トヨタ 86(ハチロク) 商品概要(ボディ&シャシー) 2012年2月

※これまでのダウンフォースを重視する空力性能に対し、空気の流れを利用して上下左右から車両をサンドイッチ状に包み込むことで、操縦性・走行安定性の向上を図る考え方。

軽量ボディ

軽快な走りを目指してボディの軽量化を図りました。まず、低重心を確保するために、ルーフやピラーなどに超高張力鋼板の採用を拡大するとともに、ルーフ中央を絞ったパコダルーフを採用し、軽量化を実現しました。

また、運動性能を高める最適な重量配分を追求し、特にフロント部の軽量化に取り組みました。エンジンフードのアルミ化やフェンダーの薄板化を実施し、フロント部の重量削減によりヨー慣性モーメントの低減に寄与しました。

さらに、軽量かつ成形自由度の高い樹脂製燃料タンクを採用。後席の低い着座位置の確保に貢献しています。

高剛性ボディ

微小な操舵入力などでも高い応答性を実現するボディ剛性を確保。フロントサイドメンバー、ロッカー、リヤサイドメンバーの結合構造の最適化を図り、骨格全体の剛性を高めています。操舵に対して俊敏かつリニアな挙動を実現し、ドライバーとクルマの一体感が向上しました。

空力性能

従来のダウンフォースを重視する空力性能を一歩進め、空気の流れを利用して上下左右からクルマを挟み込む発想に基づき、最適なフォルムを追求。パコダルーフをはじめ、ボディ各部形状の最適化を図ることで、CDとダウンフォースの両立を図りました。

  • ルーフ中央をくぼませて空気の流れをコントロール。
  • 1 低く滑らかなフード形状
    2 ドアミラー形状の最適化
    3 サイド下端のエアカット処理
    4 キャビン後端の傾斜角・長さの最適化
    5 切り上げ角の最適化
  • ルーバー形状
    エンジンルーム内の圧力を逃すことで空力性能を向上。
    エアロスタビライジングフィン
    空気の流れを制御し、優れた操縦性・走行安定性を確保。
    操縦安定性向上形状
    床下流れを整え、優れた操縦性・走行安定性を確保。

サスペンション

フロントサスペンションは、軽量かつ高剛性なマクファーソンストラット式を採用しました。高い剛性と軽量化を両立したクロスメンバー、また軽量ロアアームの採用により、高い剛性と軽量化を両立。操舵に対する、ダイレクト感や応答性のよさ、走行安定性の高さを実現しています。

また、低重心を視覚的に強調するフードを低く抑えたデザインを実現するために、ストラットマウントをできる限り低くするレイアウトを採用しています。

リアサスペンションは、ダブルウィッシュボーン式を採用しました。取付部剛性の向上、ブッシュばね特性の最適化を進めるとともに、さらにフロント・リヤのロールセンター高を最適化して気持ちのよいロール感を追求。FRスポーツカーならではの気持ちよい走りを生み出す、クルマとの一体感(リヤグリップの明瞭さ)、軽快さと安定感の両立を実現しました。

車両の姿勢変化

走行中の車両の姿勢変化を表現する言葉に、ロール、ピッチ、ヨーがあります。ロールは前後軸(x軸:車両の進行方向)に対する回転、ピッチは左右軸(y軸:車両の左右方向)に対する回転、ヨーは上下軸(z軸:車両の垂直方向)に対する回転を表しています。

電動パワーステアリング

ドライバーが意のままに操る歓びを感じられるステアリングシステムを開発しました。

まず、ステアリングコラム、ステアリングギヤボックスなどの取付け剛性を高め、ダイレクトな操舵感を追求。さらに、ステアリングギア比を13:1に設定することで、スポーツカーにふさわしいきびきびした応答性のよい操舵感を実現しています。

4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ

フロント・リヤにベンチレーテッドディスクブレーキを採用しました。さまざまな状況で安心して走りを楽しめる前後荷重のコントロール性と高い制動力を確保しています。また、ブレーキキャリパーに効率よく風を送り込む工夫により、ブレーキの温度上昇を抑制します。