【日産フェアレディZ NISMO】普段使いもできるスポーツカー(森口将之)
「フェアレディZ」が、日本で希少なスポーツカーであり続けていた1970年代中盤は、僕がクルマに興味を持ち始めた時期でもあります。
当時、輸入車は今より縁遠い存在でしたが、スーパーカーブームなるものが突然押し寄せたことで、「ランボルギーニ・カウンタック」をはじめ、魅惑的なスポーツカーの存在が多くの人に知らされました。
それに対して日本車でスーパーカー的な扱いを受けていたのは「トヨタ2000GT」と1978年に発表された「マツダ・サバンナRX-7」で、フェアレディZはカウントされていなかったと記憶しています。
ヘッドランプがリトラクタブル式ではなかったこともありますが、スポーツカーとしては背が高めだったうえに、初期に存在した「Z432」や「240Z」といった高性能バージョンが消え、性能面で平凡だったことも理由だったようです。
とはいえアメリカでも、当初2.4リッターだった排気量が2.8リッターにまで拡大されたものの、“それ以外はほぼ同じクルマ”が大人気だったわけです。かの地におけるスポーツカーが、ライフスタイルを反映するクルマだったことも関係しているのでしょう。
「ポルシェ911」に近いスペックを持ちながら価格は約半分。スタイリッシュなのに実用的で信頼性も高い。その持ち味は現行型もしっかり受け継いでいます。こんなに普段使いできるスポーツカーはちょっと思い当たりません。
でもフェアレディZはカッコだけのスポーツカーではありません。初代にあたるS30型は日米のレースで活躍したほか、アフリカのサファリラリーでも優勝しました。4代目のZ32型はデイトナ24時間総合優勝、ルマン24時間総合5位などの成績を残し、現行型はSUPER GTで挑戦を続けています。
今回の試乗車に見られるNISMOブランドは、S30の時代に大森ワークスとして関わっていたレース部門をルーツとしています。だからなのか、ノーマルより長くて低いノーズを見て、大森ワークスも走らせていた「エアロダイナノーズ」付きの「240ZG」を思い出しました。
現行フェアレディZのデザイナーは「S30のシルエットを継承することにこだわった」と話していました。ヘッドランプの光り方は240ZGを意識したそうです。その解答と思える「フェアレディZ NISMO」。機能を押さえているだけではないところにも感心しました。
(文:モータージャーナリスト・森口将之)
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森口将之さんが解説する日産・フェアレディZ NISMOの注目ポイント
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