助手席を倒して寝るのはNG?走行中に気をつけたい「サブマリン現象」

  • 大傾背面の助手席イメージ

長距離ドライブ中、助手席に座る同乗者がシートを倒して眠ることもあるでしょう。シートベルトをしているから大丈夫。そう思うかもしれません。

しかし、走行中に背もたれを倒しすぎると、衝突や急ブレーキの際に体が腰ベルトの下へ滑り込むことがあります。これを「サブマリン現象」といいます。シートベルトが体の正しい位置にかからなくなり、腹部などに強い力がかかったり、乗員がシートから滑り落ちるおそれがあります。

安全な場所に駐車して休むのであれば、背もたれを倒して仮眠を取ること自体は問題ありません。ではなぜ走行中は、寝た姿勢を避けたほうがよいのでしょうか。シートベルトやエアバッグの役割とあわせて解説します。

シートを倒して寝ること自体がダメなの?

  • 背面を傾けすぎる弊害

クルマを停めているときに、背もたれを倒して休むこと自体は問題ありません。長距離を運転して眠くなったときは、安全な場所にクルマを停め、仮眠を取ることも大切です。

注意したいのは、クルマが動いているときです。助手席で眠る場合も、背もたれを大きく倒したままにするのは避けましょう。

シートベルトは、背もたれを必要以上に倒さず、上体を起こして座席に深く腰掛けた状態で使うことを前提に作られています。背もたれを倒しすぎると、腰が前へずれ、ベルトが正しい位置にかかりにくくなります。そのため、衝突や急ブレーキの際に体を十分に支えられないことがあります。

助手席で眠ることそのものが危険なのではありません。どのような姿勢で座っているかがポイントです。

シートベルトは「正しい姿勢」でこそ機能する

  • 適正な背面角イメージ

シートベルトは、正しい位置にかかっていなければ十分な効果を発揮できません。

肩ベルトは首にかからないよう肩から胸へ、腰ベルトは腹部ではなく、腰骨や骨盤のできるだけ低い位置に密着するように着けます。衝突や急ブレーキで体が前へ動こうとしたとき、肩や胸、骨盤で体を支えるためです。

特に腰ベルトの位置は大切です。骨盤から外れて腹部にかかると、強い力が一部に集中しやすくなります。

正しい姿勢で座っているときは、背もたれと座面が体を支え、腰ベルトも骨盤にかかりやすくなります。ところが、背もたれを大きく倒すと、腰が前へずれ、体が座面の上を滑りやすくなります。

シートベルトを着けていても、姿勢によっては十分に役割を果たせません。

体が腰ベルトの下へ滑り込む「サブマリン現象」

  • サブマリン現象イメージ

衝突や急ブレーキで強い力がかかると、乗っている人の体は前へ動こうとします。正しい姿勢で座っていれば、腰ベルトが骨盤を押さえ、前方への移動を抑えます。

しかし、背もたれを大きく倒していると、体が座面の上を滑り、腰ベルトの下へ潜り込むように前方へずれることがあります。これが「サブマリン現象」です。

体が前方へずれることで腰ベルトがずり上がり、骨盤ではなく腹部を強く圧迫するおそれがあります。姿勢によっては肩ベルトが首にかかったり、上体が前方へ大きくずれたりすることもあります。

一見すると、シートベルトを正しく着けているように見えるかもしれません。しかし、背もたれの角度や腰の位置が変わると、衝突時の体の動きも変わります。

エアバッグがあっても安心とは限らない

背もたれを倒しすぎると、エアバッグの効果も十分に得られないおそれがあります。

エアバッグは、衝突時にシートベルトの働きを補う安全装備であり、シートベルトの代わりになるものではありません。シートに深く腰掛け、シートベルトを正しく着けた状態を前提に作られています。

寝たような姿勢では、体の位置が本来想定された場所からずれてしまいます。姿勢によっては、膨らんだエアバッグから強い衝撃を受けることもあります。

エアバッグが備わっているから、どのような姿勢でも守られるわけではありません。シートベルトとエアバッグは、正しく座ってこそ力を発揮します。

助手席だけでなく、後席の姿勢にも注意

  • 後席の乗車姿勢イメージ

姿勢に気をつけたいのは、助手席だけではありません。

後席で足を前へ伸ばしたり、浅く腰掛けたりすると、腰ベルトの位置がずれやすくなります。長距離ドライブでは、眠っている間に体が少しずつずり落ちてしまうこともあるでしょう。

また、後席で横になったり、シートベルトを着けたまま体を大きく傾けたりすると、ベルトが本来の位置から外れてしまいます。

運転席からは後席の姿勢が見えにくいものです。休憩から出発するときは、同乗者が全席でシートベルトを正しい位置で着けているか、あらためて確認しましょう。

どこまでシートを倒してよいの?

  • 正しい乗車姿勢イメージ

では、走行中は背もたれをどこまで倒してよいのでしょうか。

適切な角度は、車種や人の体格によって異なります。何度までなら安全、と一律に決めることはできません。

大切なのは、背もたれの角度だけで判断しないことです。腰を深く掛けた状態で、腰ベルトが骨盤の低い位置にかかっているか確認しましょう。肩ベルトが首にかからず、肩から胸を通っているかも見ておきたいところです。

さらに、背中が背もたれから大きく離れていないか、眠っている間に腰が前へずれていないかも確認します。

長距離ドライブでは、休憩のたびに姿勢を整えるとよいでしょう。しっかり横になって休みたいときは、サービスエリアやパーキングエリアなど安全な場所に駐車してからシートを倒します。

シートベルトは、着け方と座り方まで確認を

長距離ドライブでは、少しでもラクな姿勢で過ごしたくなるものです。ただし、背もたれを大きく倒した姿勢のまま走行すると、シートベルトやエアバッグが十分に機能しにくくなります。

シートベルトを着けているかどうかだけでなく、ベルトが正しい位置にかかっているか、腰を深く掛けて座っているかも確認しておきましょう。

普段は何気なく調整しているシートの角度ですが、衝突時の安全性にも関わっています。次のドライブでは、出発前や休憩後に、同乗者の座り方にも少し目を向けてみてください。

※本記事の画像はAIにより生成したイメージです。

(文・AI画像生成:小松暁子 編集:平木昌宏)