クルマ選びで重視することは?離島クルマ事情 -その8-

大きな島ではもちろん、小さな島であってもクルマは必需品だ。その理由は公共交通が充実していないこと、レンタカーを使いたいときに借りるのが難しいことなどが挙げられる。実はつい最近、筆者はクルマを購入した。今回は、離島の交通事情から筆者が選んだクルマについてお話ししたい。

公共交通機関のダイヤは病院が中心に

島にもバスは走っているが、その運行ダイヤは病院や診療所の利用者の利便性を考慮して組まれていることが多い。そのため、港や空港などに向かう場合、バスだと乗り継ぎがうまくいかないダイヤであることも…。

フェリーを考慮していないダイヤになっていると、人が遊びに来た場合などにタクシーを呼ばなければ身動きが取れないケースもある。そのタクシーも少ない島では2~3台しかいなく、観光シーズンでは数時間待ちも珍しくない。

レンタカーは満車で借りられないことが多い

都市部では、こういった場合に「レンタカーを借りる」という選択肢もあるだろうが、離島では観光産業に力を入れている島でもない限り、思い立ったときにレンタカーを借りるのは難しい。そもそも台数が少ないこと、ゴールデンウィークや盆休み期間中などの多客期に利用が重なることがその理由だ。

引っ越しサービスを頼めないことも

これは島の規模にもよるのだが、島内で引っ越しをする場合、大手の引越サービス会社に依頼することができない。サービス対象地域外という扱いになるのだ。よって、「いつでも使える客車兼荷車」といった位置づけの自動車が離島暮らしでの必需品となると感じていた。

そこで選んだクルマは「軽」「四駆」「MT」のスクラムバン

以上のようなことを考えつつ、先日クルマを買った。マツダ・スクラムバン、平成13年式だ。スズキのエンブレムがついているが、車検証上はマツダ・スクラムバンである。本土に住んでいたときは、軽自動車を買うのならパワーのあるターボエンジンは必須だと考えていたが、信号がなく、センターラインのある道路も数kmしかない環境では特にハイパワーである必要はないと判断し、NA(自然吸気)エンジンモデルを選んだ。

それよりもこだわったのは、「坂が多いこと」、「年に数回は雪が積もること」を考慮し、下りでエンジンブレーキのよく効くMT車で四駆であることだった。まったく踏み固められていないフィールドでは、タイヤ径の大きなジムニーのほうが強いし、大物を積める軽トラックと迷ったが、人が遊びに来てくれたときの利便性を考えると、荷物も人も運べる「軽の箱バン」に軍配が上がった。

走行12万kmをゆうに越えたスクラムバン。バンながらもエアコンはもちろん、キーはリモコン式だしパワーウインドウも装備している。ホンダ・CR-Xに始まり、長いブランクの後にスマートKという実用からかけ離れたクルマばかりを選んできたので、実用一辺倒のカーライフが楽しみでもある。

 

(上泉純+ノオト)

 

[ガズー編集部]