【試乗記】ミツオカ・ビュート ストーリー15LX(FF/CVT)
語り継がれるストーリー
ミツオカを知るきっかけ
その後、ミツオカは1993年に「日産マーチ」をベースに初代ビュートを誕生させる。「ジャガー・マーク2」をほうふつとさせる丸みを帯びたボディーに丸目のヘッドライト、ハート型のラジエーターグリルなど、愛嬌(あいきょう)のあるデザインが人気を呼び、ラ・セードよりもはるかに多くのビュートを街で見かけるようになった。その後、ミツオカはベース車両のモデルチェンジに合わせてビュートを進化させる一方で「ガリュー」に「ヒミコ」、そしてオリジナルの「ゼロワン」「オロチ」を生み出している。最近では、アメリカンSUVスタイルの「バディ」が話題を集めているのはご存じのとおりだ。
ちなみにビュートの名前が「美・遊・人(び・ゆう・と)」を意味しているのは、原稿を書いているいま知ったが、遊び心のあるつくり手と、個性的な美を受け入れるユーザーが、このクルマを支えてきたということになる。
30年目の大改革
最新型に進化するにあたって、これまでとは大きく変わったところが2つある。1つがベース車両。初代から3代目まではマーチを利用していたが、ご存じのとおり、タイで生産されていたマーチの輸入が2022年で終了したため、代わりに「トヨタ・ヤリス」が素材車として選ばれることになった。
そしてもう1つがボディー形状。これまでのビュートは3ボックスのセダンスタイルだった。ハッチバックのマーチに独立したトランクを追加することで、ジャガー・マーク2のようなデザインに仕立て上げていたのだ。それに対して新型はヤリスと同じハッチバックとしている。フロントマスクこそ先代のイメージを残しているものの、サイドビューやリアビューが大きく変わったことから、名前がビュート ストーリーに改められることになった。
実は3代目ビュートの時代にも、ハッチバック版の「ビュートなでしこ」が存在しており、4代目はその流れをくんでいるということになる。
個性的なフロントマスクは健在
その一方で、時代に合わせた進化も見られる。丸い大きなヘッドライトはLEDタイプになり、ハート型のラジエーターグリルにはミリ波レーダーの存在を示すカバーが施されている。グリルのすぐ脇にデイタイムランニングライトが点灯するのも、いまどきのクルマらしいところだ。
それに比べて、横からの眺めにはあまり“ビュート感”がない。ノッチバックからハッチバックに変更されているので致し方ないところだ。フロントフェンダーからリアドアにかけて弧を描くように配置されるメッキモールがアクセントだが、取って付けたような印象なのが惜しいところ。メッキセンターキャップが装着されるスチールホイールは標準装備。これならオプションのアルミホイールを選ばなくてもよさそうだ。
室内をのぞくとビビッドなモスグリーンの専用レザー(合皮)シートと、それに合わせたインストゥルメントパネルが目に飛び込んでくる。これらはオプションということだが、このクルマに乗るならこれくらいの演出はほしいだろう。残念なのはステアリングホイールやシフトレバーがウレタンという点で、ぜひともステッチ付きの革巻きを用意してほしいと思う。
ソツのない走り
パワートレインや走行にまつわる部分に関しては、特にミツオカの手が入っているわけではなく、当然走りはヤリスそのもの。それだけに、走行性能にはソツがない。1.5リッターエンジンは3気筒特有の振動やノイズはあるものの、十分に活発な加速を見せるし、タイヤの硬さはあるものの乗り心地はマイルドで、高速走行時のフラット感もまずまずのレベルである。
ベースが現行型のヤリスだけに、1.5リッターとCVTの組み合わせ以外にも、1リッターエンジンやハイブリッドシステムが用意され、FFに加えて4WDが選べるなど、乗り手の好みに合わせて選べるのもうれしい。プリクラッシュセーフティーやレーントレーシングアシスト、レーダークルーズコントロールが用意されるのも見逃せない。
とはいえ、「ヤリスがベースだから買う」という人は少ないはずで、「あのスタイルに一目ぼれ」というのが一番の購入動機だろう。セダンからハッチバックに変わったことで、先代までの優雅さが多少薄れたものの、コンパクトカーでも個性的なデザインを楽しみたいという人がいるかぎり、このビュートシリーズは続いていくのだろう。
テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4090×1695×1500mm
ホイールベース:2550mm
車重:1050kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直3 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:120PS(88kW)/6600rpm
最大トルク:145N・m(14.8kgf・m)/4800-5200rpm
タイヤ:(前)175/70R14 84S/(後)175/70R14 84S(ブリヂストン・エコピアEP150)
燃費:--km/リッター
価格:369万6000円/テスト車=451万3300円
オプション装備:ボディーカラー<ピスタチオカーキ>(35万2000円)/専用レザーシート<全席合成皮革・パイピング+ステッチ付き>+運転席&助手席シートバックポケット(38万2800円)/専用加飾パネルセット<インストゥルメントパネル1カ所+パワーウィンドウスイッチパネル2カ所>(8万2500円)
テスト車の年式:2020年型
テスト開始時の走行距離:53km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3)/高速道路(7)/山岳路(0)
テスト距離:178.0km
使用燃料:10.9リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:16.3km/リッター(満タン法)/18.2km/リッター(車載燃費計計測値)
ミツオカの試乗記事
-
-
【ミツオカ・ビュート ストーリー】マーチからヤリスにベース変更(まるも亜希子)
2023.12.23 クルマ情報
-
-
-
【ミツオカ・ビュート ストーリー】コンパクトでキュートでクラシカル(まるも亜希子)
2023.12.16 クルマ情報
-
-
-
【試乗記】ミツオカ・ビュート ストーリー15LX(FF/CVT)
2023.11.17 クルマ情報
-
-
-
【動画】「ミツオカ・バディ」試乗インプレッション 試乗編
2021.06.24 クルマ情報
-
-
-
【動画】「ミツオカ・バディ」試乗インプレッション 車両紹介編
2021.06.17 クルマ情報
-
-
-
【試乗記】ミツオカ・バディ20ST(FF/CVT)
2021.06.11 クルマ情報
-
ミツオカに関する情報
-
-
「ジャパン・ブルー」に運命を感じて。27歳の藍染職人を魅了する1997年式 光岡 ガリュー(HK30型改)
2024.05.03 愛車広場
-
-
-
ミツオカ オロチは妖艶で存在感抜群の「ファッションスーパーカー」・・・語り継がれる希少車
2024.04.02 コラム・エッセイ
-
-
-
【連載全14話】第14話 ミツオカ・オロチ・・・軽さが走りに生きている! FRPボディーの名車特集
2023.05.24 特集
-
-
-
さよなら「マーチ」、ベースは「ヤリス」に…光岡『ビュート』新型の先行予約開始
2023.02.17 ニュース
-
-
-
【連載全12話】第10話 ミツオカ・ゼロワン・・・ルーフが開く日本生まれの2シーター
2022.10.05 特集
-
-
-
【GAZOO車クイズ Q.141】光岡自動車が販売するモデルとベース車の関係として、正しくない組み合わせは?
2022.05.06 特集
-
-
-
創業50周年を迎えた光岡自動車の歴史を振り返る!
2018.12.27 コラム・エッセイ
-
最新ニュース
-
-
『フェアレディZ』の新たな姿「レジェンドパッケージ」を日産が公開…SEMAショー2024
2024.11.05
-
-
-
ホンダレーシングが一般車両向けパーツ開発にも注力、『パイロット』カスタムを初公開へ…SEMAショー2024
2024.11.05
-
-
-
トヨタ、『ランドクルーザー70』の40周年記念プロジェクト開始
2024.11.05
-
-
-
初代『ハイラックスサーフ』の再来か、トヨタ「4Runner TRDサーフコンセプト」公開へ…SEMAショー2024
2024.11.05
-
-
-
フォーミュラドリフトの名将、『ダルマセリカ』をレストア&カスタム…SEMAショー2024
2024.11.05
-
-
-
スズキ初のEV、『eビターラ』発表…2025年夏から日本など世界市場に投入へ
2024.11.05
-
-
-
『これはやらないと!』オートマティックフルード交換に革命! 過走行車も安心の最新メンテナンス術~カスタムHOW TO~
2024.11.05
-
最新ニュース
-
-
『フェアレディZ』の新たな姿「レジェンドパッケージ」を日産が公開…SEMAショー2024
2024.11.05
-
-
-
ホンダレーシングが一般車両向けパーツ開発にも注力、『パイロット』カスタムを初公開へ…SEMAショー2024
2024.11.05
-
-
-
トヨタ、『ランドクルーザー70』の40周年記念プロジェクト開始
2024.11.05
-
-
-
初代『ハイラックスサーフ』の再来か、トヨタ「4Runner TRDサーフコンセプト」公開へ…SEMAショー2024
2024.11.05
-
-
-
フォーミュラドリフトの名将、『ダルマセリカ』をレストア&カスタム…SEMAショー2024
2024.11.05
-
-
-
スズキ初のEV、『eビターラ』発表…2025年夏から日本など世界市場に投入へ
2024.11.05
-