電気自動車 レクサスUX300eの改良に、風向きの変化を感じる(森口将之)
今回乗った最新型「レクサスUX300e」の最大のポイントは、駆動用バッテリーの容量が大幅に拡大されたことです。具体的には54.4kWhから72.8kWhにアップしていて、WLTCモードでの一充電走行距離は、従来の367kmから約40%も増えて、512kmになったそうです。
とはいえ、これ自体はすごい話題だとは思いません。航続距離の大幅延長は、少し前に多くの車種で見られたからです。例えば「日産リーフ」で容量40kWhの従来型に加えて同62kWhのバッテリーを搭載する「リーフe+」が追加されたのは、2019年のことでした。
500kmを超える航続距離は、たしかに出先での“電欠”の心配が薄れるので、歓迎できることです。しかしレクサスUXと同じクラスの電気自動車(以下レクサスの表記に倣いBEV)を見ると、「アウディQ4 e-tron」は594km、「ボルボXC40リチャージ」は590kmと、さらに上をいっています。
しかも車両価格は、UX300eが630万円〜、Q4 e-tronが638万円〜、XC40リチャージが679万円〜と、国産車と輸入車とでさほど大きな差がないことにも気がつきます。
それでも今回の改良がニュースだと思えたのは、風向きの変化を感じたからです。UX300eは2020年に、レクサスの市販BEV第1号として発売されました。しかし2020年度分については、135台の限定販売となっていました。翌年度以降は量販に移行しましたが、ここまで慎重な導入はあまり目にしたことはありません。
レクサスはこれに先立つ2019年、東京モーターショーで、次世代の電動化戦略「Lexus Electrified」を発表。2025年には全車種に電動車を設定し、電動車の販売比率がガソリンエンジン車の比率を上回ることを目標に掲げました。とはいえ、いざスタートするとバッテリーの供給能力が上がらず、台数限定にせざるを得なかったようです。しかも前述のように、当初の航続距離は367km。すでに「テスラ・モデル3」などが500km以上を豪語していたなかでは、物足りなさを覚えました。
ところが2023年に入って、3月30日に今回紹介するUX300eの改良を実施するとともに、レクサス初の専用設計BEVである「RZ450e」も発売。同時にBEVオーナー専用サービス「LEXUS Electrified Program」もスタートしたのです。(後半に続く)
(文:モータージャーナリスト・森口将之)
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森口将之さんが解説するレクサス・UX300eの注目ポイント
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