ボルボEX30から感じる強い意志とメッセージ
自動車メーカーに関する仕事なのに、滞在中に一度もテストカーや新型車を運転しないという、一風変わった海外取材をしたことがあります。
世界の子どもたちに向けて熱心に行ってきた環境教育の一環として、ボルボは2002年から子ども向け環境プロジェクトコンテスト「ボルボ・アドベンチャー」を開催しており、スウェーデンで行われた2007年大会の最終選考会に日本のグループが選ばれたため、私が密着取材をすることになったのです。
ボルボ・アドベンチャーは、言葉も普段の生活も、受けている教育も異なる10歳から16歳の子どもたちが世界中から集まり、ともに環境への意識を高め合うという素晴らしいイベントで、環境先進国スウェーデンのさまざまな施設や自然を体験するプログラムも盛りだくさん。ホスト役の学生たちが通う学校の見学や、皆さんの自宅に招かれてのディナー、森をハイキングしながらの植林など、貴重な体験ばかりでした。
ボルボが誇るクリーンな工場を見学する時間もあり、子どもたちはこうしたプログラム一つひとつを通して、自然の大切さや温かさ、面白さ、そして問題点に気づいたようです。盛んに話し合う姿が印象的で、「この子たちが免許を取ったら、きっとエコカーを選ぶだろうな」と感じたものでした。
あれから17年。当時10歳だった子も今や“アラサー”です。温暖化にはいまだ歯止めがかからず、世界的に見れば電気自動車への移行の動きもここにきて失速。でも、だからこそ、ボルボは「EX30」で、うわべだけのエコではない本気のエコカーをつくろうとチャレンジしたのではないかと感じています。幼い頃から環境教育をしっかりと受けて大人になった世代には、うわべだけの電気自動車は通用しない。そう確信しているかのようです。
ボルボが掲げるのは、「2040年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにし、完全な循環型ビジネスを実現する」という、大きな目標です。そのためにまずは2025年までに、リサイクル素材およびバイオ素材のプラスチック使用率を25%に、リサイクルアルミニウム使用率を40%に、リサイクルスチールの使用率を25%に高めることを宣言。今回のEX30では、それぞれ17%、25%、17%まで達成し、ボルボ史上最もカーボンフットプリントの小さいクルマとなっているのです。
思い返せばボルボは、まだ「環境問題」などという言葉がなかった時代から、環境負荷を低減するさまざまな取り組みを行ってきています。クルマが環境に及ぼす影響を細部にわたり数値化した環境製品情報(EPI)を、世界で初めてユーザーに公開した自動車メーカーもボルボでした。そんなボルボが本気でつくった電気自動車、EX30からは、今までにないほど強い意志とメッセージを感じるのです。
(文:カーライフ・ジャーナリスト・まるも亜希子)
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まるも亜希子さんが解説するボルボEX30の注目ポイント
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