【試乗記】日産ノート オーラGレザーエディション/ノート オーラG FOURレザーエディション
かみ合った歯車
大人のたたずまい
「オーラ」を名乗るこのモデルは、単なる充実装備が施された上級グレードなどにはとどまらない、ちょっと気になる内容の持ち主である。そのポイントの第一は、専用のボディーが与えられたこと。具体的には「より魅力的なスタイリングを実現する」という目的から、フロントのフェンダーまわりがさらに自然なフレア形状へと変更・拡幅されたことを筆頭に、ドアやフード、ルーフ以外に専用造形を採用。結果、全幅は40mm増してベース車両の5ナンバー枠を外れ、“3ナンバー枠”へと踏み込んでいるのだ。
フロントグリルにはより凝ったメッシュデザインが採用され、ランプ類も新たなグラフィックを採り入れたうえでフルLED化。全体のたたずまいが少し大人になったように見えるのは、最大でも16インチだった標準車に対して17インチのシューズが標準化され、しかも樹脂加飾付きで凝ったデザインのアルミホイールを採用するという“足元のオシャレ”の効果も大きいはずだ。
そんなノート オーラのエクステリアデザインは、新たな日産のフラッグシップとして近々デビューが予定されているピュアEV「アリア」との強い血縁関係をほうふつとさせるテイスト。そしてもちろん、それは当初から狙った戦略でもあるに違いない。
細かなポイントも入念につくり込む
ドライバー席のドアを開いた際に真っ先に目に飛び込んでくるメーターパネルは、センターディスプレイと段差を介して連続するノート独特のデザインを踏襲しながらも、より大型化。表示されるグラフィックやコンテンツも専用のデザインだ。
ノートの特徴である高くフラットなセンターコンソールを筆頭に、ダッシュボードやドアトリム部分が、木目の凹凸までを表現したパネルやツイード調表皮に覆われるなど、ベースモデルとは一線を画した丁寧な仕上げが施されるのもオーラならでは。シートはツイード調のファブリックと合皮によるコンビネーション表皮が標準で、「レザーセレクション」を選択すると、「30mmのソフト層を採用する高級車並みの3層構造」がうたわれる本革シートとなる。
細かい部分では、ベース車で気になったガタンと開くグローブボックスが、ダンパー付きのものへと改められていたことにも感心。一方、ちょっと残念に思えたのはカップホルダー。せっかくスッキリとシンプルな造形のダッシュボード両端に煩雑な見切り線を増やすのみならず、なんとも商用車ライクな使用時の所作が、日本車では稀有(けう)な“上級コンパクト”というコンセプト自体にも、水を差すことになっていると思えてしまうからだ。
活発な加速力
具体的には、フロントモーターの最高出力がベース車両の116PS(85kW)に対して136PS(100kW)、最大トルクが280N・mに対して300N・mと向上。モーターやバッテリー、組み合わされる1.2リッターエンジンなどのハードウエアには一切の変更は行っていないというから、これは「ソフトウエア変更で、フロントモーターに対してより大電力を送り込めるようになった結果の向上」と理解できる。駆動方式は前述のスペックを有するFWDモデルと、そこに後輪駆動用に最高出力68PS(50kW)のモーターを追加した4WDモデルが用意されている。
今回テストドライブを行ったのは、“日本最古の国産乗用車工場”と紹介しても過言ではない、横須賀市の日産・追浜工場に併設された「GRANDRIVE(グランドライブ)」。かつてのテストコースをベースに、現在ではイベント用へと改修された施設だ。コーナーがきついうえに路面のバリエーションも限られ、さらに時間もごく短い……と制約が続いたものの、発売前でナンバーも付かない状況では、それもやむなしだった。
そもそも、街乗りシーンではベース車両でも加速力に全く不満のないノートだが、オーラではさらに活発な加速力が明白。テスト当日は快晴下のドライ路面で、FWDモデルでもトラクション能力に不足は感じなかったが、これが雨天の上り坂であったりしたら、「やはり4WDが有利」と印象は変わっていたかもしれない。後輪用モーターの出力に変更はないが、そもそもが従来型ノートの4WDモデルよりもはるかに強力なリアモーターを採用する新型。それゆえ、タイトなターンからの脱出時などには、4WDモデルの「後輪もしっかり大地を蹴っている感」がなかなか新鮮だ。
オーディオもプレミアム
コンパクトカーでは分不相応とも思えるそんなシステムの設定に至ったのは、「車格を超えた」ともいえそうな、新型ノートの静粛性の高さも理由に挙げられるはずだ。
エンジンの稼働を、ロードノイズなど走行時の暗騒音発生時に集中。その存在感を巧みにオブラートに包み、実際にコンパクトカーのなかでは際立つ静粛性を実感させられた新型ノートだが、オーラの場合にはフロントドアに遮音ガラスを採用し、ルーフパネルに遮音材を追加することなどで、さらなる静粛性の向上を図っている。
いずれにしても、車両の企画とそこに採用すべきアイテム、そして完成されたモデルが有していたわかりやすいキャラクターと、いくつもの歯車が見事にかみ合ったと思えるのがこの一台。「ちょっとくらい高価でも、これなら欲しくなる」と感じる、久々の“やったね、日産!”だと思う。
(文=河村康彦/写真=花村英典/編集=櫻井健一)
テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4045×1735×1525mm
ホイールベース:2580mm
車重:1260kg
駆動方式:FWD
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 12バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:82PS(60kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:103N・m(10.5kgf・m)/4800rpm
モーター最高出力:136PS(100kW)/3183-8500rpm
モーター最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/0-3183rpm
タイヤ:(前)205/50R17 89V/(後)205/50R17 89V(ブリヂストン・トランザT005 A)
燃費:27.2km/リッター(WLTCモード)
価格:269万9400円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:760km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
日産ノート オーラG FOURレザーエディション
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4045×1735×1525mm
ホイールベース:2580mm
車重:1370kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 12バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:82PS(60kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:103N・m(10.5kgf・m)/4800rpm
フロントモーター最高出力:136PS(100kW)/3183-8500rpm
フロントモーター最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/0-3183rpm
リアモーター最高出力:68PS(50kW)/4775-1万0024rpm
リアモーター最大トルク:100N・m(10.2kgf・m)/0-4775rpm
タイヤ:(前)205/50R17 89V/(後)205/50R17 89V(ブリヂストン・トランザT005 A)
燃費:22.7km/リッター(WLTCモード)
価格:295万7900円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:1190km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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