中古車という商品がなぜ素晴らしいか、あらためて魅力を考える【伊達軍曹の『中古車こんにちはごきげんようさようなら』】

  • 中古車イメージ

筆者はこのところ3台続けて新車を購入してしまったわけだが、それでも、以前はひたすら購入し続けていた「中古車」とは本当に素晴らしいモノであると、今でも確信している。

中古車というモノがなぜ素晴らしいかといえば、理由はふたつある。ひとつはシンプルに「中古車は安い!」ということであり、もうひとつは「もはや新車では買えないモデルも、中古車であれば買える!」ということだ。

まずは「もはや新車では買えないモデルも、中古車であれば買える!」という部分から詳細にお話しよう。

筆者は中古車評論家を自称している身でありながら、近年はスバルの新車に多大な興味を抱いてしまったため、ここ数年は「XV→レヴォーグSTIスポーツ→レヴォーグSTIスポーツR」と、新車ばかりを乗り継いでいる。

しかし、だからといって心の中の「中古車を愛する炎」が消えたわけでは決してない。

  • アルピナ

    アルピナB6-2.8/2

現在の愛車であるスバル レヴォーグSTIスポーツRを心の底から愛しながらも、同時に、1990年代初頭に作られたBMW M3やアルピナB6-2.8/2、あるいは同時期の空冷ポルシェ 911、もしくは1990年代後半に販売されたプジョー 106 S16などのことも、欲しくて欲しくてたまらない毎日を過ごしているのだ。

  • BMW-M3

    BMW M3

なぜそれらのモデルが欲しくてたまらないかといえば、それらはどれも「最新世代の車では絶対に味わえない魅力」を備えているからだ。

  • ポルシェ

    ポルシェ911(typ964)

その魅力とは「軽さ」や「小ささ」であったり、あるいは「シンプルさ」「ダイレクトなフィーリング」などだったりするわけだが、いずれにせよそういった種類の味わいは、具体的な諸性能に関しては旧来の車をはるかに上回っているはずの最新モデルでは、どうにもこうにも味わいにくいのである。

  • プジョー

    プジョー106 S16

しかし我々には「中古車市場」という非常に便利なモノがある。中古車市場を利用すればいつだって、「軽さ」「小ささ」「シンプルさ」「ダイレクトなフィーリング」といった素晴らしい資質を享受できるのだ。

もしも車というものが生物であったとしたら、一度死亡したら(=登録が抹消されたら)二度と生き返ることはない。だが幸運なことに車は生物ではないため、需要と部品さえあれば何度でも生き返る。その生命の長さを「永遠」とするのは大げさだが、「半永久的」と言うことはできるはず。もはや新車では絶対に味わえないような感覚や感触も、中古車市場にアクセスすれば、我々はいつだってもう一度それを手に入れることができる。そこが、まずは中古車というモノの素晴らしいところなのだ。

そして、それと順不同で素晴らしいのは「中古車は安い!」ということである。

「……こいつは何を当たり前のこと言っているのだ?」と読者から怒られそうな話であるが、安いということ、つまり人生において「愛」「健康」と並ぶ三大重要項目に数えられる「お金」をセーブできるというのは非常に重要なポイントであり、何度でも繰り返し申し上げたい話である。とにかく――当たり前だが――中古車は安いのである。

具体例を挙げながらご説明しよう。

筆者はこのところ、寄る年波と同時に押し寄せるはずの「仕事量減少」および「収入の低下」に備え、スバル レヴォーグSTIスポーツRというハイオクガソリンをがぶ飲みするステーションワゴンではなく、何らかの低燃費で、それでいて運転自体も楽しめる車に乗り替えようかなぁ……などと考えている。

まぁ今すぐにということではなく「数年後は」みたいな話だが、いずれにせよもしも今、低燃費だけど運転が楽しい車を買うとしたら、候補となるのは「スズキ スイフト スポーツ」「トヨタ アクア」「トヨタ ヤリス(ハイブリッド 2WD)」の3車種ではないかと、個人的には考えている。

  • スズキスイフトスポーツ

    スズキ スイフトスポーツ

そして、それらを買うとしたら当然「中古車」だ。なぜならば、安いからである。

具体的にどれくらい安いのかといえば、おおむね下記のとおりだ。

【スズキ スイフト スポーツ(6速MTの在庫車)】
新車本体価格:221.76万円
諸費用、オプション(概算):約20万円
 A)新車支払総額:約242万円
 B)中古車支払総額:総額約170万円(※走行2万km台の物件の場合)
 ★ 差額(A−B)=約72万円

【トヨタ アクア(Z 2WD)】
新車本体価格:282.48万円
諸費用、オプション(概算):約20万円
 A)新車支払総額:約302万円
 B)中古車支払総額:総額約200万円(※走行1万km台の物件の場合)
 ★ 差額(A−B)=約102万円

【トヨタ ヤリス(ハイブリッド車 Z 2WD)】
新車本体価格:257.95万円
諸費用、オプション(概算):約20万円
 A)新車支払総額:約278万円
 B)中古車支払総額:総額約180万円(※走行1万km台の物件の場合)
 ★ 差額(A−B)=約98万円

  • 計算イメージ

もちろん中古車の価格というのはモノによって千差万別であるため、上記の試算は必ずしも正確な差額を表しているわけではない。しかし「おおむねこのぐらい」というのは間違いなく、それによればスイスポ(スイフト スポーツ)の場合で約70万円、アクアとヤリスハイブリッドでは約100万円のお金を、新車ではなく中古車を選ぶことでセーブできる計算になる。

70万円あるいは100万円というのは、お若い方にとっては大金であろうし、中高年となった筆者にとっても、もちろん大金だ。誰かが100万円の現金をプレゼントしてくれたらめちゃくちゃ嬉しいし、もしも間違って100万円をどこかに落として紛失してしまったとしたら、2週間は泣き続けるだろう。

で、中古品といってもせいぜい走行1万km台か2万km台ぐらいのモノを選ぶだけで、そのような大金を自動的にセーブできるのだから、中古車というのは本当に素晴らしいモノなのである。

とはいえここで、「新車には数年間の保証が付いているけど、中古車は保証期間が終わってしまっていることもある。その場合にかかる整備代や修理代についてはどう考えるんだ? そこまで含めると、中古車を買っても、お金はそれほどセーブできないのではないか?」という疑問の声も上がるかもしれない。

それは確かにそのとおりで、保証期間などとっくの昔に終わってしまったような古い世代の中古車においては「安く買ったのはいいけど、車両代金と同じぐらいの修理費用がかかってしまった」なんていう話もなくはない。

しかしここで例として挙げたのは走行1万km台から2万km台ぐらいの、年式にしてせいぜい1~3年落ち程度のスイスポ、アクア、ヤリスである。そういった新しめの定番国産車が、その程度の走行距離や年数が経過したぐらいでぶち壊れまくるとは考えにくい。

  • 修理イメージ

もちろん新しめの定番国産車であっても機械である以上、壊れるときは壊れる。だが「ぶち壊れまくる可能性」よりも「そんなには壊れない可能性」のほうが高いと考えるのが、あるいはそちらに賭けるのが、冷静な判断というものであるはずだ。

新しめの定番国産車どころか、最近は「新しめな輸入車の中古車」でも、整備関係の大きな問題は特に発生しない場合が多い。

詳細は伏せるが数年前、筆者の友人が、とある大定番ドイツ車を中古車として購入した。しかし購入前に友人から「この販売店で●●を買おうかと思ってるんだけど、どう思う?」と相談された筆者は絶句した。なぜならば、その販売店からは「悪徳」の香りがビンビンに漂っていたからだ。

筆者は友人に正直に言った。「俺だったらその店では絶対に買わない。でも、君が買おうとしている●●はせいぜい2年落ちで、まだ直すべき箇所もほとんどないはずだから、良い店で買っても悪徳店で買っても、予後に関しては大差ないのかもしれない」と。

そして結果はどうだったかといえば、やはり何の問題もなかった。わざわざ筆者に報告するまでもないマイナートラブルは発生していたのかもしれないが、大きなトラブルはいっさい発生しないまま、友人は新車より300万円近く安価に購入したそのドイツ車を、数年間にわたって堪能した。

以上のとおり、中古車には「絶対的な安さ」という魅力があり、そして前段でご説明したとおりの「タイムトリップができる」という魅力もある。個体選びや販売店選びに若干の難しさもあることは否定しないが、そこについてはおいおいご説明させていただくとして、まずは「中古車は素晴らしい!」という事実(?)を、各位に認識していただけたならば幸いだ。

(文:伊達軍曹 写真:Adobe Stock 、Alpina、BMW、Porsche、Peugeot、スズキ株式会社)