「新古車」のバリューをあらためて詳しく検証してみる 【伊達軍曹の『中古車こんにちはごきげんようさようなら』】

  • 中古車販売イメージ

ひと言で「中古車」といっても、その大まかなカテゴリーは下記の3種類に分類される。

① 予算や整備の手間などは度外視し「とにかくそれが好きだし、今や新車として入手することはできないから」という理由で買う[絶版車]
② 古いことや多少ボロいことは承知で「とにかく安いから」という理由で買う[低年式格安車]
③ まだ十分新しいといえるのに「いちおう中古品だから」という理由で、新車よりも若干安価に狙える[高年式車]

もちろん上記の3カテゴリーは明確にパキッと線引きされているわけではなく、あくまでもグラデーション状に存在しているわけだが、今回は③の高年式中古車カテゴリーについて、それを狙う際の心構えのようなものを考えてみたい。

まだ十分新しいといえるのに「いちおう中古品だから」という理由で、新車よりも安価に狙える中古車の代表格は「登録済み未使用車」だろう。ひと昔前までは「新古車」と呼ばれていた、走行数kmから数十kmレベルの中古車である。

登録済み未使用車とは、文字通り「諸事情により陸運局に登録はしているが、使用はされていない車」であるため、車のコンディションとしてはほぼ新車である。だが書類上はあくまでも中古車ということになるため、当然ながら、実質的にも書類的にもピカピカの新車よりは安い金額で販売されることになる。それゆえ登録済み未使用車というのは、巷ではけっこう人気のカテゴリーだ。

だが筆者が思うに、すべての登録済み未使用車がおすすめなわけでは決してない。なぜならば「実はあまり安くはない」といえるケースもけっこうあるからだ。

  • トヨタヴォクシー

    トヨタ ヴォクシー HYBRID S-Z 7人乗り

実例を挙げながら考えてみよう。人気のミニバンであるトヨタ ヴォクシーの売れ筋グレード「HYBRID S-Z 7人乗り」の新車本体価格が399.96万円で、おおむね必要だろうと思われるオプション装備の代金と諸費用を加えた支払総額は、手元の計算では約460万円になる。

それに対してヴォクシー HYBRID S-Zの登録済み未使用車は、安いモノでも総額460万円前後で、高額な物件は総額500万円を超えることもある。

もちろん高額な未使用車には、筆者が見積もりシミュレーションに入れなかったオプション装備も付いている場合が多いわけだが、それにしたって「登録済み未使用車=新車よりも必ず安い」という単純な図式ではないことは、おわかりいただけるだろう。

また登録済み未使用車の支払総額は、一見する限りでは主要オプション装備を含む新車総額よりも断然安く感じるケースが多いのだが、「実はカーナビが付いていないから安く見えるだけ」という場合も多い。

  • ホンダステップワゴン室内

    ホンダ ステップワゴン e:HEV SPADA

例えばトヨタ ヴォクシーとおおむね同格となる人気ミニバンであるホンダ ステップワゴンの売れ筋グレード「e:HEV SPADA」は、本体価格399.85万円に妥当なオプション装備を付けた際の新車支払総額は約460万円。それに対して走行数kmレベルの2025年式e:HEV SPADA未使用車は総額380万円前後で狙えるため、新車との差額は約80万円になる。

だが総額380万円前後の未使用車には、ディーラーオプションであるHonda純正ナビゲーション「Gathers(Honda CONNECT対応)」が付いていない。つまり総額約380万円で未使用車を購入する際にはけっこうな金額をプラスして、これを装着しなければばらないのだ。

もちろんホンダ純正のGathersナビではなく、量販店などで安価な社外ナビを装着するという手がないわけではない。しかしステップワゴンは――というか最近のほとんどの車はカーナビと連動している機能が多く、それらは純正ナビがないことには動かない。つまり安価な社外ナビを付けるのもご自由ではあるが、決しておすすめとはいえないのだ。

これと同様のことは他の車種にも当てはまる。

例えば、三菱 デリカD:5の最上級グレード「P」の新車に主要オプション装備を付けた場合の新車支払総額は約530万円。それに対し、マイナーチェンジ前の2025年式登録済み未使用車なら総額460万円前後からイケるのだが、これまた460万円前後の未使用車には純正カーナビが付いていない。純正ナビが付いている未使用車は総額490万円以上となるため、その程度の価格差であるならば、いっそマイチェン後の新車を買ってしまったほうが幸せかもしれない。

また2025年10月にビッグマイナーチェンジ行ったスズキ クロスビーの HYBRID MZも、マイチェン前の未使用車ならかなり安く買えそうなイメージはあり、実際、ビッグマイチェン前の2025年式未使用車は安い。大幅改良が行われた新車のHYBRID MZを買おうとすると、主要オプション込みの総額は約280万円になるが、改良前の2025年式未使用車であれば総額215万円からイケるのだ。

「約65万円の価格差」というのは小型車においては相当デカいというか、相当お買い得であるような気もする。しかしこれも例によって純正ナビは付いていない場合の価格差なので、そのお買い得感については割り引いて考える必要があるだろう。

いずれにせよ登録済み未使用車は、一部の例外を除けば新車よりもまあまあ安く買えるのは事実だが、その安さは決して「爆安!」というほどのものではなく「まあまあ」程度に収まる場合が多い。購入時はそのあたりを鑑みつつ、ちょっと安価な登録済み未使用車を買うか、それとも、ちょっと高いかもしれないけど、ボディカラーから装備内容まで自分の思い通りに設定できる新車にするかを決めていただきたい。

……というか、比較的高年式な中古車を「とにかく安く!」というニュアンスで購入したいのであれば、狙うべきは登録済み未使用車ではなく「3年落ち」、つまり初度登録から考えて1回目の車検タイミングに相当する年式の中古車だろう。これであれば、さすがに登録済み未使用車ほどバリバリの新しさを感じることはできないが「まあまあの新しさ」を、けっこうな安価にて入手できる。

ごく一部の例外を除き、どんな車種でも初回車検のタイミングで中古車相場は大きく下がるもの。2026年1月中旬現在、特にお買い得と思えるのは下記の5車種だ。

● ホンダ ヴェゼル e:HEV Z(2WD)

  • ホンダヴェゼル

新車のe:HEV Zを買うとなると主要オプション込みの総額は約380万円だが、3年落ちで走行2万km台までの中古車(※ただしマイチェン前)なら、総額270万円からイケる。

● 日産 ノート X(2WD)

  • 日産ノート

新車のXを買うとなると主要オプション込みの総額は約280万円だが、3年落ちで走行2万km台までのプロパイロット付き中古車(※ただしマイチェン前)なら、総額170万円からOK。

● トヨタ シエンタ HYBRID Z 2WD(7人乗り)

  • トヨタシエンタ

新車のHYBRID Zを買うとなると主要オプション込みの総額は約340万円だが、3年落ちで走行2万km台までの中古車(※ただしパノラミックビューモニターが標準装備化される前の世代)なら、総額240万円から狙える。

● トヨタ カローラ クロス HYBRID Z(2WD)

  • トヨタカローラクロス

新車のZを買うとなると主要オプション込みの総額は約370万円だが、3年落ちで走行2万km台までの中古車(※ただしマイチェン前のHYBRID Z)なら、総額280万円から検討可能。

● トヨタ ヤリス クロス HYBRID G(2WD)

  • トヨタヤリスクロス

新車のHYBRID Gを買うとなると主要オプション込みの総額は約290万円だが、3年落ちで走行2万km台レベルの中古車(※ただしマイチェン前)なら、総額220万円から探すことができる。

上記の5車種に関するなかで「ただしマイチェン前」的なことをしばしば記した。安価に狙うことができる中古車には、必ず何らかの“理由”がある。理由がなければ、わざわざ安い価格で販売する必要はないのである。

だがその“理由”が「マイナーチェンジ」や「一部改良」程度のものであるならば、特に敬遠する必要はない。そりゃ最新の新車を買うに越したことはないのは確かだが、装備や顔つきなどが多少違っていたところでヴェゼルはヴェゼルであり、ノートはノートだ。

内外装や機関部分などのチェックを十分に行ったうえで購入するのであれば、これらの「3年落ち系中古車」は、きっとあなたの毎日を幸せにしてくれるだろう。

(文:伊達軍曹 写真:Adobe Stock、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車)