【試乗記】三菱エクリプス クロス ブラックエディション(4WD/8AT)

三菱エクリプス クロス ブラックエディション(4WD/8AT)【試乗記】
三菱エクリプス クロス ブラックエディション(4WD/8AT)

名馬にクセあり

クリーンディーゼルを搭載する、手ごろなサイズのSUV――「三菱エクリプス クロス」のディーゼルモデルは、日本国内ではなかなかレアな存在だ。では、その乗り味はどうか? 市街地から高速道路、ワインディングロードまで試乗して確かめた。

やり直しからの国内デビュー

国内では2018年3月に発売された、三菱のSUV「エクリプス クロス」。ディーゼルエンジン搭載車は、2019年6月にラインナップに加わった。
国内では2018年3月に発売された、三菱のSUV「エクリプス クロス」。ディーゼルエンジン搭載車は、2019年6月にラインナップに加わった。
「エクリプス クロス」のインテリアカラーはブラックのみ。各所にマットシルバーとピアノブラックの装飾を施すことで、上質感が演出されている。
「エクリプス クロス」のインテリアカラーはブラックのみ。各所にマットシルバーとピアノブラックの装飾を施すことで、上質感が演出されている。
シートの表皮はファブリック。オプションで、電動調節機構を持つ本革シート(22万6800円)も用意される。
シートの表皮はファブリック。オプションで、電動調節機構を持つ本革シート(22万6800円)も用意される。
給油口のそばには、排ガスの浄化に用いられる尿素水溶液「AdBlue」の投入口が設けられている(写真の青いキャップ)。
給油口のそばには、排ガスの浄化に用いられる尿素水溶液「AdBlue」の投入口が設けられている(写真の青いキャップ)。
今回の試乗車は、ブラックのドレスアップを特徴とする特別仕様車「ブラックエディション」。ボディーカラーそのものはブラック限定ではなく、全5色が用意されている。
今回の試乗車は、ブラックのドレスアップを特徴とする特別仕様車「ブラックエディション」。ボディーカラーそのものはブラック限定ではなく、全5色が用意されている。
エクリプス クロスのディーゼルモデルは、既存のガソリンモデルから約1年3カ月遅れでの国内発売ということになった。

エクリプス クロスそのものが世界初公開されたのは2017年3月のジュネーブモーターショーである。当時のニュースを振り返ると、この時点ですでに「新開発1.5リッター直噴ガソリンターボと2.2リッターディーゼル(正確には2267cc)の2種類がある」と明言されている。また、2017年秋の欧州を皮切りに豪州、北米、日本、アセアン……と順次発売されることも同時に発表となったが、ガソリンとディーゼルの導入にタイムラグがある由はアナウンスされなかった。

実際、当時は自動車専門メディアの間でも最初からガソリンとディーゼルが用意されると認識されており、三菱側もそれを否定していなかった。その後「ディーゼルが遅れるかもしれない」という情報が漏れ伝わってきたのは、国内での予約受注が始まった2017年末ごろだったと記憶する。そして、翌2018年3月、エクリプス クロスはひとまずガソリンのみで国内正式発売となった。

こうしてエクリプス クロスのディーゼルが遅れた最大の理由は、排ガス対策を途中でやり直したからだ。「デリカD:5」の試乗記でも書かせていただいたが、この2.2リッターディーゼル+8段ATのパワートレインは当初、従来どおりのNOx吸蔵還元触媒で開発がスタートしていた。しかし、その開発真っただ中にフォルクスワーゲンに端を発するディーゼル不正問題が発覚。ディーゼル排ガスを取り巻く環境が一気に厳しくなってしまった。

そこで三菱は、途中まで開発が進んでいた排ガス処理システムを“日本でも欧州でも懸念なく排ガスをクリアできるように”とより浄化性の高い尿素SCRに転換することを決断。これによって同パワートレインの開発スケジュールは大幅に狂って、結局エクリプス クロスではガソリンより1年以上遅れただけでなく、パワートレインそのものの国内導入でデリカD:5が先行することとなった。

国内では2018年3月に発売された、三菱のSUV「エクリプス クロス」。ディーゼルエンジン搭載車は、2019年6月にラインナップに加わった。
国内では2018年3月に発売された、三菱のSUV「エクリプス クロス」。ディーゼルエンジン搭載車は、2019年6月にラインナップに加わった。
「エクリプス クロス」のインテリアカラーはブラックのみ。各所にマットシルバーとピアノブラックの装飾を施すことで、上質感が演出されている。
「エクリプス クロス」のインテリアカラーはブラックのみ。各所にマットシルバーとピアノブラックの装飾を施すことで、上質感が演出されている。
シートの表皮はファブリック。オプションで、電動調節機構を持つ本革シート(22万6800円)も用意される。
シートの表皮はファブリック。オプションで、電動調節機構を持つ本革シート(22万6800円)も用意される。
給油口のそばには、排ガスの浄化に用いられる尿素水溶液「AdBlue」の投入口が設けられている(写真の青いキャップ)。
給油口のそばには、排ガスの浄化に用いられる尿素水溶液「AdBlue」の投入口が設けられている(写真の青いキャップ)。
今回の試乗車は、ブラックのドレスアップを特徴とする特別仕様車「ブラックエディション」。ボディーカラーそのものはブラック限定ではなく、全5色が用意されている。
今回の試乗車は、ブラックのドレスアップを特徴とする特別仕様車「ブラックエディション」。ボディーカラーそのものはブラック限定ではなく、全5色が用意されている。

パワートレインは見どころ豊富

最高出力145PS、最大トルク380N・mを発生する2.3リッター(2267cc)ディーゼルターボエンジンを横置きで搭載する。ミニバン「デリカD:5」にも同じパワーユニットが採用されている。
最高出力145PS、最大トルク380N・mを発生する2.3リッター(2267cc)ディーゼルターボエンジンを横置きで搭載する。ミニバン「デリカD:5」にも同じパワーユニットが採用されている。
トランスミッションも「デリカD:5」と同じアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT。シフトノブの形状は、CVTを搭載するガソリンモデルと変わらない。
トランスミッションも「デリカD:5」と同じアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT。シフトノブの形状は、CVTを搭載するガソリンモデルと変わらない。
後席には、前後200mmのスライド機構が備わる。背もたれのリクライニングも可能。
後席には、前後200mmのスライド機構が備わる。背もたれのリクライニングも可能。
特徴的なデザインのリアコンビランプにより、室内側からの後方視界は上下に2分割される。バックドアの右下には、ディーゼル車であることを示す「DI-D」(ダイレクトインジェクションディーゼル)のエンブレムが添えられている。
特徴的なデザインのリアコンビランプにより、室内側からの後方視界は上下に2分割される。バックドアの右下には、ディーゼル車であることを示す「DI-D」(ダイレクトインジェクションディーゼル)のエンブレムが添えられている。
エクリプス クロスに搭載されるディーゼルエンジンは4N14型という。欧州では「アウトランダー」、そして国内ではデリカD:5に以前から積まれていたものと、型式名や排気量は変わらない。だが、逆にいうと、変わっていないのは型式名にまつわる基本設計くらい。前記の排ガス浄化システムの刷新だけでなく、クランクシャフト、ピストン、コンロッド、インジェクターなどの主要な内部部品はほぼすべて新設計で、ブロック本体こそ従来改良型だが、そのシリンダーボアの加工には真円度を引き上げる“ダミーヘッドホーニング”という手法が新たに取り入れられている。

さらに、このデリカD:5/エクリプス クロスから、ATが従来の6段から8段に多段化されたが、そのサプライヤーがジヤトコからアイシン・エィ・ダブリュに変わったことも大きなニュースである。現在のジヤトコに三菱が(日産やスズキとともに)出資していることを考えると、アイシンへの載せ替えはそれなりの英断だったと察せられる。

そんなアイシンの8段ATは、三菱の担当技術者をして「最初の試作車から『もう、ほとんどやることない?』と思えたくらい」といわしめるほど優秀なんだとか。以前のデリカD:5ディーゼルに使われていた6段ATと比較すると、変速時にエンジン回転数を合わせる制御や、一定速からアクセルペダルを離してもギアを維持する制御なども新しい。

ただ、また別の関係者にいわせると「変速機そのものが優秀なのはもちろん、実際に搭載したときに起こりうる問題に対する知見が豊富、かつ具体的な対策がメニュー化されていて、こちらのニーズに即座に対応してくれる」のが、ATサプライヤーとしてのアイシン最大の魅力なのだそうだ。

最高出力145PS、最大トルク380N・mを発生する2.3リッター(2267cc)ディーゼルターボエンジンを横置きで搭載する。ミニバン「デリカD:5」にも同じパワーユニットが採用されている。
最高出力145PS、最大トルク380N・mを発生する2.3リッター(2267cc)ディーゼルターボエンジンを横置きで搭載する。ミニバン「デリカD:5」にも同じパワーユニットが採用されている。
トランスミッションも「デリカD:5」と同じアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT。シフトノブの形状は、CVTを搭載するガソリンモデルと変わらない。
トランスミッションも「デリカD:5」と同じアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT。シフトノブの形状は、CVTを搭載するガソリンモデルと変わらない。
後席には、前後200mmのスライド機構が備わる。背もたれのリクライニングも可能。
後席には、前後200mmのスライド機構が備わる。背もたれのリクライニングも可能。
特徴的なデザインのリアコンビランプにより、室内側からの後方視界は上下に2分割される。バックドアの右下には、ディーゼル車であることを示す「DI-D」(ダイレクトインジェクションディーゼル)のエンブレムが添えられている。
特徴的なデザインのリアコンビランプにより、室内側からの後方視界は上下に2分割される。バックドアの右下には、ディーゼル車であることを示す「DI-D」(ダイレクトインジェクションディーゼル)のエンブレムが添えられている。

惜しいところもなくはない

8段ATの変速比はミニバン「デリカD:5」と同じだが、最終変速比はデリカD:5の3.075に対し、「エクリプス クロス」は2.955となっている。
8段ATの変速比はミニバン「デリカD:5」と同じだが、最終変速比はデリカD:5の3.075に対し、「エクリプス クロス」は2.955となっている。
ステアリングホイールの奥には、変速用のシフトパドルが備わる。パドルは供回りしないコラム固定式。
ステアリングホイールの奥には、変速用のシフトパドルが備わる。パドルは供回りしないコラム固定式。
スマートフォン連携のディスプレイオーディオでは、「Apple CarPlay」や「Android Auto」が利用できる。
スマートフォン連携のディスプレイオーディオでは、「Apple CarPlay」や「Android Auto」が利用できる。
センターコンソールには、タッチパッドを装備。運転姿勢を変えることなくインフォテインメントシステムが操作できる。
センターコンソールには、タッチパッドを装備。運転姿勢を変えることなくインフォテインメントシステムが操作できる。
センターコンソールの小物入れスペース。中央のトレーは取り外しが可能。
センターコンソールの小物入れスペース。中央のトレーは取り外しが可能。
そんなアイシンの8段ATは各ギアのレシオこそデリカD:5のそれと共通だが、ファイナルはデリカD:5より大幅に軽い車重に合わせて、率にして約4%、各ギアの回転数にして50~100rpmほどハイギアード化されている。ただ、エクリプス クロスの車重はD:5より300kgも軽いので、この程度のレシオを高めたところで、動力性能は当たり前だがD:5より圧倒的に活発だ。エクリプス クロス単独で乗っているかぎり、動力性能の不足はまるでない。

……のだが、これとほぼ同排気量のディーゼルを積む「マツダCX-5」は、これよりエンジン単体性能で45PS/70N・m上回り、そのうえ車重は同等。エクリプス クロスとCX-5をディーゼルモデル同士で比較すると、マツダのほうが明確に力強くて速い。静粛性もエクリプス クロス単体では「かつてのデリカD:5を考えれば夢のごとし」ではありつつも、CX-5との直接比較では、やはりハッキリと騒々しい。

それでも、できるだけ静かにするためか、8段ATはD:5以上にポンポンと早期のシフトアップを好む変速プログラムになっており、しかも前記のように高いギアをキープする傾向が強い。そのためか、巡航状態からの再加速などでは意外に出足が鈍るケースもある。

かといって、そこでキックダウンを促進するべくアクセルペダルを踏み込むと、今度は、ちょっとくぐもるようなラグを経てからに急速かつ盛大にエンジントルクが立ち上がり、そこにシフトダウンも重なって、パワートレインに上を下へのドンチャン騒ぎ……を演じさせてしまうことが、まる2日間の試乗でそれなりの頻度であった。とくに今回のように、夏休み混雑で殺気立った幹線道路の流れを、メリハリをつけた加減速でリードしたいときなどに、そのクセが出やすいのが気になった。

こうした場面でのチューニングは本来なら軽量なエクリプス クロスのほうがやりやすいと思われるが、実際にはより重いデリカD:5のほうが、加速レスポンスやシフトプログラムの合わせ込みもうまくいっているようだ。現時点ではD:5のパワートレインのほうが明らかに扱いやすく、上品な運転がしやすい。

8段ATの変速比はミニバン「デリカD:5」と同じだが、最終変速比はデリカD:5の3.075に対し、「エクリプス クロス」は2.955となっている。
8段ATの変速比はミニバン「デリカD:5」と同じだが、最終変速比はデリカD:5の3.075に対し、「エクリプス クロス」は2.955となっている。
ステアリングホイールの奥には、変速用のシフトパドルが備わる。パドルは供回りしないコラム固定式。
ステアリングホイールの奥には、変速用のシフトパドルが備わる。パドルは供回りしないコラム固定式。
スマートフォン連携のディスプレイオーディオでは、「Apple CarPlay」や「Android Auto」が利用できる。
スマートフォン連携のディスプレイオーディオでは、「Apple CarPlay」や「Android Auto」が利用できる。
センターコンソールには、タッチパッドを装備。運転姿勢を変えることなくインフォテインメントシステムが操作できる。
センターコンソールには、タッチパッドを装備。運転姿勢を変えることなくインフォテインメントシステムが操作できる。
センターコンソールの小物入れスペース。中央のトレーは取り外しが可能。
センターコンソールの小物入れスペース。中央のトレーは取り外しが可能。

さすがと思える旋回性能

「エクリプス クロス」のディーゼルモデル(全車4WD)には、三菱独自の車両統合制御システム「S-AWC」が搭載される。電子制御4WDとアクティブヨーコントロール、アクティブスタビリティーコントロール、ABSを統合制御することで、走行安定性を高める。
「エクリプス クロス」のディーゼルモデル(全車4WD)には、三菱独自の車両統合制御システム「S-AWC」が搭載される。電子制御4WDとアクティブヨーコントロール、アクティブスタビリティーコントロール、ABSを統合制御することで、走行安定性を高める。
今回試乗した特別仕様車「ブラックエディション」には、ホイールセンターキャップを含めて黒で塗られた、18インチアルミホイールが装着される。
今回試乗した特別仕様車「ブラックエディション」には、ホイールセンターキャップを含めて黒で塗られた、18インチアルミホイールが装着される。
メーターパネルは2眼式。センターのインフォメーションディスプレイには、S-AWCの作動状況も表示される。
メーターパネルは2眼式。センターのインフォメーションディスプレイには、S-AWCの作動状況も表示される。
荷室の容量は、5人乗車時で341~448リッター。後席の前後スライドにより変化する。
荷室の容量は、5人乗車時で341~448リッター。後席の前後スライドにより変化する。
エクリプス クロスのディーゼルは、ガソリン比で前軸重量が100kg近く重い。さすがにこれだけの重量差があると、市街地でもステアリングの反応にガソリンとは明らかなちがいがある。カーブや交差点でのノーズの動き出しには、これをコンパクトSUVとして見ると類例のない“ドッコイショ感”がある。また、アクセルをオフにした際のレスポンスや減速トルクの出方が意外におっとり系なので、なおさらハンドリングのメリハリが利きにくいのが気になった。もっとも、この独特の味わいを“重厚”とか“落ち着き”と肯定的に受け取る向きもあるだろうが……。

ただ、お世辞ぬきに感心するのは、このまま山坂道に持ち込んでもアゴを出さない……というか、そういう場面でセミトルクベクタリング4WD機構の「S-AWC」を本格稼働させるほどに、喜々として走り、曲がるようになる基本フィジカル能力の高さだ。

S-AWCは電子制御カップリングによるスタンバイ式だが、オンロードでは「オート」にしておくだけで、休むことなく精密にトルク配分する。意図的にキッカケを与えても、ガソリンモデルほどテールを振り出すことはないものの、同時にいかに乱暴にアクセルペダルを扱っても、前輪だけがもがくような粗相を見せることもまったくない。

ターンインではノーズの重さに合わせたブレーキングだけに気をつけて、あとはタイミングよくアクセルオンするだけで、わずかにお尻を沈めたコントローラブルな姿勢でコーナーから脱出していく。この旋回姿勢こそ「この瞬間が三菱(の4WD)!」と、エクリプス クロスの開発陣がもっともタマシイを入れた部分だとか。そんな自慢の旋回姿勢は、このディーゼルでもきちんと受け継がれている。

「エクリプス クロス」のディーゼルモデル(全車4WD)には、三菱独自の車両統合制御システム「S-AWC」が搭載される。電子制御4WDとアクティブヨーコントロール、アクティブスタビリティーコントロール、ABSを統合制御することで、走行安定性を高める。
「エクリプス クロス」のディーゼルモデル(全車4WD)には、三菱独自の車両統合制御システム「S-AWC」が搭載される。電子制御4WDとアクティブヨーコントロール、アクティブスタビリティーコントロール、ABSを統合制御することで、走行安定性を高める。
今回試乗した特別仕様車「ブラックエディション」には、ホイールセンターキャップを含めて黒で塗られた、18インチアルミホイールが装着される。
今回試乗した特別仕様車「ブラックエディション」には、ホイールセンターキャップを含めて黒で塗られた、18インチアルミホイールが装着される。
メーターパネルは2眼式。センターのインフォメーションディスプレイには、S-AWCの作動状況も表示される。
メーターパネルは2眼式。センターのインフォメーションディスプレイには、S-AWCの作動状況も表示される。
荷室の容量は、5人乗車時で341~448リッター。後席の前後スライドにより変化する。
荷室の容量は、5人乗車時で341~448リッター。後席の前後スライドにより変化する。

ガソリンとどちらを選ぶべきか?

アグレッシブな印象を与える「エクリプス クロス」のサイドビュー。切れ上がったキャラクターラインも、そのイメージを強調する。
アグレッシブな印象を与える「エクリプス クロス」のサイドビュー。切れ上がったキャラクターラインも、そのイメージを強調する。
“ダイナミックシールド”デザインを採用したフロントマスク。ブラックのフロントグリルやスキッドプレートは、「ブラックエディション」ならではのもの。
“ダイナミックシールド”デザインを採用したフロントマスク。ブラックのフロントグリルやスキッドプレートは、「ブラックエディション」ならではのもの。
ガソリン車も含め、ベーシックな「M」グレード以外には渋滞追従機能付きのレーダークルーズコントロールや車線逸脱警告システムが備わる。
ガソリン車も含め、ベーシックな「M」グレード以外には渋滞追従機能付きのレーダークルーズコントロールや車線逸脱警告システムが備わる。
6:4分割可倒式の後席を前方に倒した状態。荷室の奥行きは最長1569mmとなる。
6:4分割可倒式の後席を前方に倒した状態。荷室の奥行きは最長1569mmとなる。
今回は、高速道路を中心に約570kmを試乗。燃費は満タン法で12.4km/リッター、車載の燃費計で12.5km/リッターを記録した。燃料タンクの容量は60リッター。
今回は、高速道路を中心に約570kmを試乗。燃費は満タン法で12.4km/リッター、車載の燃費計で12.5km/リッターを記録した。燃料タンクの容量は60リッター。
エクリプス クロスのディーゼルとガソリンを同等グレード同士で比較すると、ディーゼルが約30万円高い。その差額のモトが最終的に取れるかはともかく、荷物満載で休日ごとに遠出するようなSUVをSUVらしく使う向きは、ディーゼルを好ましく思うだろう。

しかも、日本ではディーゼルを選べる手ごろで快適な乗用SUVは数えるほどしかなく、“マツダ以外の国産車で”といった条件をつけると、必然的にこのクルマくらいしか選択肢はない。それだけでも、ディーゼルのエクリプス クロスの存在価値はある。

ただ、このデザインやパッケージに共感を抱いて、エクリプス クロスありきでガソリンとディーゼルのどちらか……と迷う三菱ファンには、ガソリンのほうが、より“らしい”と申し上げたい。

1.5リッター直噴ターボを積んだエクリプス クロスの動力性能は、瞬間的なパンチ力でこそディーゼルにゆずるが、どちらも同等スペックのライバルと比較すると“ほどほど”といった性能レベルにあることは変わりない。そのフットワークはもともと見た目からイメージするより柔らかな設定で、軽量なガソリンでも日常域の乗り心地は良好。また、ガソリンにのみ安価なFFも用意されるが、ディーゼルと同じ4WDを選んだ場合でも、積極的に回頭させようとするS-AWCの妙味をより明確に味わえるのも、ノーズが軽いガソリンだ。

そしてなにより、エクリプス クロスのガソリンは、ジヤトコ製CVTとのマッチングが素晴らしい。ディーゼル用ATではその座をアイシンに奪われてしまったが、さすがはCVTに社運をかける(?)ジヤトコの最新作らしく、エクリプス クロスのそれは出色のデキといっていい。微妙に流れる市街地や混雑した幹線道路でも、右足に吸い付く絶妙の加減速を見せてくれて、その一体感は明らかにディーゼルの上をいく。ただ、実際に使うとなると、実燃費ではガソリンより2割以上優秀な数値を示すこともあるディーゼルの経済性、そして遠出のときのアシの長さ(=航続距離)はSUVとしては大きな魅力ではあるけれども。

(文=佐野弘宗/写真=宮門秀行/編集=関 顕也)

アグレッシブな印象を与える「エクリプス クロス」のサイドビュー。切れ上がったキャラクターラインも、そのイメージを強調する。
アグレッシブな印象を与える「エクリプス クロス」のサイドビュー。切れ上がったキャラクターラインも、そのイメージを強調する。
“ダイナミックシールド”デザインを採用したフロントマスク。ブラックのフロントグリルやスキッドプレートは、「ブラックエディション」ならではのもの。
“ダイナミックシールド”デザインを採用したフロントマスク。ブラックのフロントグリルやスキッドプレートは、「ブラックエディション」ならではのもの。
ガソリン車も含め、ベーシックな「M」グレード以外には渋滞追従機能付きのレーダークルーズコントロールや車線逸脱警告システムが備わる。
ガソリン車も含め、ベーシックな「M」グレード以外には渋滞追従機能付きのレーダークルーズコントロールや車線逸脱警告システムが備わる。
6:4分割可倒式の後席を前方に倒した状態。荷室の奥行きは最長1569mmとなる。
6:4分割可倒式の後席を前方に倒した状態。荷室の奥行きは最長1569mmとなる。
今回は、高速道路を中心に約570kmを試乗。燃費は満タン法で12.4km/リッター、車載の燃費計で12.5km/リッターを記録した。燃料タンクの容量は60リッター。
今回は、高速道路を中心に約570kmを試乗。燃費は満タン法で12.4km/リッター、車載の燃費計で12.5km/リッターを記録した。燃料タンクの容量は60リッター。

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