【ボルボ XC60 新型試乗】クルマにスマホがくっついちゃった…中村孝仁
ボルボ『XC60 B5』はこれまでにも試乗したことがあるのだが、今回のモデルはグーグルが開発したAndroidベースのインフォテイメントシステム「Google Apps and Services (Googleアプリ/サービス)」を持つものだ。
「まぁ、車にスマホがくっついちゃったみたいな感じですかね」とはボルボマーケテンィグのHさん。要するにまずは自分のスマホから登録をするとクルマ側でそのスマホを認識し、グーグルのアプリやサービスが利用できるというものだ。この機能は何もXC60に限ったことではなく、とりあえずXC60、『S90』、『V90』および『V90クロスカントリー』に装備されるという。
すでに2021年の9月1日から発売されていて、昨年試乗会も開催されたのだが、如何せん1時間少々の試乗時間ではあれこれ試すことができず、ようやくゆっくりと乗れることになったので、あれこれと試してみた。
現時点では英語認識のみ、最大5台のスマホを登録
残念ながら音声認識は現時点で英語のみの対応となり、いずれ日本語対応も出るようだが、現状は音声コマンドは英語だけだ。試乗会の時につたない英語でコマンドを出してみたがちゃんと受け付けて目的地まで連れて行ってくれた。今回は自分のスマホを登録し(ただしiPhone)、そこからコマンドを出して使ってみた。
例えば音楽を聴きたいというケース。自分のスマホに入っているのは当たり前として、スポティファイやYouTubeの音楽を楽しむことができる。もっともまずは自分のスマホで登録することが大前提で、登録さえしてあればガンガン楽しむことができる。では、車に登録できるスマホは1台だけかというとそんなことはない。
合計5台のスマホを登録することが可能で、プロファイルというところから指示に従ってスマホを登録する。最初はオーナーという名称がついて次にビジター、プロファイルA、新規プロファイルと最大5台まで登録可能なのだそうだ。まあ、家族が5人以上いた場合は登録した者順ということだろうか。
使い方をマスターすれば強力な武器となる
今回はスマホを登録したことでまずは自宅住所がすぐに入り、検索欄に自宅という項目が出てくる。どこに行っていても家に帰ることができるというわけだ。それにスマホ側のグーグルマップを使って目的地入力をすると、それがクルマ側に反映されるから、下手な英語を使う必要はないし、もっと言えば日本の住所をすんなり入れることができた。日本語の音声入力ができるようになった場合にこの辺りがどうなるかはわからないが、現状でも十分に使える。
そして検索欄にはレストラン、カフェ、スーパーマーケット及びガソリンスタンドのピクトグラムが出てきて、それを押すと近場のレストランやガソリンスタンドなどを表示し、そこから行きたい場所をクリックすればナビを開始してくれる。結構便利に使えそうだ。それに案内がとても細やかである。
さすがにそれは違うだろ!と思ったのはジャンクションを出口と案内すること。例えば首都高9号線から湾岸線横浜方面に向かっていた時、辰巳ジャンクションで右方向出口と言われた。知らない人だったら出口を探してしまうところである。この辺りはまだブラッシュアップの必要性がありそうだ。それに首都高横浜北線の横羽線との分岐では、東名方面に行くのに新横浜方面と案内されるが、新横浜の表示はないなど、不案内なドライバーには困る点も多々あった。
とはいえ、使い方をマスターしたらスマホ同様強力な武器となりえることは間違いない。
「運転準備を完了しましたか?」せかされ感がない優しさ
インフォテイメント系だけでなく、車両設定などもすべて画面タッチで行えるが新たな機能として先行車が発進したことを案内してくれる機能が追加されている。これ、ボルボらしい気遣いに感心してしまった。たいていの場合はアラーム音とともに「先行車が発進しました」と音声で伝えてくれるのだが、ボルボの場合はアラーム音の後音声案内ではなくメーター内に「運転準備を完了しましたか?」という優しいメッセージを出してくれること。発進準備でもよかったが、「前が出たから空いてるぞ!」的せかされ感がないのが有難い。言葉の使い方ひとつでこうも違うものかと感じたシーンだった。
XC60自体は以前から変わりないのだが、今回の試乗車はエアサスペンション付きで、初めて体験した数年前のものから格段に乗り心地が良くなっていて、大型車用のSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ)の本領が発揮されている印象が強くなっている。また、48Vのマイルドハイブリッドシステムのおかげで信号待ちのエンジン停止から発進する際の再始動が非常にスムーズだからエンジンで動いているとはいえ、機械的なギクシャク感が皆無になったところもクルマ全体をスムーズに感じさせる大きな要因だ。
次は日本語に対応するグーグルが出た時にまた乗ってみようと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
「まぁ、車にスマホがくっついちゃったみたいな感じですかね」とはボルボマーケテンィグのHさん。要するにまずは自分のスマホから登録をするとクルマ側でそのスマホを認識し、グーグルのアプリやサービスが利用できるというものだ。この機能は何もXC60に限ったことではなく、とりあえずXC60、『S90』、『V90』および『V90クロスカントリー』に装備されるという。
すでに2021年の9月1日から発売されていて、昨年試乗会も開催されたのだが、如何せん1時間少々の試乗時間ではあれこれ試すことができず、ようやくゆっくりと乗れることになったので、あれこれと試してみた。
現時点では英語認識のみ、最大5台のスマホを登録
残念ながら音声認識は現時点で英語のみの対応となり、いずれ日本語対応も出るようだが、現状は音声コマンドは英語だけだ。試乗会の時につたない英語でコマンドを出してみたがちゃんと受け付けて目的地まで連れて行ってくれた。今回は自分のスマホを登録し(ただしiPhone)、そこからコマンドを出して使ってみた。
例えば音楽を聴きたいというケース。自分のスマホに入っているのは当たり前として、スポティファイやYouTubeの音楽を楽しむことができる。もっともまずは自分のスマホで登録することが大前提で、登録さえしてあればガンガン楽しむことができる。では、車に登録できるスマホは1台だけかというとそんなことはない。
合計5台のスマホを登録することが可能で、プロファイルというところから指示に従ってスマホを登録する。最初はオーナーという名称がついて次にビジター、プロファイルA、新規プロファイルと最大5台まで登録可能なのだそうだ。まあ、家族が5人以上いた場合は登録した者順ということだろうか。
使い方をマスターすれば強力な武器となる
今回はスマホを登録したことでまずは自宅住所がすぐに入り、検索欄に自宅という項目が出てくる。どこに行っていても家に帰ることができるというわけだ。それにスマホ側のグーグルマップを使って目的地入力をすると、それがクルマ側に反映されるから、下手な英語を使う必要はないし、もっと言えば日本の住所をすんなり入れることができた。日本語の音声入力ができるようになった場合にこの辺りがどうなるかはわからないが、現状でも十分に使える。
そして検索欄にはレストラン、カフェ、スーパーマーケット及びガソリンスタンドのピクトグラムが出てきて、それを押すと近場のレストランやガソリンスタンドなどを表示し、そこから行きたい場所をクリックすればナビを開始してくれる。結構便利に使えそうだ。それに案内がとても細やかである。
さすがにそれは違うだろ!と思ったのはジャンクションを出口と案内すること。例えば首都高9号線から湾岸線横浜方面に向かっていた時、辰巳ジャンクションで右方向出口と言われた。知らない人だったら出口を探してしまうところである。この辺りはまだブラッシュアップの必要性がありそうだ。それに首都高横浜北線の横羽線との分岐では、東名方面に行くのに新横浜方面と案内されるが、新横浜の表示はないなど、不案内なドライバーには困る点も多々あった。
とはいえ、使い方をマスターしたらスマホ同様強力な武器となりえることは間違いない。
「運転準備を完了しましたか?」せかされ感がない優しさ
インフォテイメント系だけでなく、車両設定などもすべて画面タッチで行えるが新たな機能として先行車が発進したことを案内してくれる機能が追加されている。これ、ボルボらしい気遣いに感心してしまった。たいていの場合はアラーム音とともに「先行車が発進しました」と音声で伝えてくれるのだが、ボルボの場合はアラーム音の後音声案内ではなくメーター内に「運転準備を完了しましたか?」という優しいメッセージを出してくれること。発進準備でもよかったが、「前が出たから空いてるぞ!」的せかされ感がないのが有難い。言葉の使い方ひとつでこうも違うものかと感じたシーンだった。
XC60自体は以前から変わりないのだが、今回の試乗車はエアサスペンション付きで、初めて体験した数年前のものから格段に乗り心地が良くなっていて、大型車用のSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ)の本領が発揮されている印象が強くなっている。また、48Vのマイルドハイブリッドシステムのおかげで信号待ちのエンジン停止から発進する際の再始動が非常にスムーズだからエンジンで動いているとはいえ、機械的なギクシャク感が皆無になったところもクルマ全体をスムーズに感じさせる大きな要因だ。
次は日本語に対応するグーグルが出た時にまた乗ってみようと思う。
■5つ星評価
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1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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