【ホンダ フリード 新型試乗】ハイブリッドの「e:HEV」を選ぶべき3つの理由…中村孝仁
理由は沢山ある。単純に試乗車で比較してしまうのは問題があるかもしれないが、5人乗りクロスターのお値段は、メーカーの車両価格が281万2700円。そしてオプションを含んだ広報車の価格は、320万3200円である。これに対してe:HEVエアは、6人乗りEXというグレードでメーカーの車両価格が304万7000円。オプションを含んだ広報車は、357万1700円である。車両価格だけの比較で23万4300円、e:HEVの方が高いが、試乗後の感想としては、これは安い投資だと思えたほど、e:HEVの方がおよそあらゆる点で優れていた。
◆e:HEVが優れる3つの理由
まずはパフォーマンスだ。e:HEVは106psの1.5リットル4気筒エンジンと、123psのモーターを持つ。一方のガソリン車は118psの1.5リットル4気筒のみ。ほとんどのケースでガソリンエンジンが顔を出さないe:HEVだから、単純にモーターのパワーだけでガソリン車のそれを上回るわけで、とりわけ街中などでの走りには力強さを感じさせる。
次にそのエンジンだが、回すと結構やかましい話をクロスターの試乗で書かせていただいたが、e:HEVだとそれがない。とにかくあらゆるシーンで至って静粛性が高く、無理のない印象を受ける。
そして3つ目にして大きな差は、燃費である。ほぼクロスターと同じ150km程度しか走れなかったが、クロスターが10.9km/リットルだったのに対し、e:HEVの方は軽々と24.3km/リットルを記録した、街乗りが多く、ほとんどガソリンエンジンに点火しなかったことも好結果につながっている。因みにe:HEVのWLTCモードは25.4km/リットルとされるので、普通に走ってもそれに近い数値を叩き出せるというわけだから、正直なところ燃費はすこぶる良い。
この3つの事実で、フリードを選ぶならエアにせよクロスターにせよ、e:HEVが絶対にお勧めということになるわけだ。
◆静けさと低燃費、そして力強い加速感
エアの方は、3列シートを持ち、従来通り5ナンバー枠に収まるサイズである。前述したように、こちらは全くもって静かだし、フラットな乗り味に変わりはない。エアですら「無事之名馬(ぶじこれめいば)」と思えたのだから、それに加えてさらなる静けさと低燃費、さらにモーターならではの力強い加速感を持っているとなれば、本当に文句のつけようがない。
見事というか呆気ないほどシンプルなメータークラスターに示されるのは、車速と燃料、それにバッテリーの残量だけで、他にいくつかのピクトグラムだったりワーニングだったりはあるものの、驚くほどメカメカしい部分を排除して、正直気を付けるのはスピード違反とガス欠ぐらいなものである。
シフトレバーを伝統的な1列にPRNDBと並べて直線的に操作するシステムを採用してくれたことは、個人的には大いに評価する。ただ、果たしてBレンジは必要なのだろうか?もし必要あるとすれば、ブレーキを意味するBではなくて、何かほかの頭文字を使う方が良いと思う。
理由はバックのBと間違えるから。世の中で後退するときにリバース「R」するなんて言う人は誰もいない。みんなバック「B」するというはずで、実はそれで、Bに入れるとバックすると思っている人が、少なからず存在するからである。自動車の記事を読むような人は「まさか!」と思うかもしれないが、軽自動車に軽油を入れようとする人がいるのと同じ。紛らわしいことはできるだけ排除すべきだと思っている。
◆趣味性はゼロだが
それにしても自動車が高価なものになった今、300万円ほどの投資でこれほど良くできたものを提供してくれるのだから実にありがたい。もっとも趣味性はゼロである。まあ、ママチャリのようなもんだ。姿形はさておき、よく走り、スムーズで疲れ知らずである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。
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