トヨタ・ヴェルファイア「Lクラスミニバンの王者たる理由」(竹岡 圭)

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ヴェルファイア」の兄弟である「アルファード」が初登場したとき、「もはやこれはそびえ立つ山では?」と思ったのを覚えています。あの頃はここまで大きいと、もうロケバスサイズという認識で、自家用車という感じではなかったんですよね。

当時私が勤めていた会社では、「エスティマ」を使っていましたが、それでも「さすがにアルファードは大きすぎるからね~」なんて言っていたほどでしたから。

ちなみにその時代はまだ、ミニバン全盛期といわれる少し前で、プチバンからLクラスまでズラリ勢ぞろいという、今ほどのミニバンラインナップにはなっておらず、その後は5ナンバーサイズミニバンの全盛時代が続きます。トヨタでいえば「ノア/ヴォクシー」がそれにあたりますが、それすらだんだんと大型化しまして、今や全幅1700mmを超えるのが当たり前の時代になりました。

というわけで、その頃はデカイ! と思ったアルファード(と、のちに加わるヴェルファイア)は全幅1850mmにとどまっていますから、今ではさほど大きくも感じないなんていう、不思議な現象が起こっています。

そう、クルマって、気がつけば大型化してたんですよね。ダウンサイジングなんていう言葉をよく聞くようにはなりましたけれど、振り返ってみればダウンサイジングされたのはエンジンの排気量ばかり。ボディーサイズって、あまり小さくなってないんですよね。

でもそれは、皆さんがそのスペースを求めているからだと思うんです。特にアルファード/ヴェルファイアを購入するとなると、あの広さ感が欲しいわけじゃないですか。なので、ボディーサイズを変えずにパッケージングを巧みに工夫して、室内の有効空間を広くするというのは、実にクレバーな方法。さすが王者ですよね。

ほかに大きなクルマが増えたせいもあり、ヴェルファイアを運転しても特に大きいと感じなくなって(笑)、ラクだなぁ~と。もちろんこの運転のしやすさこそ、クルマの良さということにほかなりませんけどね!

(文:モータージャーナリスト・竹岡 圭)

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