トヨタ「bZ4X」個性あふれるBEV専用モデル内外装デザインについて解説
2021年12月、トヨタはバッテリーEVの発表会で、2030年までに30車種を出すと明言した。その第1弾が2022年に発売されたbZ4Xだ。車名のbZには「beyond Zero」、つまりゼロエミッションの先を行くという意味が込められており、4は車格、XはSUVであることを示す。
bZ4Xは「日産アリア」「ヒョンデ・アイオニック5」「テスラ・モデルY」「フォルクスワーゲンID.4」など、多くのライバルがひしめくクラスに投入された車種である。
ボディーサイズはこのクラスでは標準的。しかしスタイリングは独自性が強い。最近のBEVはシームレスなラインを描くデザインが主流で、アリアやモデルY、ID.4はこの路線。アイオニック5は幾何学的なラインを特徴とする。対するbZ4Xは線も面も複雑で、ボディーパネルを樹脂素材のままとした部分も多い。
ここで挙げた5台のなかでは、外観はbZ4Xが最もスポーティーではないだろうか。BEV専用プラットフォームを使いつつノーズを長くし、前輪とキャビンの間が大きくとられていて、内燃機関車に近い。
顔つきはBEVらしくグリルレスで、フードからヘッドランプ上部へと連続する“ハンマーヘッド形状”で独自のデザインにチャレンジしたとしている。ハンマーヘッドという表現は、このあと登場した新型「プリウス」でも使われており、今後のトヨタの電動車のアイコンになっていく可能性がある。
一方サイドウィンドウの形状は「RAV4」、リアコンビランプは「ハリアー」との近さを感じる。トヨタのSUVとしての統一感を意識したようだ。リアゲートやバンパーがともに台形を描いているのは、重心の低さや力強い踏ん張り感を表現しているのだろう。
インテリアでまず目につくのは、デジタルメーターがかなり前方に置かれ、ドライバーがステアリングホイールのリムより上方にメーターを見るスタイルであることだ。新型プリウスも類似のメーターなので、フロントまわりのハンマーヘッド形状同様、今後のトヨタ電動車に共通する眺めになっていくのかもしれない。
キャビンは前後ともフロアが高めで、運転席に座ると、セダンやハッチバックに近い「足を前に伸ばすような姿勢」になる。後席も足を前に出すスタイルで座るが、ホイールベースが2850mmと長いので、身長170cmの筆者なら楽に足が組めるほどだ。荷室はこのクラスの標準的な広さ。上下2段式のセンターコンソールの収納スペースを含めて、使い勝手に対する配慮もなされていると感じられた。
(文:モータージャーナリスト・森口将之)
[GAZOO編集部]
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