小さめだったんですよね。

ムーヴ キャンバスは多くの立体駐車場には入らないものの、開口部はしっかり広く取られているのがポイント。新型のスライドドアには予約機能もあり、クルマに戻ってきたら自動的にスライドドアが開く、なんていう芸当もできます。大荷物を抱えてクルマに戻ってきたときに、カバンに入っているクルマのキーを取り出して……というのはなかなかおっくう。女性のお洋服はポケットが少なく、クルマのキーはカバンに入れているという方が多いということまできちんと検証したうえでの装備だとしたら、さすがですね。

デザインは人気があったゆえのキープコンセプトですが、細部まで進化しているところが感じられて、ユーザーの立場としてはうれしい限りですよね。

(文:モータージャーナリスト・竹岡 圭)

[GAZOO編集部]

【動画】「ダイハツ・ムーヴキャンバス」試乗編

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