自動車保険の等級はどう決まる?保険料が変わる仕組みと注意点を解説

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自動車保険の等級は、保険料の割引や割増に関わる重要な仕組みです。無事故で契約を続けると等級は上がりますが、事故で保険を使うと、翌年以降の等級や保険料に影響する場合があります。ただし、等級の変わり方は事故の内容によって異なり、同じ等級でも「事故有係数」が適用されるかどうかによって保険料が変わることもあります。

この記事では、自動車保険の等級制度の基本や、等級が上がる・下がる仕組み、事故時に保険を使うかどうかの判断ポイント、さらに等級の引継ぎについて説明します。

自動車保険の等級制度の基礎知識

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自動車保険の等級は、保険料を決めるうえで重要な要素のひとつです。まずは、等級制度の基本的な仕組みから見ていきましょう。

▶︎ 自動車保険の等級制度と保険料の仕組み

自動車保険の等級制度とは、契約者の過去の事故歴や保険の使用状況に応じて、保険料の割引率や割増率を決める制度です。正式には「ノンフリート等級制度」または「ノンフリート等級別料率制度」と呼ばれます。

ノンフリートとは、他社での契約も含め、所有・使用する自動車の契約台数が9台以下の契約を指します。個人の自動車保険では、このノンフリート等級制度が使われるのが一般的です。

等級は1等級から20等級まであり、等級の数字が大きくなるほど、原則として保険料の割引率が高くなります。初めて自動車保険に加入する場合は、原則として6等級からスタートします。また、2台目以降のクルマで新たに自動車保険を契約する場合は、一定の条件を満たすことで7等級からスタートできることがあります。これは「セカンドカー割引」または「複数所有新規」と呼ばれる制度です。通常よりも有利な等級から始められるため、保険料を抑えられる点がメリットです。

ただし、自動車保険の保険料は等級だけで決まるわけではありません。クルマの種類、用途、年齢条件、運転者の範囲、補償内容、過去の事故歴など、さまざまな条件をもとに算出されます。そのため、等級が上がったとしても、契約内容や保険料率の変更によっては、必ずしも保険料が下がるとは限りません。

▶︎ 「無事故係数」と「事故有係数」で保険料が変わる理由

自動車保険では、同じ等級であっても保険料が同じになるとは限りません。等級に加えて、過去に事故で保険を使ったかどうかによって「無事故係数」または「事故有係数」が適用されるためです。

それぞれの違いは、以下のとおりです。

  • 無事故係数:事故で保険を使っていない契約に適用される割増引率
  • 事故有係数:事故で保険を使った契約に一定期間適用される割増引率

たとえば、同じ10等級であっても、無事故で10等級になった契約と、過去に事故で等級が下がって10等級になった契約では、保険料が異なる場合があります。一般的には、事故有係数が適用されている契約の方が保険料は高くなります。

また、事故有係数が適用される期間を「事故有係数適用期間」といいます。この期間は事故の種類によって異なり、3等級ダウン事故の場合は3年、1等級ダウン事故の場合は1年が事故有係数適用期間として加算されます。なお、事故有係数適用期間には上限があり、一般的には最大6年です。複数の事故で保険を使った場合は、事故有係数適用期間が長くなる可能性があるため注意が必要です。

事故有係数適用期間は、1年間事故を起こさずに過ごすと、翌年に1年短くなります。たとえば、事故有係数適用期間が3年の状態で翌年も無事故だった場合、次の契約では2年になります。その後も無事故を続ければ、1年ずつ短くなっていきます。

つまり、事故で保険を使った場合は、等級が下がるだけではありません。事故有係数が一定期間適用されるため、同じ等級であっても保険料が高くなる可能性があります。そのため、事故後の保険料への影響は、翌年だけでなく数年単位で考えることが大切です。

等級ごとの割引率・割増率の目安

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自動車保険の等級は、保険料の割引率や割増率に関わります。一般的には、等級が高いほど割引率が高くなり、等級が低い場合は保険料が割増になる傾向があります。また、7等級以上では、同じ等級であっても「無事故」と「事故有」で割増引率が異なります。事故有係数が適用されている期間は、同じ等級でも無事故の場合より保険料が高くなりやすい点に注意が必要です。

以下は、等級ごとの割増引率の目安です。

等級 割増引率の目安 保険料への影響
無事故 事故有 
1等級 108% 割増
2等級 63%
3等級 38%
4等級 7%
5等級 -2% 割引
6等級 -13%
7等級 -27% -14%
8等級 -38% -15%
9等級 -44% -18%
10等級 -46% -19%
11等級 -48% -20%
12等級 -50% -22%
13等級 -51% -24%
14等級 -52% -25%
15等級 -53% -28%
16等級 -54% -32%
17等級 -55% -44%
18等級 -56% -46%
19等級 -57% -50%
20等級 -63% -51%

上記は割増引率の一例です。実際の割増引率や保険料は、保険会社、契約内容、車種、年齢条件、補償内容などによって異なります。あくまで目安として参考にしてください。

自動車保険の等級が上がるケースと下がるケース

自動車保険の等級は、保険期間中の事故の有無や、保険を使ったかどうかによって翌年の等級が決まります。基本的には、1年間事故を起こさず、保険を使わなければ翌年の等級は1つ上がります。たとえば、現在10等級の人が1年間無事故で過ごした場合、翌年は11等級になります。

また、事故があった場合でも、保険金を請求しなければ、等級上は事故がなかったものとして扱われる場合があります。たとえば、軽い接触事故で修理費が少額だったため、保険を使わず自己負担したケースなどです。

一方で、事故を起こして保険を使った場合は、事故の内容に応じて翌年の等級が下がることがあります。等級に影響する事故は、大きく分けると以下の3種類です。

事故の種類 翌年の等級 事故有係数適用期間 主な例
3等級ダウン事故 3等級下がる 3年加算 他車との衝突、電柱への衝突、対人・対物賠償を使う事故など
1等級ダウン事故 1等級下がる 1年加算 飛び石、盗難、落書き、台風・洪水などによる車両損害など
ノーカウント事故 等級は下がらない 加算なし 人身傷害保険、弁護士費用特約のみを使う事故など

ノーカウント事故のみであれば、ほかに等級が下がる事故がない限り、翌年の等級は通常どおり1等級上がります。

▶︎ 3等級ダウン事故に該当する主なケース

3等級ダウン事故とは、事故1件につき翌年の等級が3つ下がる事故です。代表的な例としては、他のクルマと衝突して車両保険を使った場合や、電柱・ガードレールなどにぶつかって対物賠償保険や車両保険を使った場合があります。また、相手にケガをさせて対人賠償保険を使った場合も、3等級ダウン事故に該当します。

たとえば、18等級の人が3等級ダウン事故で保険を使うと、翌年は15等級になります。さらに、事故有係数適用期間が3年加算されるため、翌年以降の保険料にも影響しやすい点に注意が必要です。なお、1件の事故で対物賠償保険と対人賠償保険など複数の補償を使った場合でも、基本的には事故1件として扱われます。そのため、1つの事故で複数の補償を使ったからといって、等級が重複して下がるわけではありません。

▶︎ 1等級ダウン事故の仕組みと注意点

1等級ダウン事故とは、事故1件につき翌年の等級が1つ下がる事故です。代表的な例としては、飛び石でフロントガラスが割れて車両保険を使った場合、車両が盗難にあった場合、落書きやいたずらで車両保険を使った場合、台風や洪水などの自然災害でクルマが損害を受けた場合などがあります。

たとえば、15等級の人が1等級ダウン事故で保険を使うと、翌年は14等級になります。3等級ダウン事故と比べると影響は小さいものの、保険料に影響する可能性があるため、修理費が少額の場合は保険を使うべきかを事前に確認したうえで判断することが大切です。

▶︎ 保険を使っても等級が下がらないノーカウント事故とは

ノーカウント事故とは、保険を使っても翌年の等級に影響しない事故です。代表的な例としては、人身傷害保険、搭乗者傷害保険、弁護士費用特約などのみを使用するケースがあります。これらの補償のみを使う場合は、事故有係数適用期間も加算されません。ただし、どの補償を使うとノーカウント事故になるかは、保険会社や契約内容によって異なる場合があります。実際に保険を使う前には、加入している保険会社に確認しておくと安心です。

1等級から5等級の「デメリット等級」で注意したいこと

1等級から5等級は、初めて自動車保険を契約する際の6等級より低いため、一般的に「デメリット等級」と呼ばれることがあります。
デメリット等級とは、低い等級により保険料の負担が大きくなりやすい等級区分のことです。前述したとおり、自動車保険では等級が低いほど保険料が高くなりやすく、1等級から4等級では保険料が割増になるのが一般的です。一方、5等級は割増ではなく割引が適用される場合がありますが、6等級以上と比べると割引率が小さいため、デメリット等級として扱われるケースがあります。
デメリット等級になると、次のような影響が出る可能性があります。

  • 保険料が高くなりやすい
  • 契約条件が厳しくなる場合がある
  • 希望する補償内容で契約しにくくなる場合がある
  • 保険会社を変更しても、低い等級が引き継がれる場合がある

低い等級になったからといって、保険会社を変えればすぐに6等級へ戻るわけではありません。自動車保険では、契約者の等級情報や事故有係数適用期間などが保険会社間で確認される仕組みがあります。そのため、低い等級や事故有係数適用期間は、原則として次の契約にも引き継がれます。

特に注意したいのが、「13ヶ月ルール」です。これは、前契約が1〜5等級などの低い等級だった場合、満期日や解約日の翌日から13ヶ月以内は、その等級が引き継がれることがあります。つまり、低い等級を避けるためにいったん保険を解約しても、短期間で新たに契約すれば、低い等級が引き継がれる可能性があるということです。高い等級は一定期間を過ぎると引き継げなくなる一方で、低い等級は一定期間残ることがあります。等級をリセットする目的で保険会社を変えたり、契約を中断したりすることは基本的にできないと考えておきましょう。

事故時に保険を使うかどうかの判断基準は?

事故が起きたとき、「保険を使うべきか」「自分で修理費を払った方がよいのか」で迷うことがあります。保険は万が一の大きな出費に備えるためのものですが、使うと翌年以降の等級や保険料に影響する場合があります。そのため、事故のたびに必ず保険を使うのではなく、自己負担した場合と保険を使った場合の総額を比べて判断することが大切です。保険を使うかどうかを判断するときは、主に次の3つを確認しましょう。

1つ目は、修理費用です。自己負担で対応した場合に、いくらかかるのかを確認します。

2つ目は、保険を使った場合に受け取れる保険金です。車両保険を使う場合は、免責金額が設定されていることもあります。免責金額とは、保険金支払い時に契約者が負担する金額のことです。

3つ目は、保険を使ったことで翌年以降に増える保険料です。3等級ダウン事故であれば、事故有係数適用期間が3年続きます。そのため、翌年だけでなく、数年分の保険料上昇を見て判断する必要があります。

たとえば、修理費が5万円で、保険を使うことで翌年以降の保険料が合計8万円上がる場合は、保険を使わず自己負担した方が結果的に安く済む可能性があります。一方、修理費が50万円など高額になる場合は、等級ダウンによる保険料上昇を考慮しても、保険を使った方が負担を抑えられることがあります。

なお、保険会社へ事故の連絡をしただけで、必ず等級が下がるわけではありません。等級に影響するのは、基本的に保険金を請求した場合です。事故が起きたらまず保険会社へ相談し、保険を使った場合と使わなかった場合で、今後の保険料にどのくらい差が出るのかを確認しましょう。

自分の等級を把握するには保険証券や保険会社のマイページを確認

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自分の現在の等級は、保険証券や保険会社のマイページなどで確認できます。保険の見直しや乗り換えを検討する際は、現在の等級だけでなく、事故有係数適用期間もあわせて確認しておくことが重要です。

主な確認方法は、以下のとおりです。

  • 保険証券で確認する
    契約中の自動車保険の保険証券には、現在の等級が記載されています。紙の保険証券がない場合は、Web証券を確認しましょう。

  • 保険会社のマイページで確認する
    インターネット型の自動車保険では、契約者向けのマイページやアプリで等級を確認できる場合があります。

  • 保険会社や代理店に問い合わせる
    保険証券やマイページで確認できない場合は、加入中の保険会社や代理店に問い合わせる方法もあります。

等級は、保険会社を変更する場合や、クルマを買い替える場合にも関わる重要な情報です。契約を見直す前に、現在の等級、満期日、事故有係数適用期間を確認しておきましょう。

自動車保険の等級を引き継ぐ方法

自動車保険の等級は、保険会社を変更する場合やクルマを買い替える場合でも、原則として引き継ぐことができます。また、一定の条件を満たせば、家族間で等級を引き継いだり、クルマに乗らない期間に等級を一時的に保存したりすることも可能です。ここでは、等級の引継ぎに関わる代表的なケースを見ていきましょう。

▶︎ 家族間での等級引継ぎの条件と注意点

自動車保険の等級は、一定の範囲内で家族に引き継げる場合があります。一般的に、等級を引き継げる主な相手は以下のとおりです。

  • 配偶者
  • 同居の親族
  • 配偶者の同居の親族

たとえば、親が20等級の自動車保険に加入していて、同居している子どもが新たにクルマを使う場合、親の等級を子どもに引き継げることがあります。この場合、子どもが新規で6等級から契約するよりも、保険料を抑えられる可能性があります。特に若い人は保険料が高くなりやすいため、家族全体で見ると大きな節約につながるでしょう。

ただし、親の等級を子どもに引き継ぐと、親が新たに自動車保険へ加入し直す必要が出る場合があります。その場合、親の契約は6等級、または条件を満たせば7等級から再スタートする可能性があります。そのため、等級の引継ぎは誰か1人の保険料だけで判断するのではなく、家族全体の保険料で考えることが大切です。なお、別居している子どもなどには、等級を引き継ぐことはできません。親子であっても、同居か別居かによって扱いが変わることがあるため注意しておきましょう。

▶︎ セカンドカー割引の条件と注意点

通常、初めて自動車保険に加入する場合は6等級からスタートします。しかし、すでに契約しているクルマの等級が一定以上であれば、2台目以降のクルマは7等級から契約できる場合があります。7等級から始められると、6等級から始める場合よりも保険料を抑えられる可能性があります。家族で複数台のクルマを持つ場合や新たにクルマを購入する場合は、適用できるか事前に確認しておきたい制度です。

セカンドカー割引の主な条件としては、以下のようなものがあります。

  • 1台目の契約が、2台目の保険開始日時点で11等級以上であること
  • 2台目以降のクルマで、新たに自動車保険を契約すること
  • 1台目・2台目のクルマが、いずれも自家用8車種であること
  • クルマの所有者や記名被保険者が、所定の範囲に含まれていること
  • 個人契約であること

なお、1台目の自動車保険は、2台目と同じ保険会社で契約している必要はありません。他社で契約している場合でも、1台目が11等級以上などの条件を満たしていれば、セカンドカー割引の対象になることがあります。ただし、適用条件は保険会社や契約内容によって異なります。2台目以降のクルマを購入する場合は、見積もり時にセカンドカー割引を使えるか確認しておきましょう。

▶︎ 自動車保険を解約する前に知っておきたい中断証明書

クルマを売却したり、廃車にしたり、海外赴任などで長期間クルマに乗らなくなったりする場合、自動車保険を解約することがあります。このとき、何もしないまま一定期間が過ぎると、それまで積み上げてきた等級を引き継げなくなる可能性があります。高い等級を持っている場合は、解約前に「中断証明書」の発行を忘れずに検討しましょう。

中断証明書とは、一定の条件を満たす場合に、現在の等級を保存できる制度です。中断証明書を発行しておけば、再び自動車保険に加入するときに、保存していた等級を使える場合があります。

一般的に、中断証明書を発行できる主なケースは以下のとおりです。

  • クルマを売却した
  • クルマを廃車にした
  • クルマを譲渡した
  • 車検が切れた
  • クルマが盗難にあった
  • 海外赴任などで長期間クルマに乗らない

中断証明書には有効期限があり、条件を満たせば最長で10年間等級を保存できる場合があります。ただし、中断証明書を発行するには、主に次のような条件があります。

  • 中断後の等級が一定以上であること
  • 中断する事由が所定の条件を満たすこと
  • 所定の期限内に申請すること
  • 再開時にも一定の条件を満たすこと

条件は保険会社によって異なるため、クルマを手放す予定がある場合や長期間クルマに乗らない場合は、解約前に保険会社へ相談しておくと安心です。高い等級を持っている人ほど、中断証明書を発行しておくメリットは大きくなります。

等級の仕組みを理解して、納得できる保険選びを

自動車保険の等級制度は、単に「等級が高いほど保険料が安くなる」というだけの仕組みではありません。無事故で契約を続ければ等級は上がりますが、事故で保険を使うと等級が下がり、さらに事故有係数が一定期間適用されることで、翌年以降の保険料にも影響します。

そのため、事故が起きたときは「保険に入っているから使う」とすぐに決めるのではなく、修理費用、受け取れる保険金、今後増える保険料を比較して判断することが大切です。修理費が少額であれば、保険を使わず自己負担で対応した方が、結果的に負担を抑えられる場合もあります。

また、等級は保険会社を変えた場合やクルマを買い替えた場合でも、原則として引き継がれます。家族間の等級引継ぎ、セカンドカー割引、中断証明書などを活用すれば、保険料を抑えられる可能性もあります。一方で、低い等級や事故有係数適用期間も引き継がれるため、「保険会社を変えれば等級をリセットできる」と考えるのは適切ではありません。

自動車保険を上手に活用するには、保険料の安さだけでなく、等級がどのように変わるのかを理解しておくことが欠かせません。契約内容を見直すときや事故後に保険を使うか迷ったときは、現在の等級、事故有係数適用期間、将来の保険料への影響を確認したうえで判断しましょう。

(文:GAZOO編集部 写真:Shutterstock)