【試乗記】ホンダ・シビックRS プロトタイプ(FF/6MT)
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ホンダ・シビックRS プロトタイプ(FF/6MT)
アナタが運転好きならば
インフォテインメントシステムがグーグルに
というわけで、まずは新しいRS(の一応はまだプロトタイプ)をながめつつ、シビックそのもののマイナーチェンジ内容を見てみる。
11代目となる現行シビックはメイン市場の北米を筆頭として、世界的に成功作とされている。なので、今回のマイナーチェンジも、従来のイメージを踏襲した細かなアップデートにとどまる。外観はオートサロンの出展車そのままだ。従来はフロントのセンターグリルがどことなく上広がりの逆台形風だったのに対して、新しいシビックのそれは、センターグリルが新型「アコード」にも似た下広がりの台形になった。バンパーグリルも従来は下広がりの台形だったが、新しいRSでは逆台形とされている。
インテリアの基本デザインは従来を踏襲しており、写真などでは新旧の区別もほぼつかない。9インチのセンターディスプレイそのものも変わりないようだが、中身のインフォテインメントシステムには、アコードに続いて「Google Built-in(グーグルビルトイン)」が搭載された。
今回の取材では細かい機能性まで確認する時間はなかったものの、おなじみのグーグルマップがそのまま表示されるナビ地図は高精細できれいだ。これまで標準装備されていたナビは古典的で、地図の解像度も今どきとしてはちょっと違和感があるほど低かったから、これは進化といっていいだろう。コンソールに備わる2つのUSBも、角型のタイプAから最新のタイプCにアップデートされている。
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2024年9月のマイナーチェンジを機に、「シビック」に追加される予定の新グレード「RS」。「フィット」や「N-ONE」にも設定のある、走りの気持ちよさを重視したスポーティーグレードだ。
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インテリアに関しては、今回のマイナーチェンジでは大きく手は入っていない。一部の上級グレードには、待望のサンルーフが設定される。
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インフォテインメントシステムには「グーグルビルトイン」を採用。ナビゲーション機能もグーグルマップに準拠したものとなる。
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「シビック」の純ガソリンモデルは、販売の58%がMT車だったという。マイナーチェンジ後のラインナップでは、MT専用車として「RS」が追加されるいっぽう、既存の「LX」「EX」のMT車は廃止される。
限界性能より“味”を追求
このクラスのMT自体が貴重ということもあり、シビックのMTもタイプR(現在も受注停止中)を含めて、需要は堅調だったという。とりわけ、タイプRではないシビックMTは“タイプRほど過激ではないスポーツモデル”として選ばれている……とホンダは考えたようだ。その判断はおそらく正しい。今回のRSはまさにそこを突いた商品企画である。
RSといっても、エンジンは従来のガソリン車のままで、最高出力182PS、最大トルク240N・mというピーク性能値も変わりない。ギア比やタイヤにも変更はないので、限界性能が向上しているわけでもない。
そのかわり、いわゆる味わいの部分では、じつに手が込んでいる。まずパワートレイン関連では、エンジンのフライホイールの軽量化&低慣性マス化をはじめ、これまではe:HEVやタイプRにしかなかったドライブモードや、同じくタイプRでおなじみの「レブマッチシステム」を追加した。
シャシー方面では、コイルやスタビライザーといったバネ類を強化して、車高を5mmローダウン。ダンパーも減衰力そのものは大きくは変わらないようだが、微低速での応答性をアップさせているという。加えてフロントブレーキは大径化(15インチ→16インチ)。さらに、フロントコンプライアンスブッシュのソリッドラバー化(標準は液封)やステアリングのトーションバーレートの60%アップ……は、ステアリングレスポンスに直結する工夫だ。
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エンジンは1.5リッター直4ガソリンターボ。基本的には他の純ガソリン車と同じエンジンだが、それらのものより23%軽量で、30%慣性モーメントの小さいシングルマス軽量フライホイールが採用されている。
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赤で描かれたゲートパターンなど、既存のモデルとは微妙に意匠の異なるシフトノブ。脇には新設のドライブモードセレクターのトグルスイッチが配されている。
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滑り止めが付いたアルミのABCペダル。「RS」ではブレーキペダルの操作性が見直され、より剛性感のあるブレーキフィールを実現している。
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足まわりではスプリングやスタビライザーの変更により、ロール剛性を11%向上。ダンパーも径を拡大してバルブを最適化したことにより、入力初期や微低速走行時の応答性を高めている。
如実に感じる軽量フライホイールの恩恵
新たに追加されたドライブモードのセレクターは、従来だと「ECON」と「アイドルストップ」のスイッチがあった位置に設置されている。そこでは、エコモードにあたる「ECON」から「ノーマル」「スポーツ」、そしてエンジンやパワステ、メーター表示を好みで組み合わせられる「インディビジュアル」の計4種のモードが選べる。スポーツモードにすると、アクセル開度がレスポンス重視の“早開け”になるほか、パワステも重くなる。
前記のようにガソリンエンジンは排気系も変わらず、e:HEVやタイプRのような「アクティブサウンドコントロール」も備わらないので、スポーツモデルとはいえ、室内に響くエンジン音に変化はない。
ただ、エンジンレスポンスは明らかに活発となった。とくに開発陣の主張どおり、アクセルオフにシャープに反応する回転落ちがすこぶる気持ちいい。従来のガソリン車は、いわれてみれば回転落ちはちょっとなまくらだったが、最新の環境エンジンは多かれ少なかれ、そういう傾向にあるので、指摘するほどのものでもなかった。
しかし、こうしてRSと比較してしまうと、なるほど、従来型はちょっともどかしい。軽量&低慣性フライホイールが投入されたRSはわずかにアクセルを緩めるだけでしっかりと荷重移動してくれるので、コーナーでの身のこなしも軽快。走りもおのずとリズミカルになる。
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外装ではヘッドランプリングやウィンドウモール、ドアミラー、アンテナ、エキパイフィニッシャーなど各所をブラックでコーディネート。前後に赤い「RS」のエンブレムが装着される。
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内装色は、ハイブリッド車にはグレーも設定されるが、純ガソリン車はブラックのみ。「RS」では、各所に赤いアクセントがあしらわれる。液晶メーターに専用のウエルカムアニメーションが用意されるのも、RSの特徴だ。
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エアコン吹き出し口のピンストライプは、ハイブリッド車の場合は白。純ガソリン車では「LX」「EX」がクロームメッキで、「RS」では写真の赤となる。
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ドライブモードは「ECON」「ノーマル」「スポーツ」と、カスタマイズモード「インディビジュアル」の全4種類。加速レスポンスに加えて、スポーツモードでは電動パワーステアリングの特性もよりダイレクト感のあるものとなる。
ベースモデルのドライブフィールも魅力だが
その性能を究極的に味わうにはサーキットにいくしかないタイプRに対して、RSは「街乗り最高スポーツ」をうたう。個人的には、一般道で留飲を下げるべきクルマこそ、レブマッチのような機能も、手もとで頻繁にオンオフして遊びたいところである。
適度に引き締まって明確にロールが減少したRSのフットワークは、いかにもスポーツモデルらしい肌ざわりだ。S字のような切り返しは思わず笑ってしまうほどの小気味よさで、これは先述のエンジンレスポンスと、シャシーの相乗効果だろう。ただ、比較用に持ち込まれた従来型MTの、適度にロールしながら路面に吸いつく濃厚な接地感も、個人的には捨てがたいと思った。そっちが好きなら、今後はガソリン車のCVTやe:HEVを……ということか。
いっぽうで、トーションバーの剛性アップによって正確性が確実に増したステアリングフィールは、RSの圧勝である。同様に、明確に回転落ちが鋭くなったエンジンレスポンスも文句なしの進化といっていい。総合的にいえば、運転好きなら、新しいRSのほうを好ましく思うことだろう。余談だが、こうしたステアリングのトーションバーやエンジンレスポンスに直結する軽量&低慣性のシングルマスフライホイールの技術は、レブマッチシステム同様、タイプRの開発で得られた知見なのだそうだ。
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フライホイールの軽量化により、エンジンレスポンスは回転上昇時で約30%、下降時で約50%アップしている。
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フロントブレーキは径の拡大により有効径が6%、熱容量が14%アップ。ブレーキパッドも面積・熱容量が17%アップしており、ブレーキの温度上昇を従来型より10%抑制している。
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今回のマイナーチェンジでは、ハイブリッド車はホイールの意匠が変更されたが、純ガソリン車は従来と同じ意匠のものが継続採用となる。ただし「RS」の場合、ホイール、ナットともにブラックで塗装される(他のグレードはブラック+切削加工のツートン)。
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「シビック」のマイナーチェンジモデルには、写真の新色「シーベッドブルー・パール」を含め、全5色のボディーカラーを用意。グレードによる設定の違いはない。
テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=--×--×--mm
ホイールベース:--mm
車重:--kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:182PS(134kW)
最大トルク:240N・m(24.5kgf・m)
タイヤ:(前)235/40R18 95Y XL/(後)235/40R18 95Y XL(グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック2)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:219km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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