【試乗記】トヨタ・クラウン スポーツRS(4WD/CVT)
地に足がついている
足元はRS専用
いいじゃないか、こうじゃなくちゃ。せっかくの肉感的なボディーなのだから、つま先まで気を遣わなければもったいないというもの。対向6ピストンをアピールする「OP-6」のアルミキャリパー(フロントのみ、リアはスチール製)のロゴはちょっとあれだが、失礼ながら、ライト類とブレーキには金をかけない傾向があるトヨタにしては珍しい大奮発だ。トヨタの標準装備としては初めてではないかと推測するが、この辺については口が重い。社内事情があるのかもしれない。大径ホイールを採用しながら、その奥に見えるブレーキが貧弱だと何とも寂しい気持ちになってしまうものだが(トヨタ以外にも日本車には多い)、クラウン スポーツRSはたくましく引き締まって見える。このブレーキシステムはプラグインハイブリッドのRS専用という。オプションでいいから他のクラウンシリーズにも設定すればいいのに、と思うが、クラウンの他のモデルに採用する予定は少なくとも今のところはないという。
足元が軽い
そのおかげか、RSは新しいクラウンシリーズのなかで(方向性が違う「セダン」以外では)一番滑らかでスムーズな乗り心地に感じられた。がさついたザラザラ感やゴロゴロしたラフな振動がなく、引き締まってはいるが洗練されている印象である。聞けばAVS自体も「クラウン クロスオーバー」に採用したものからさらに改良されているという。後輪操舵システム(DRS)も標準装備で、2tあまりの車重にもかかわらず、スルッと自然に鼻先が向きを変えるシャープさもクラウン随一ではないだろうか。
使える機能全部盛り
フロア下に搭載されるリチウムイオン電池容量は18.1kWh、WLTCモードのEV走行換算距離は90kmとされている。同じくWLTCモードのハイブリッド燃費も20.3km/リッターとZ(同21.3km/リッター)と大差なく、燃料タンク容量も55リッター(レギュラー)と変わらないため、電動走行距離と合わせて計算上は1200km以上の長い航続距離を持つと主張する。また普通充電のみの「プリウス」や「ハリアー」のPHEVとは異なりDC急速充電にも対応しており(50kW器の場合約38分で80%まで充電可能という)、さらに外部給電できるV2H機能も備わる、という具合に出し惜しみなくあらゆる機能が盛り込まれている。ハイブリッドZの590万円に対してRSの価格は765万円とだいぶ差があるが、充実の専用装備に加えて補助金を勘定に入れれば案外安いのではないか、とさえ感じる。クラウン スポーツのプラグインハイブリッドなら、もう少し強気でもいいんじゃないか?
こっちが先に出ていれば
いっぽうで専用のブレーキローターやキャリパーなど明確に力がこもっている部分もある。この温度差は何だろう、と昔のクラウンを知る身としてはちょっとふに落ちない。もちろん単純なヒエラルキーでは語れない時代であり、事実上国内専用だった先代までのクラウンとは違って投入する市場向けにつくり分ける必要があるのだろうが、そういう細部で倹約するのはクラウンというブランドにはふさわしくないと思うし、GA-Kベースのなかでは現状ベストのクラウン スポーツRSがクロスオーバーよりも先に出ていれば、世の中のイメージもずいぶん違っていたのではないだろうか。
テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4720×1880×1570mm
ホイールベース:2770mm
車重:2040kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:177PS(130kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:219N・m(22.3kgf・m)/3600rpm
フロントモーター最高出力:182PS(134kW)
フロントモーター最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:306PS(225kW)
タイヤ:(前)235/45R21 97W/(後)235/45R21 97W(ミシュランeプライマシー)
ハイブリッド燃料消費率:20.3km/リッター(WLTCモード)
EV走行換算距離:90km(WLTCモード)
充電電力使用時走行距離:90km(WLTCモード)
交流電力量消費率:165Wh/km(WLTCモード)
価格:765万円/テスト車=794万2600円
オプション装備:ボディーカラー<ブラック×エモーショナルレッドIII>(9万9000円)/パノラマルーフ<電動シェード&挟み込み防止機能付き>(11万円)/デジタルキー(3万3000円) ※以下、販売店オプション フロアマット<ロイヤルタイプ>(5万0600円)
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:1042km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
トヨタ・クラウンの試乗記事
-
-
【試乗記】トヨタ・クラウンスポーツRS
2024.05.10 クルマ情報
-
-
-
クラウン スポーツRS(PHEV) “スポーツ”という名がしっくりくる
2024.03.30 クルマ情報
-
-
-
クラウン スポーツRS(PHEV) 車両重量を補って余りあるパワー
2024.03.23 クルマ情報
-
-
-
【トヨタ クラウンセダン FCEV 新型試乗】クラウンらしい説得力に満ちたクルマだ…島崎七生人
2024.03.08 クルマ情報
-
-
-
クラウンセダン「クラウンを愛用してきた人もクラウンと実感できるクルマ」
2024.03.02 クルマ情報
-
-
-
【トヨタ クラウンスポーツ PHEV 新型試乗】欧州PHEVとは全く違う!抜きん出た世界観をもつ一台…南陽一浩
2024.03.01 クルマ情報
-
トヨタ・クラウンに関する情報
-
-
出来ないことって、そうそうない!クジラクラウンを、アメリカに持っていくと決めた私
2024.11.21 愛車広場
-
-
-
関西初の『クラウン』専門店開業へ、マットメタル色の特別仕様を展示 11月16-17日
2024.11.11 ニュース
-
-
-
マットメタルのトヨタ『クラウンスポーツ』発売、「THE CROWN」向け特別仕様で820万円
2024.10.10 ニュース
-
-
-
120系から始まり、200系でさらに深化したクラウンとのカーライフ
2024.09.24 愛車広場
-
-
-
【連載全13話】第4話 トヨペット・クラウン・・・日本生まれの直6エンジン搭載車
2024.09.11 特集
-
-
-
フロントフェイスに一目ぼれしたクラウンは、懐かしさと心を満たしてくれる人生の相棒
2024.09.01 愛車広場
-
-
-
20代フォトグラファーの感性に刺さったトヨタ クラウンエステートは、憧れと実用性を兼ね備えた相棒
2024.08.09 愛車広場
-
-
-
父が育てた柚子がGS121クラウンとのご縁につながる。「オーナーになった今でも、クラウンは私の憧れ」
2024.08.08 愛車広場
-
-
-
トヨタ『クラウンスポーツ』特別仕様を披露…クラウン専門店限定第2弾!!
2024.07.27 ニュース
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-