斬新なデザインをまとう「クラウン クロスオーバー」その“中身”をチェック
長年のイメージを根底から変える、斬新なデザインで登場した新世代「クラウン」。そのシリーズ第1弾となる「クラウン クロスオーバー」のハイライトを島下泰久が解説する。
「次期型トヨタ・クラウンはSUVになる」という新聞報道で世間がざわついたのは、2021年11月のことだった。そして実際に通算16代目となる新しいクラウンはクロスオーバーを名乗り、車高を上げて大径タイヤ&ホイールを履いたセダンとして、2022年7月に登場した。大きな大きな話題となったのは、この事前の報道のおかげもあったに違いない。
よく知られているとおり、もともとあった先代モデルのマイナーチェンジ案が却下されたところからこの大変革は始まったわけだが、チーフデザイナー氏に話を聞いたところでは、その時にすでにこのリフトアップされたセダンの構想は、クラウンとはまったく別の話として存在していたという。次世代セダンのあり方を研究するなかで若いデザイナーから出たアイデアをまとめ上げたものがすでにそこにあり、急転直下それがクラウン クロスオーバーとしてカタチになったというのだ。
大径タイヤを履き地上高のあるクロスオーバーは、使い勝手の面で通常のセダンより気軽、気楽といえる。ホイールをぶつける心配が格段に減る、といった話だ。さらに、ヒップポイントが高くなるため乗員の視界は広がり、乗降性も向上する。将来的な“BEV時代”に向けては、床下にバッテリー搭載用スペースを設けやすいのもメリットとなるだろう。
一方でセダンには、車高が低いがゆえの落ち着いた車両の挙動、サスペンションを固めすぎる必要がないことによる良好な乗り心地といった美点がある。これらをうまく融合、要するにクロスオーバーさせることができれば、セダンの進化系として魅力のあるものができるのではないかというわけだ。
けれど、なんでもかんでも混ぜてしまえばいいというわけではない。今回クロスオーバーとしながらもハッチバックとはせず、室内空間から独立したトランクルームを設けたのは、セダンらしい後席の居住性・静粛性を求めたからだという。あくまでもセダンの長所、美点を生かしながら、それをさらに飛躍させるためにクロスオーバーとしたのが、クラウン クロスオーバーなのである。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[GAZOO編集部]
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