【ホンダN-BOX】今や日本の国民車(竹岡圭)

  • ホンダN-BOX

「NEW NEXT NIPPON NORIMONO」。これは、「ホンダN-BOX」が誕生したときのキャッチフレーズです。

ホンダには「N360」から続く「N」のイニシャルがありまして、あらためてホンダのオフィシャルサイトをのぞいてみると、もともとのホンダのNは「Norimono」の「N」だと書かれていました。それが時代を経て「NEW」と「NEXT」、「NIPPON」のアレンジが加わったということなのでしょう。

ホンダによると「これからの新しい次の日本の乗り物を創る」という思いがあったそうですが、軽自動車というのは日本独自の規格なので「NIPPON」はピッタリはまりますし、「NEW」はホンダ初のスーパーハイトワゴンということで、これまた見事に当てはまる。整合性とインパクトの強さで、N-BOXにはピッタリだ! と印象づけられて、以来、ずっと記憶に残っています。

さて、その“NEWスーパーハイトワゴン”の特徴は、なんといっても四角いことだと思います。

軽自動車のスーパーハイトワゴンは、ミニバン並みに背が高いけれど、全体的にパッと見たときの安定感を出すために上の四隅を強調しないものが多いように思うんですよね。

そこをあえて四角さを強調しつつ安定感も表現する、というのをやってのけた。これにはもしかすると、ミニバンをたくさんつくり続けてきたノウハウがあったのかもしれません。まぁ、勝手な臆測ですが(笑)。

そして、その形をさらに生かしているのが、センタータンクレイアウトです。通常はリアシートの下に置かれている燃料タンクが、床下に薄く配置されているために、リアシートの位置を自由に設定しやすいんですよね。そしてそして、このおかげで可能になったのが、他メーカーの軽にはまねできない、リアシートの座面のチップアップというアレンジ。これは軽自動車界広しといえども、ホンダの軽にしかできない技です。

ところが初代N-BOXは、広さにこだわるあまり、多彩なシートアレンジの可能性を生かし切れてはいませんでした。リアシートがスライドしなかったため、このクラスのユーザーとしてメインとなることが多い、小さいお子さまがいるご家庭では、運転席からお子さまに手が届きにくかったりと、使い勝手に工夫が必要な事態になってしまったんです(その後の商品改良で、スライドリアシートをオプション設定)。いまはスライド+座面のチップアップができるようになっているため、それも解決。幅広いライフステージの方にとって使いやすくなりました。

とにもかくにも、数あるスーパーハイトワゴンのなかでN-BOXにしかできないことがあるというのは、大きな強みだと思います。まさに「NEW NEXT NIPPON NORIMONO」の面目躍如ですよね。

(文:モータージャーナリスト・竹岡 圭)

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