【試乗記】ヒョンデ・アイオニック5ラウンジ(RWD)
-
ヒョンデ・アイオニック5ラウンジ(RWD)
新しい風が吹いてきた
よみがえる記憶
ヒョンデの日本仕様車は、ウインカーレバーが右、ワイパーのレバーが左で日本車と同じ。その伝統はこのアイオニック5にも受け継がれていて、輸入車だからと、ウインカーを出すつもりで左のレバーを操作してしまったのだ。
電気自動車(EV)のアイオニック5と燃料電池車の「NEXO(ネッソ)」の2モデルで日本に再上陸したヒョンデ。このうち、販売の中心になるのがアイオニック5だ。シャープなエクステリアデザインが目を引くこのクルマ、遠目にはコンパクトな5ドアハッチバックに見えるが、実際には全高が1645mmもある、背の高いクロスオーバー。3000mmと長いホイールベースと全高とのバランスが、目の錯覚を生み出しているのだろう。
EV専用に開発したという「E-GMP」プラットフォームを採用するアイオニック5は、前後アクスル間の床下に駆動用のリチウムイオンバッテリーを搭載し、1基の電気モーターで後輪を、または前後合わせて2基の電気モーターで4輪を駆動する。バッテリー容量はベースグレードが58KWh、それ以外は72.6kWhで、今回試乗する後輪駆動の「アイオニック5ラウンジ」の場合、一充電走行距離のカタログ値(WLTCモード)は618kmに及ぶ。
-
2022年2月に、日本の乗用車市場への再参入を発表したヒョンデ(旧ヒュンダイ)。今回試乗した100%電気自動車の「アイオニック5」(写真)と燃料電池自動車「ネッソ」で勝負をかける。
-
「アイオニック5」のインテリア。日本仕様車は、ウインカーレバーが右、ワイパーのレバーが左で日本車と同じレイアウトになっている。
-
オートライトコントロールやハイビームアシストが組み込まれたLEDヘッドランプは、「アイオニック5」全車に標準装備となる。
-
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4635×1890×1645mm、ホイールベースは3000mm。遠目にはコンパクトな5ドアハッチバックに見えるが、「レクサスNX」に近いフットプリントを有している。
装備の充実もセリングポイント
いまどきのクルマらしく、インストゥルメントパネルは2つの大型液晶ディスプレイで構成され実にシンプル。一方、エアコンの操作には物理スイッチが残されており、見た目の新しさと操作性を両立しているのがうれしいところだ。
EV専用プラットフォームを用いることでフラットなフロアを実現するアイオニック5は、フロアトンネルがなく足元がすっきりしている。ロングホイールベースの恩恵で後席のレッグスペースは楽に足が組めるほど広い。また、前席はスライド式のセンターコンソールを後ろに下げれば横の移動も可能である。
装備が充実しているのもこのクルマの魅力のひとつで、アダプティブクルーズコントロールや衝突防止ブレーキシステム、リモートパーキングシステムなどの運転支援システム、リモート操作に対応するコネクテッド機能、ナビゲーションシステムの地図自動更新、BOSEプレミアムサウンドシステムなどが標準で装着されている。この内容で549万円というプライスは、かなり魅力的だ。
CEV補助金は80万円にアップ
見逃せないのは、輸入EVには珍しく車載バッテリーから電力を取り出すV2L(ヴィークルトゥロード)機能を標準で搭載し、V2H(ヴィークルトゥホーム)にも対応すること。
V2Lは室内のコンセントや充電コネクターにつないだコネクターからAC100V/最大1600Wの電力が取り出せるのだが、これがあるおかげで、令和3年度クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)は、通常の上限額が60万円のところ、このアイオニック5は80万円に引き上げられ、その満額が獲得できる予定だ。冒頭のウインカーレバー同様、日本の事情に即した対応は、カスタマーとしてはうれしいかぎりである。
前置きはこのくらいにして、早速試乗といこう。ステアリングコラムの右側にあるシフトダイヤルでDを選び、ブレーキから足を離すとアイオニック5はゆっくりとクリープを始める。パドル操作で、アクセルペダルをオフしたときの回生ブレーキレベルが0から3まで選べるが、さらにいわゆるワンペダルドライブが可能な「i-PEDAL」を利用することも可能。その場合は、クリープはしない。
期待以上にパワフルな走り
このクルマには「ミシュラン・プライマシー4 SUV」タイヤが装着されているが、ロードノイズがよく抑えられていることもあって、さらに印象をよくしている。重量のかさむバッテリーを床下に収める低重心設計や前950kg、後1040kgという重量配分のおかげで、ワインディングロードでのハンドリングはなかなか軽快。
乗り心地そのものはやや硬めで、クロスオーバースタイルにもかかわらずロール方向の動きは気にならない。ただ、路面によってはピッチングが収まりにくく、また、目地段差を越えたときにショックを伝えがちなど、サスペンションのセッティングは煮詰める余地がありそうだ。
短時間の試乗ということで、電費をチェックしたり、実際に充電したりなど、細かい確認はできなかったものの、全体的には期待以上の仕上がりと高いコストパフォーマンスが確認できたアイオニック5。日本市場で成功するかどうかは未知数だが、少なくともライバルにとっては脅威になるに違いない。
(文=生方 聡/写真=荒川正幸/編集=櫻井健一)
テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4635×1890×1645mm
ホイールベース:3000mm
車重:1990kg
駆動方式:RWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:217PS(160kW)/4400-9000rpm
最大トルク:350N・m(35.7kgf・m)/0-4200rpm
タイヤ:(前)235/55R19 105W XL/(後)235/55R19 105W XL(ミシュラン・プライマシー4 SUV)
一充電最大走行可能距離:618km(WLTCモード/自社測定値)
価格:549万円/テスト車=554万5000円
オプション装備:ボディーカラー<サイバーグレーメタリック>(5万5000円)
テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:538km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(7)/山岳路(2)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh
試乗記トップ
最新ニュース
-
-
ATF交換で性能向上!? 過距離走行車にも対応する最適なメンテナンス法~カスタムHOW TO~
2024.07.16
-
-
フィアット『グランデパンダ』初公開、世界市場に投入へ…EVは航続320km以上
2024.07.16
-
-
初代ホンダ『プレリュード』は、ロングノーズ&ショートデッキの小気味良いスポーティさが印象的だった【懐かしのカーカタログ】
2024.07.16
-
-
[夏のメンテナンス]気温35度でも安心! 夏のエンジンオイル管理法を徹底解説
2024.07.16
-
-
KINTOがプラグインハイブリッド車の取扱いを開始 8月から
2024.07.15
-
-
日産『GT-R』最後の北米限定車「T-spec 匠エディション」&「スカイライン・エディション」がエモすぎる[詳細画像]
2024.07.15
-
-
『ドラゴンボール』悟空とベジータがドリフトパフォーマンス、フュージョン!?
2024.07.15
最新ニュース
-
-
ATF交換で性能向上!? 過距離走行車にも対応する最適なメンテナンス法~カスタムHOW TO~
2024.07.16
-
-
フィアット『グランデパンダ』初公開、世界市場に投入へ…EVは航続320km以上
2024.07.16
-
-
初代ホンダ『プレリュード』は、ロングノーズ&ショートデッキの小気味良いスポーティさが印象的だった【懐かしのカーカタログ】
2024.07.16
-
-
[夏のメンテナンス]気温35度でも安心! 夏のエンジンオイル管理法を徹底解説
2024.07.16
-
-
KINTOがプラグインハイブリッド車の取扱いを開始 8月から
2024.07.15
-
-
日産『GT-R』最後の北米限定車「T-spec 匠エディション」&「スカイライン・エディション」がエモすぎる[詳細画像]
2024.07.15
MORIZO on the Road