【三菱 デリカミニ 新型試乗】専用チューニングの足回りが光る!その名に恥じない安心感…島崎七生人
開発責任者の藤井康輔CPSによれば「従来のeKクロススペースは、ともすればeKスペースの“カスタム版”と受け止められていた」という。そこでガツン!と(とは藤井CPSは仰ってはいないが)名門デリカの名を与え、SUVらしさをより強調して登場したのがこの『デリカミニ』だ。
実車はなかなか人目を惹くデザイン。UKの『ディフェンダー』あたりを思わすフロントマスクは、クッキリとした造形で印象的だし、新アレンジのダイナミックシールド、エンボスで大きく入ったDELICAのロゴも嫌みがない。しっかりと“顔がある”、そう感じる。
ちなみにクルマ以上に(!?)すでに話題の公式キャラクターの「デリ丸。」も実にかわいらしい。デリカミニの化身でヤンチャ坊主とのこと、そこで我が家にもいる同じヤンチャ坊主で自称モータージャーナリスト犬の柴犬のシュン(1歳半)をデリカミニとからめて写真撮影してみた。が、試乗・撮影日前日にリハーサルで自宅の庭で399カットも撮って本番に臨んだものの、「ウェイ!」と言わせるにはデリ丸。のほうが役者が1枚も1枚も上手……そんな気がした。
◆「デリカ」の名に恥じない安心感
試乗車は「T Premium」の4WD車。パワートレインはDOHC 12バルブ3気筒インタークーラー付きターボチャージャーのハイブリッド仕様だ。試乗して印象的なのは、スーパーハイト系ながら、デリカミニの車名に恥じない安心感の高い走りっぷりだということ。
とくに165/60R15 75Hサイズタイヤ(指定空気圧は250kPa)を装着、ダンパーを専用チューニングしたという足回りによる乗り心地は他のスーパーハイト系モデルとの違いを実感するところ。前後席とも乗員の頭が横に振られにくく、ラフロードに入った際のショックがタイヤとダンパーでしっかり緩和されているのも実感できる。
高速走行時の直進性の乱れも少なめだ。動力性能はDsポジションを選んで走らせるとよりレスポンスのいいパワーフィールが味わえる。
◆人も犬も快適な後席空間と乗り味
乗り味に関しては、我が家のシュンを後席に座らせた状態でも、身体の揺れが小さいために快適に乗っていられるようだった。デリカミニの後席は座面前後長がたっぷりしており、クッションストロークもあるため、人でも着座感は上々。さらにより低く広い床面であれば、(外の景色が見えないことが不満のようだが)シュンはフセの姿勢でより安心して乗っていた。
後席用にプラズマクラスター付きのサーキュレーターが備わり、後席の空調を快適に整えられるのもありがたい。ありがたいといえばステアリングヒーターを備えるのもデリカミニのこだわりのひとつだ。
PVCのサイド材とダウンジャケットの素材から着想したというメイン材を表皮に用いたシートは、上質感がありハイセンスで、普段使いでも満足度が高い。
◆日常も週末も気分上々に乗りこなせそう
デリカミニという個性と走りが楽しめ、スーパーハイトワゴンならではの実用性の高さも備え、日常も週末も「ウェイ!」と気分上々に乗りこなせそうなチャーミングなパーソナルギヤだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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