セントラルラリー2021へ行って来ました!…安東弘樹連載コラム
去る11月14日㈰、愛知県と岐阜県で行われたセントラルラリーの取材に行って来ました。
取材といっても、完全に一般の観客としての立場で、ラリー観戦とは、どんなものかを体験しながらのプライベート取材です。
まず、セントラルラリーとは何なのかを主催者の概要を引用して紹介させて頂きます。
「NPO法人M.O.S.C.O.は、Rally Japanの開催を目指し、一昨年より競技運営を担うための準備を続けてまいりました。しかし昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルスの影響により、海外から多くの参加選手、チーム関係者が来日し大会運営を行うことは大変困難との判断より、開催を断念するとの結果になってしまいました。
2年続けての中止決定はあまりにも大きな衝撃であり、ここで準備作業を止めてしまうと、開催を予定し受け入れの準備をしていた自治体の皆様や、ラリー車両が通過する予定のエリアにお住まいの皆様の、ラリーに対する強い期待感を裏切ることとなってしまいます。同時に、長い時間をかけて準備を進めてきた多くのスタッフの情熱も失ってしまうことを危惧し、Central Rally 2021と銘打ち、WRCで予定していたコースを一部使用してラリーを開催することを決断いたしました。
新型コロナウイルスの感染状況がどのような推移を見せるか現時点では判断できませんが、本ラリーは初めてラリーコースとして使用する地域住民の皆様との連携確認や、WRC開催を目指して準備してきた機材や機器の作動試験、広範囲に広がるラリーコースと大会本部との通信状況の確認、そしてWRCマーシャルとして活躍する多くのスタッフの実地トレーニングを目的として開催します。
また、開催日付近の新型コロナウイルスの感染状況にもよりますが、一部のステージにお客様も来ていただくことで、来年に向けた観戦ステージの運用シミュレーションも行ってみたいと考えております。」
要は2年連続で中止となってしまったWRCラリージャパンのプレイベントとしてノンタイトルながらFIA公認で行われたラリーです。
これは自分の眼で確認しておかなければと思い、独自に取材する事にしました。
実は当日は仕事があるはずで観戦は諦めていたのですが、直前に出演者の一人の都合が悪くなりその仕事が延期になったため、急遽取材に行けることになったのです。
ちなみに皆さんは2018年に私がWRC日本ラウンド招致応援団員に任命されたのを覚えていますでしょうか?(笑)。
2019年のWRC日本ラウンド(ラリージャパン)開催に向けて招致を確実なものにするために、JSPORTSチャンネルで長年、WRC番組のキャスターを務めてきた栗田佳織さん、フィギュアスケート・オリンピアンでモータースポーツに参加もしている小塚崇彦さん、元SKE48でタレント、そしてコドライバーとして今回のセントラルラリーにも出場している梅本まどかさんと共に私も、ラリージャパン招致を盛り上げるべく「応援団員」を拝命したのでした。
しかし、2019年、WRCのカレンダーに「ラリージャパン」の名前は入らなかったのです。
ラリージャパンの運営の方は、まさかの事態に、驚きを隠せませんでした。FIAのトップに近い方にも、「恐らくラリージャパンは開催できるだろう」と言われていたそうで、何があったのか理解できない、といった状況で、我々、応援団も愕然としたのは言うまでもありません。
すぐに、この応援団も解散かと思いきや、次年こそは招致を実現させるべく、引き続き応援団員として、益々、盛り上げて欲しい、と言っていただき、私たちも「来年こそは!」と意気込んでいたのを鮮明に覚えています。
そして2019年、翌年、2020年のラリージャパンの開催がようやく決まり、私も個人的に自分のラジオ番組にWRC参戦中の勝田貴元選手に電話で(まだコロナ禍ではありませんでしたが勝田選手は世界各地を転戦している為)出演していただき、私なりにラリージャパンを盛り上げるべく活動をしてしました。
その中でも2019年11月(翌年のラリージャパン開催日に合わせて)に行われたWRCのテストイベントとしてのセントラルラリー愛知岐阜2019にも参加させて頂いたのは本当に貴重な体験となりました。
一部SS(スペシャルステージ・競技参加車両のタイムを計る区間)の実況や、WRCレジェンドドライバーで当時のTOYOTA GAZOO Racing WRT代表であったトミマキネン氏や、2003年のWRCチャンピオンで日本にも(私を含めて)ファンが多いペターソルベルグ氏のトークショー、そしてオープニングセレモニーや表彰式の司会など、WRCファンとしては夢のような仕事を担当させていただきました。
いよいよWRCが日本に13年ぶりにやってくるんだ!と心から歓びが湧いてきたのを感じ、翌年の、観戦、もしくは何か仕事として参加できるのではないかと大きな希望に満ちて愛知県を後にしたのを覚えています。
しかし…(この記事で2回目)まさかの新型コロナウィルス、世界規模感染拡大によってこの年のラリージャパンは中止になってしまいました。
ここからフェードアウトといった状態で私たち「応援団」の活動は完全に無くなり、今年のラリージャパンも中止。そして今回、ご紹介している「セントラルラリー」開催へと繋がります。
私としては、他の3人は別として自分だけが「疫病神」の様に感じてしまい、それからWRCやラリージャパンから遠ざかる様にしていたのですが、一般客として観戦するだけなら問題はないのではないか、さらに、沿道から声援を送る事で、少しでも今回のセントラルラリーを盛り上げるという「責任」の様なものを感じた側面もあり、観戦することにしました。
今回のラリーでは、感染対策からごく一部のSSしか観戦できませんし、急遽取材に行く事になりましたので、各、有料イベントのチケットも買えませんでした。本当に「沿道から声援を送る」という取材です。
主に岐阜県恵那市岩村町の「昔ながらの街並み」を通過する「リエゾン」(SS間の移動区間、一般車と一緒に公道を制限速度も守ってマシンが走る)区間を中心にドライバーに声援を送ることにしました。
嬉しかったのはリエゾン区間、正に昔ながらの街並みを走行しているマシンの中で、参戦中の梅本まどかさんを見つけ、信号で停止している時に声をかけることが出来たことです。
梅本さんも気付いてくれて「あ、安東さん!」と声をかけてくれました。
同じ招致応援団員の梅本さんがラリーに参加し続けて下さっていることに感謝です。
私も今は「応援団員」という肩書は無くとも、数少ない「WRC好きのアナウンサー」として様々なところから、WRC、そしてラリージャパンを盛り上げていこうと心に誓いました。
来年こそはラリージャパンは開催されると信じています。
開催地である愛知県や岐阜県の皆さんのラリーに対する理解を肌で感じることが出来たのも今回の取材の収穫です。
宿泊したホテルや、食事をしたお店、立ちよったカフェにいたるまで、皆さんとラリーの話をしてみると、「楽しみにしている」とおっしゃっていました。
あえて、「競技車両が一般道を走るための、ラリー開催期間の交通規制等を迷惑に感じる事はありませんか?」と訊いてみたのですが、皆さん、「短期間だし、これで地元が活性化するのなら、こんなに良い事はありませんよ」という様な反応です。
何だか嬉しくなりましたが、この様な地元の皆さんの協力があってこそのラリー開催なのだなと実感しました。
だからこそ、来年こその開催を祈らずにはいられません。
開催された時、私はどんな形でラリージャパンと関わっているか分かりませんが、もし仕事としてのオファーが皆無でもプライベートで観戦すべく、スケジュールを空けておこうと思っています。それが一度でも「招致応援団員」を拝命した私の義務だと思っています。
皆さんも是非、日本で行われるモータースポーツの世界選手権「ラリージャパン」を応援してください!
安東 弘樹
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