【試乗記】トヨタ・クラウン スポーツ プロトタイプ
その名に恥じぬ身のこなし
スニークプレビューの合間に
このクロスオーバー発表時にアナウンスされたとおり、現世代のクラウンには4つのバリエーションが用意される。そのひとつとなるスポーツが、第2のクラウンとして2023年秋にリリースされる予定だ。今回はそのデビューに先駆けて行われたトヨタパスポート・エクスプレス会員向けのスニークプレビューの合間をお借りして、短時間ながら試乗も交えた実車確認の機会をいただいた。
個体は正式投入の約半年前ということもあってすべてプロトタイプの段階。パネルの建て付けや塗装、内装部品などにはまだ一部アラがある状態だ。そんなタイミングゆえ詳細はほとんど明かされず、ハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)があるということ以上のパワートレインのディテールも公表されていない。確定情報ではなく現地でのエンジニアとの対話を基にした筆者の臆測も多く入っていることをお断りしておきたい。
思い出すのは「プロサングエ」なれど
プロポーションはSUVというよりもスポーツワゴンの側に近く、仕様のいかんを問わずタイヤサイズは235/45R21のみになるという。ただし、ホイールデザインはいくつかのバリエーションを検討しているそうだ。最低地上高はクロスオーバーとのタイヤ外径差分がかさ上げされて150mm程度と目される。一方で1560mmの全高は、都市部の立体駐車場などでの利便を鑑みれば不利になるかもしれない。
と、そんなこんなでいや応なく思い起こすのは「フェラーリ・プロサングエ」だ。ちまたでは早速パクリなどとささやかれているようだが、開発の時系列的にみても参照・引用うんぬんの話にはあたらないと断言できる。が、結果的には同類の印象を与えるのもまた確かだ。造形という共通言語を持つデザイナーたちが考えるスポーティーなSUVの成り立ちというのがこういうところに収束する、そうみるのが自然だろう。プレス機の限界で表現しているというウエストからリアフェンダー、リアゲートにかけての抑揚は強烈で、ちょっと「スープラ」とのつながりも感じられる。
パワートレインはHEVとPHEVの2本立て
パワートレインはHEVとPHEVの2本立てで、それ以上の情報は一切アナウンスされていないが、エンジニアの話を総合するにHEVはクロスオーバーにも用意される2.5リッター4気筒の「THS II」、PHEVは同じ2.5リッター4気筒の、レクサスの「NX」やRXの「450h+」と同等のシステムだと想定される。PHEVの側は搭載バッテリー容量が仮にレクサス勢と同じ18.1kWhであれば、前例から推するに90km近いEV走行が可能となるかもしれない。また、給電口リッドは普通充電用とは思えないサイズでCHAdeMO併用にも察せられたが、後に左ハンドル仕様も用意されるということなので、仕向け地に合わせて北米や欧州で主力の規格「CCS」などに対応するために、あらかじめリッドを大きく設定しているのかもしれない。
“スポーツ”に恥じない運動性能
そこに加えてスポーツは、コーナーの入りや切り返しなどで明快な軽さが感じられる。実重差はさほどでもないだろうが、ディメンションやDRSによる切り始めの動きのよさがそう見せているのだろう。ただし、ゲインの立ち上がりはしっかり角が丸められていて、安直なキビキビ感を醸しているわけではない。初動は優しく、でもお望みのゲインをスッと引き出せるという、「GA-Kプラットフォーム」に共通する感触は、実験部門の味つけのうまさによるところだろう。
ともあれ短い試乗での印象ながら、クロスオーバーとは一線を画する、スポーツの名に恥じない運動性能の一面はしっかりと感じ取れた。内装のしつらえなどから推するに、価格はクロスオーバーに対して著しく異なることはないと想像できる。デザインだけではなく走ってナンボのところでも、よりアクティブなクラウンを望む向きは検討に値するモデルだと思う。
テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4710×1880×1560mm
ホイールベース:2770mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
エンジン:--
モーター:--
トランスミッション:--
エンジン最高出力:--PS(--kW)/--rpm
エンジン最大トルク:--N・m(--kgf・m)/--rpm
モーター最高出力:--PS(--kW)
モーター最大トルク:--N・m(--kgf・m)
システム最高出力:--PS(--kW)
タイヤ:(前)235/45R21 97W/(後)235/45R21 97W(ミシュランeプライマシー)
ハイブリッド燃料消費率:--km/リッター
EV走行換算距離:--km
充電電力使用時走行距離:--km
交流電力量消費率:--Wh/km
価格:--万円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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