「人生初のクルマ」としての中古車購入 4つの条件、そしておすすめの5車 【伊達軍曹の『中古車こんにちはごきげんようさようなら』】
来る4月より、いわゆる新生活をスタートさせる若人諸君は多いかと思う。その新生活が東京や大阪などのど真ん中で始まる場合は、公共交通機関のみを移動手段として生活しても、何ら問題はないだろう。だがそうではないエリアで新生活を始めるのであれば――それが入学であれ就職であれ「自分のクルマ」は絶対にあったほうがいい。自分のクルマがあるとないとでは、人生および生活における「自由」の度合いが大幅に変わってくるからだ。
……などという講釈をいちいち偉そうに垂れずとも、この春から新生活を始められる諸君はすでに「人生初のクルマ」についての検討を始めているに違いない。失礼しました。
それはそれとして、もしも貴殿らが新車ではなく中古車を検討しているのであれば「中古車評論家」「輸入中古車400勝」を自称している筆者から、いくつかの実践的アドバイスをさせていただきたいと思う。そのすべてを真に受ける必要はないが「使えそうな部分」がもしもあったならば、参考にしていただけたら幸いだ。
まず結論として、貴殿らがどのような中古車を購入しようとも、まったくのご自由である。日本国には「運転ビギナーのフェラーリ購入はこれを禁ずる」というような法規や条例は存在しない。そのため、例えば貴殿がいきなりフェラーリ 458イタリアの中古車を買いたいと思っているのであれば、誰もそれを止めることはできない。お買いになればよろしい。
とはいえ常識的に考えれば、そして貴殿の身を真剣に案じながら本気で提言するのであれば「人生初のクルマ」として購入する中古車は、下記の4つの条件に合致する車種が望ましいはずだ。
● 条件1:あんまり高くない(目安は総額100万円以内)
最初のクルマは、あまり高額ではないモノのほうがいい。これは何も「若造はボロくて安いのに乗ってろ!」的な老害精神から言っているわけではない。最初の一台は、あまり高額ではないクルマを選ぶほうが合理的なのだ。
この話は、クルマ以外のものに例えてみるほうがわかりやすいかもしれない。例えば貴殿が「生まれて初めてのエレキギター」を買うと考えてみよう。
エレキギターというのは現在「安いけど普通に使えるモノ」が5万円ぐらい、「まあまあいいやつ」が30万円ぐらい、「すごくいいやつ」が60万円~というのがざっくりとした相場になっている(※あくまでざっくりです)。
で、最初の一本として30万円や60万円のギターを買うのも、決して悪いことではない。まぁ最初は技術がないため、高価なギターの真価を活かせないはずだが、そんなモノは練習を重ねていけばどうにかなっていく。
真の問題は「ビギナーのうちは、自分の好みを理解できていない」ということだ。
ひと口にエレキギターといってもさまざまな形状のモノやブランドがあり、音を集めるピックアップという部品の方式も、大きく2種類に分かれている。そして、それぞれの音色はまったく異なる。
とはいえ初心者のうちは、それらの中のどれが「自分にとってのベスト」なのかは、なかなかわからないものだ。音質や形状に関する自分の好みというのは練習や本番を重ねていくなかで、まぁ個人差はあるが、最低でも1年ぐらいは時間をかけてつかんでいくものであり、自然とわかってくるものだ。
だがそういった部分がまるでわからないうちに、勢いだけで100万円ぐらいのエレキギターを購入し、1年後に「実はまったく好みではなかったし、自分の演奏スタイルに合わない」ということが発覚したとしたら、どうだろうか? 貴殿が株か何かで大儲けしている人であるならば「仕方ない、別のやつを買うか」で話は済むが、一般的には、ウルトラ超絶後悔とともに日々を過ごすことになってしまうはずだ。
以上はエレキギターでの例だが、クルマもこれとほとんど同じである。「実は自分にまったく合っていなかった」というモノに大金を投じ、後悔の日々を送らないようにするためには、最初の一台は「あんまり高くないやつ」が望ましいのだ。それで経験を積み、様子を見るのだ。
エレキギターの場合は前述したとおり、5万円ぐらいの品物が「安いけど普通に使えるモノ」に該当し、中古車の場合は総額100万円以内ぐらいのモノが、おおむねそれに該当する。そのぐらいの価格の中古車でもごく普通に使えるので「高いやつ」は自分のスタイルがもうちょっと明確になってから購入するようにしよう。
● 条件2:あんまり大きくない(目安は全長4400mm以下、全幅1780mm以下)
条件1の説明で想定文字数の大半を使ってしまったため、以下は端的に進めよう。「最初の一台」に大柄なクルマを選んでしまうと、車体のあちこちを擦ってしまったり、狭い道で進退極まってしまったりもする。自身の身を守り、そして社会に迷惑をかけないためにも、できるだけコンパクトなクルマを選んだほうがいい。とはいえ最近のクルマはどれもそれなりに大きいわけだが、経験上「全長4400mm以下、全幅1780mm以下」ぐらいのクルマであれば、ビギナーでもさほど苦労はしないはずだ。
● 条件3:安全性がまあまあ高い
「人生初のクルマ」というのは、最初のうちは必然的に運転に不慣れであるため何かと危険であり、慣れてきた頃には調子に乗った運転をするようになるため、これまた危険である。そしてクルマというのは、場合によっては自分が死んだり、周囲の人間を死亡させたりする恐ろしい機械でもある。そのため、まずは衝突安全性が高い場合が多い「最近のクルマ」を選ぶようにして、なおかつ、最低でもいわゆる自動ブレーキぐらいは付いている車種を選ぶようにしたい。
● 条件4:運転行為自体を楽しめる車種
何事も最初が肝心である。人生初のクルマに、はっきり言って何の面白味もないドライブフィールばかりが目立つ車種を選んでしまうと「クルマというのはそういうモノだ」と頭と体が認識してしまい、以降のクルマ選びが雑になっていく。そしてクルマ選びが雑になると、運転行為はただただ苦痛な罰ゲームとなり「クルマなんて何だっていいや……」という虚無的感情が人生を支配していくことになる。
「クルマなんて何だっていい」と断じるのもひとつの人生ではある。だが人間は、一般的には「クルマの運転」に人生の長い時間を投入する生き物である。そしてどうせ長い時間をそこで過ごすのであれば、ドライブフィールは良好であるに越したことはない。
必ずしも「スポーティなクルマ」を選ぶ必要はないが、「運転自体が楽しいと思えるクルマ」を初めてのクルマとして選べば、今後の貴殿の人生はより充実したものとなっていくだろう。
以上の条件1~4に合致する中古車は世の中にたくさんあるわけだが、さしあたって代表的であり、なおかつ筆者が若人諸君におすすめしたいのは以下の5車種だ。
● トヨタ アクア(初代:NHP10型)
2017年6月以降の後期型を総額90万円前後で見つけることができ(=条件1)、ボディサイズは全長4050mm×全幅1695mm×全高1455mmとコンパクト(=条件2)。そして運転支援システム「Toyota Safety Sense」も標準装備で(=条件3)、ごく普通の実用的ハッチバックにも見えるが、低い重心を生かした身のこなしはけっこうスポーティでもある(=条件4)。さらには34km/L以上の超絶WLTCモード燃費も誇るということで「とりあえず経験を積むための一台目」としてはほぼ申し分がない。
● トヨタ ヤリス ハイブリッド
メインの価格帯が総額140万円前後となってしまうため「総額100万円以下が望ましい」という条件1からは若干乖離してしまうのだが、そこを押してでも条件4、つまり「運転行為自体を楽しめる車種である」という点で、トヨタ ヤリスのハイブリッド車は選ぶ価値がある。身のこなしはきわめてスポーティで、低回転域からリニアに立ち上がるパワーユニットの力強さは相当の快感。そしてボディサイズは言わずもがなのコンパクトさを誇り、運転支援システムも普通に充実。若干高額なことと後席が広くはないことを除けば、これまたほぼ申し分ない選択肢だ。
● スバル インプレッサ スポーツ(5代目:GT型)
派手なデザインやハイブリッドシステムなどの「飛び道具」は備えていない、比較的地味な5ドアハッチバックではある。だが「スバルグローバルプラットフォーム」の採用などを要因とする走行フィールの良さは尋常でなく、これを最初のクルマとして選べば、まず間違いなく「あぁ、クルマっていいモンだなぁ……」としみじみ実感することになるはず。総額90万円前後で、まずまず好条件な1.6i-Lアイサイトというグレードが見つかるだろう。
● マツダ ロードスター(3代目)
「人生初のクルマ」がオープン2シーターであったとしても、大きな問題は何もない。お若い人であれば、乗車定員2名のクルマであっても生活に支障をきたすことはないはずで、筆者はこれの初代モデルに乗っていた際、普通にコストコなどで大量の買い物もしていた。そしてもちろん「軽量で小ぶりなFRスポーツであり、なおかつオープンカーでもある」という部分がもたらす痛快さと爽快さの記憶は、人生を通じての宝物となるだろう。
現行型(4代目)の中古車はまだ高額であり、初代の中古車も、人気が再燃したためけっこう高い。だが微妙な人気っぷりとなる3代目(NC型/2005~2015年)であれば、総額90万円台にて悪くない一台を見つけることができる。
● プジョー 308 アリュール ブルーHDi(2代目:T9型)
「人生初のクルマ」が輸入車であったとしても、大きな問題は何もない。まぁマイナートラブルの類は国産車よりも高頻度で発生する可能性はあるが、そのあたりも含めて「良き思い出」となるはずだ。人生何事も経験であり、経験は、若いうちから積むに限る。
条件1~4に合致する中古輸入車は数多く存在するが、なかでも特におすすめしたいのはプジョー 308のディーゼルターボエンジン搭載グレードだろうか。1.6Lのディーゼルターボはきわめて力強く、なおかつスポーティでもあり、さらにはハンドリング性能も相当ゴキゲン。これまた、最初のクルマとして選べば「あぁ、クルマっていいモンだなぁ……」としみじみ実感することになるだろう。
ただし全幅は1800mmを超えてしまうため(1805mm)、そこがネックではあるのだが、まぁ慎重に運転しつつ慣れていけば、なんとかなる。
(文:伊達軍曹 写真:Adobe Stock 、トヨタ自動車、SUBARU、マツダ、プジョー)
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