【VW ID.4ライト 新型試乗】自宅充電できるなら「星5つ」!18インチのタイヤがいい仕事をする…諸星陽一
フォルクスワーゲン初の電動SUVとして2022年11月に日本に導入された『ID.4』の標準タイプの「Lite(ライト)」に試乗した。
当初ID.4は初期導入モデルとして、77kWhのバッテリーを搭載する「ローンチエディション・プロ」と、52kWhのバッテリーを搭載する「ローンチエディション・ライト」が用意された。標準モデルはバッテリー容量こそ変わらないものの制御プログラムなどを変更し、走行可能距離を77kWhバッテリーで561km→618km、52kWhバッテリーで388km→435kmに延長している。
試乗車はそのプログラム変更が行われた52kWモデルのライト。車両重量は1950kgでプロよりも190kgも軽い。また、装着されるタイヤもプロではフロントが235/50R20、リヤが255/45R20の20インチタイヤが装備されるが、ライトの場合は235/60R18と2サイズインチダウンされたタイヤを履く。
◆18インチのタイヤがいい仕事をする
試乗車に近づいていくとまずこのタイヤの違いに目がいく。最近のクルマはとにかく扁平率が低くエアボリュームが少ないタイヤを履くことが多いが、試乗車のプロはタップリとエアが入り緩やかに膨らんだサイドウォールはなかなか見かけない光景である。
このタイヤがいい仕事をする。最近のクルマにもっとも足りないのは、ゆったりした余裕のある乗り心地だが、ID.4ライトはこの60タイヤのおかげでフワッとして優しい乗り心地、今のクルマが失いつつある優しい乗り心地を持っている。レクサスなども車種によっては、オプションとして扁平率の高いタイヤを設定していることがある。見た目のかっこよさは扁平率が低く、ホイールが大きくタイヤハイトの薄いものとなるのかもしれないが、乗り心地などの実を取るなら60タイヤ程度がマッチングがいい。
クルマのパッケージング的にはフロア下にバッテリーを積むものなので、重心が低く安定感がいい。ワインディングを走っても60タイヤだからプアで不安ということもない。こういうチョイスに乗っていると、大人だなあと感じる部分だ。ID.4はリヤドライブ(後輪駆動)で、フロントタイヤは操舵のみに使われるためハンドリングがいい。60タイヤになってもその素質は失われておらず、ワンディングでもかなりスポーティに走ることが可能だ。
高速道路を走ると、これがまた楽で快適だ。東名高速道路の御殿場インターから名古屋方面に向かい、新東名に入るコースだと120km/h区間がある。もちろん120km/hで走っても何の不安感もない。ACCの制御もよく、シームレスに速度を調整しつつ先行車を追従していく。
◆普通に走らせるぶんにはまったく不満はないが…
普通に走らせるぶんにはまったく不満のないID.4だが、不満もある。
まず回生量の調整をするパドルスイッチのようなものが存在しないこと。アクセルペダルを戻したときの回生ブレーキがほしい場合は、Bモードにする必要がある。日本のように細かく速度調整が必要な道路事情ではパドルスイッチによる速度調整は必須である。
ID.4は右ハンドルであるが、右ハンドル仕様としての作り込みが甘い。左ウインカーレバーであるのはもちろんだが、緊急時対応もできていない。ID.4はキーを持って乗り込めば、とくに起動ボタンなどを押さずともスタートできるが、起動ボタンはステアリングコラム右側に用意されている。セレクトレバー(エンジン車でいうところのATセレクター)は、メーターカバーの右側だ。これでは、ドライバーが失神するなどの緊急事態が発生しても、左側の助手席に乗っている人は何も対処できない。左ハンドル仕様なら助手席は右側になるから問題はないが、右ハンドル仕様にするならそうしたことまできちんと設計するべきだろう。フォルクスワーゲン車は、ライトがオフのままであたりが暗くなると「ヘッドライトを点灯してください」といったアラートがメーター内に表示される良心的なクルマ作りをしている。ならば、緊急時対応も考えてほしいのである。
ID.4ライトの車両本体価格は514万2000円。国の補助金が65万円支給されるとすると、実質449万2000円。東京都の場合は自治体として45万円の補助金があるので、404万2000円というプライスになる。これは総合的にみればかなりお得。ただしEVは自宅充電できることが購入の前提になるので、オススメ度の★は4つとした。自宅充電できるなら5つだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
当初ID.4は初期導入モデルとして、77kWhのバッテリーを搭載する「ローンチエディション・プロ」と、52kWhのバッテリーを搭載する「ローンチエディション・ライト」が用意された。標準モデルはバッテリー容量こそ変わらないものの制御プログラムなどを変更し、走行可能距離を77kWhバッテリーで561km→618km、52kWhバッテリーで388km→435kmに延長している。
試乗車はそのプログラム変更が行われた52kWモデルのライト。車両重量は1950kgでプロよりも190kgも軽い。また、装着されるタイヤもプロではフロントが235/50R20、リヤが255/45R20の20インチタイヤが装備されるが、ライトの場合は235/60R18と2サイズインチダウンされたタイヤを履く。
◆18インチのタイヤがいい仕事をする
試乗車に近づいていくとまずこのタイヤの違いに目がいく。最近のクルマはとにかく扁平率が低くエアボリュームが少ないタイヤを履くことが多いが、試乗車のプロはタップリとエアが入り緩やかに膨らんだサイドウォールはなかなか見かけない光景である。
このタイヤがいい仕事をする。最近のクルマにもっとも足りないのは、ゆったりした余裕のある乗り心地だが、ID.4ライトはこの60タイヤのおかげでフワッとして優しい乗り心地、今のクルマが失いつつある優しい乗り心地を持っている。レクサスなども車種によっては、オプションとして扁平率の高いタイヤを設定していることがある。見た目のかっこよさは扁平率が低く、ホイールが大きくタイヤハイトの薄いものとなるのかもしれないが、乗り心地などの実を取るなら60タイヤ程度がマッチングがいい。
クルマのパッケージング的にはフロア下にバッテリーを積むものなので、重心が低く安定感がいい。ワインディングを走っても60タイヤだからプアで不安ということもない。こういうチョイスに乗っていると、大人だなあと感じる部分だ。ID.4はリヤドライブ(後輪駆動)で、フロントタイヤは操舵のみに使われるためハンドリングがいい。60タイヤになってもその素質は失われておらず、ワンディングでもかなりスポーティに走ることが可能だ。
高速道路を走ると、これがまた楽で快適だ。東名高速道路の御殿場インターから名古屋方面に向かい、新東名に入るコースだと120km/h区間がある。もちろん120km/hで走っても何の不安感もない。ACCの制御もよく、シームレスに速度を調整しつつ先行車を追従していく。
◆普通に走らせるぶんにはまったく不満はないが…
普通に走らせるぶんにはまったく不満のないID.4だが、不満もある。
まず回生量の調整をするパドルスイッチのようなものが存在しないこと。アクセルペダルを戻したときの回生ブレーキがほしい場合は、Bモードにする必要がある。日本のように細かく速度調整が必要な道路事情ではパドルスイッチによる速度調整は必須である。
ID.4は右ハンドルであるが、右ハンドル仕様としての作り込みが甘い。左ウインカーレバーであるのはもちろんだが、緊急時対応もできていない。ID.4はキーを持って乗り込めば、とくに起動ボタンなどを押さずともスタートできるが、起動ボタンはステアリングコラム右側に用意されている。セレクトレバー(エンジン車でいうところのATセレクター)は、メーターカバーの右側だ。これでは、ドライバーが失神するなどの緊急事態が発生しても、左側の助手席に乗っている人は何も対処できない。左ハンドル仕様なら助手席は右側になるから問題はないが、右ハンドル仕様にするならそうしたことまできちんと設計するべきだろう。フォルクスワーゲン車は、ライトがオフのままであたりが暗くなると「ヘッドライトを点灯してください」といったアラートがメーター内に表示される良心的なクルマ作りをしている。ならば、緊急時対応も考えてほしいのである。
ID.4ライトの車両本体価格は514万2000円。国の補助金が65万円支給されるとすると、実質449万2000円。東京都の場合は自治体として45万円の補助金があるので、404万2000円というプライスになる。これは総合的にみればかなりお得。ただしEVは自宅充電できることが購入の前提になるので、オススメ度の★は4つとした。自宅充電できるなら5つだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
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フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
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