50万円の予算で上質な中古車を手に入れるためのコツとは 【伊達軍曹の『中古車こんにちはごきげんようさようなら』】
一部の大手企業では、この冬のボーナス支給額がかなりの高水準になったと漏れ聞く。だが筆者を含む一般的なピープルのフトコロ事情は、とどまるところを知らない物価高や、なかなか上がらぬ手取り年収等々の要因により、決してホクホクではないというのが現実だろう。
それゆえ車を購入する際にも「総額50万円以下のお手頃中古車」が若干気になってくるわけだが、とはいえ総額50万円以下という超絶お安い予算で、我々は「マトモな中古車」を買うことなどできるのだろうか?
結論から申し上げると、できる。マトモどころか「けっこういい感じの中古車」を購入することすら可能だ。
ただし総額50万円以下レベルの中古車購入を成功に導くには、いくつかの注意点というかコツのようなものを知っておく必要はある。もしもこの注意点ないしコツを知らずして格安中古車の購入に臨んでしまうと、いわゆるドツボにハマる可能性も決して低くはないだろう。
総額50万円以下ぐらいの中古車購入を成功裡にコンプリートさせるためには、まずは「カテゴリー」について知る必要がある。カテゴリーといっても「軽スーパーハイトワゴン」やら「クロスオーバーSUV」などのボディタイプに基づくカテゴリーではなく「格安中古車としてのカテゴリー」だ。
世の中には「比較的成功しやすい起業ジャンル」と「どう考えても成功する確率が低そうな起業ジャンル」があるのと同様に、格安中古車にも「購入が成功しやすいカテゴリー」と「必ず失敗するとは言わないが、失敗に終わる可能性が高いカテゴリー」がある。
まずは総額50万円以下の予算感で臨んでしまうと失敗しやすい「Bad Categories」を具体的に見てみよう。
Bad Category 01|新車時価格が高かった車種
新品価格が2万円前後だったクオーツ腕時計の中古品が5000円で販売される――というのはよくある話であり、おそらくその5000円の中古クオーツ腕時計は、若干のキズ等はあるかもしれないが、まぁ普通にいい感じで使用できるだろう。
だがもしも20万円ぐらいで販売されていた人気の機械式腕時計が5000円で売られていたとしたら――それはジャンク品か、ジャンク品とまではいかないとしても、けっこうな難アリ商品であろうことは容易に想像できる。
中古車の場合も、話はだいたいこれと同じだ。200万円ぐらいの新車価格で販売されていたコンパクトカーが50万円の中古車になったものは、まぁいろいろとキズやら劣化やらは当然あるはずだが、基本的には特に大きな問題はない場合も多い。
だが2000万円ぐらいの超ハイエンドセダンだった車種が50万円になった中古車は、言ってはなんだが相当ボロいのが普通だ。なぜならば、ボロくない高級車を、わざわざ50万円という破格値で売る理由など、この資本主義社会にはないからである。
そしてそういったハイエンドな車種というのは、補修や修理の際に必要となる各種部品の値段も「ハイエンド」である場合がほとんどである。そのため、ボロい箇所を修理するにもけっこうな大金がかかる――ということになってしまうのだ。
Bad Category 02|大人気車種
中古品の値段というのは、もちろん商品の品質に応じて高くなったり安くなったりするわけだが、それと同時に、いやむしろそれ以上に「モノの値段は人気次第」という部分もデカい。品質的にはさほど見るべき部分がなかったとしても、市場での人気が高い中古品には、高い値段が付く。なぜならば、客観的に見て割高な値付けをしても楽勝で売りさばけるため、わざわざ妥当な値段まで下げる理由がないからである。
で、もしも大人気といえる車種が「総額50万円以下」という、自動車としてはかなり安価なプライスで売られていたとしたら、その理由は「販売店の人が良心的だから」では決してない。「その値段じゃないと売れない“何か”があるから、その値段にしている」というだけのことなのだ。
そういった中古車を総額50万円ぐらいで購入し、「やった!人気車を安く買えたぜ!」と喜んだとしても、その喜びはおそらく束の間で終わるだろう。その身に秘められていた“何か”が購入後に噴出し、購入者はドツボにハマることになるのだ。
このほかにもBad Categoriesはいくつかあり、Badとまではいかないが「Bimyo」なカテゴリーもいろいろある。だがそれらすべてを網羅しようとすると、とてつもなく長い記事になってしまう。そのため今回は、最低限押さえておくべきものとして「新車時価格が高かった車種」および「大人気車種」という、ふたつのBad Categoriesを挙げるにとどめたい。
ならば総額50万円以下系中古車における「Good Categories」は何になるのかというと、答えは簡単だ。前述したふたつのBad Categoriesの真逆に位置するものが、そのままGood Categoriesとなるのである。
Good Category 01|新車時価格が安かった車種
いくらをもって「新車時価格が安かった」と区切るのかは若干難しいが、まぁ新車時価格が200万円台ぐらいだったA~Bセグメントのコンパクトカーが、おおむねこのカテゴリーに該当する。
そして具体的には今、下記のようなコンパクトカーのまずまず悪くなさそうな物件を、総額50万円以下のゾーンで見つけることができるだろう。
トヨタ アクア(初代)
現行型はさすがに総額50万円以下では無理だが、先代(初代)であれば、マイナーチェンジ前の2013~2015年式を総額40万円台後半で検討可能。まあまあ広く使えてキビキビ走り、燃費も鬼のように良好というナイスな選択肢だ。
マツダ デミオ(最終型)
「MAZDA 2」に改名された世代は総額80万円以上となるが、まだ「デミオ」と名乗っていた最終型の2014~2015年式を、総額40万円台後半で検討可能。力強いディーゼルターボエンジン搭載グレードもこの価格帯で流通しており、ハンドリングの良さはクラストップレベルだ。
このほかにも総額50万円以下でいい感じの物件が狙えるGood Category 01は多々あるが、まずはこの2車が鉄板といえるだろう。
Good Category 02|今ひとつ人気薄な車種
大人気車種だと、中古車としてのコンディションがビミョーな個体であってもけっこうな高値になる場合もある。だが今ひとつ人気薄な車種は、逆に「けっこう悪くない一台なのに、こんなに安いお値段でいいんですか?」と、販売店に尋ねたくなってしまうことが多い。
まぁシビアな市場経済で回っている世の中ゆえ、販売店としては「安くしないと売れないから」という悲しい事情があるのだろうが、我々ユーザーとしては、もしも良いモノを「人気薄だから」というだけの理由で安く買えるなら、ある意味万々歳である。
そして具体的には今、下記のような人気薄車(すみません)のまずまず悪くなさそうな物件を、総額50万円以下のゾーンで見つけることができる。
スバル レガシィ ツーリングワゴン(国内最終型)
セダンの「B4」はこれの次の世代も日本で販売されたが、ステーションワゴンはこれが国内最終世代。で、ステーションワゴンというジャンル自体がSUVに押されて若干人気薄であり、大柄になったこの世代のレガシィ自体も人気車とは言い難い存在であるため、マイナーチェンジ後の2013年式も総額50万円以下で検討可能。乗れば、実にいい車だ。
スバル インプレッサ スポーツ(初代)
2モデル続けてスバル車となってしまい恐縮だが、これもコスパが高い。いわゆるCセグメントの5ドアハッチバックで、なかなかいい車なのだが、そのジャンル自体がB~CセグメントのSUVに押されまくっているため、大幅改良後の2015年式を含めて総額40万円台で検討可能。もしくは、総額70万円ぐらい出して「スバルグローバルプラットフォーム」に刷新された2代目を買うというのもおしゃれな選択だ。
このほかにも検討に値するGood Category 02はいくつかあるが、とりあえずはこの2車種をご紹介するにとどめておく。
だが車種紹介以上に筆者が申し上げたいのは「中古車を買う際は、特にお安い価格の中古車を購入する際は“走行距離の多寡”にこだわりすぎるな」ということだ。
同じ総額50万円の中古車なら、走行12万kmよりは9万kmの物件、9万kmの物件よりは7万kmの物件を選びたい――というのが人情かもしれない。だがこのぐらいの価格の中古車=年式が比較的古い中古車の場合は、走行距離が短いことに特に意味はなく、むしろ「あまり乗られていなかったゆえの不具合」を抱えている可能性すら考えられる。
大切なのは距離計の数字ではなく「どれくらい丁寧に扱われ、どれくらい丹念に整備されてきたか」ということだ。荒っぽく扱われ、ろくに点検も受けてこなかった走行6万kmの物件より、何かと丁寧に扱われてきた走行12万kmの物件のほうが、内外装の状態もエンジンの調子もいい――というのはよくある話だ。
とにかく丁寧に扱われてきただろうことが内外装の状態から推測でき、なおかつしっかりと定期的に整備されてきたことが整備記録簿から確認できる物件であれば、総額50万円以下の格安中古車であっても――もちろん多少のキズやヤレなどは付き物だが、ごく普通に、まあまあいい感じで、乗り続けることができるだろう。
(文:伊達軍曹 写真:Adobe Stock 、Mercedes-Benz、日産自動車、トヨタ自動車、マツダ、SUBARU)
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