チャイルドシートを助手席につけると危険?やむを得ず設置する際の注意点など

チャイルドシートの助手席設置には賛否両論あります。「危険だ」「非常識だ」という意見もあれば、目の届く範囲にお子さんにいてほしいという親御さんもいらっしゃるでしょう。そこで、チャイルドシートを助手席に取りつけるリスクや、設置する際の注意点などを法律と実際の安全性の観点から解説します。

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チャイルドシートを助手席につけるのはNG?

実は、チャイルドシートの設置位置に関する決まりはなく、助手席に取りつけても法律上では問題ありません。しかし、実際には助手席にチャイルドシートを設置することは自動車メーカーからも推奨しておらず、特に後ろ向きでの設置は大変危険でおこなうべきでないとされています。

実際に起こり得るリスクについて、詳しくは次章で解説するので、順に見ていきましょう。

そもそもチャイルドシートとは?

ベビーシート 「乳児用」の対象年齢は0~1歳頃で、身長70㎝以下・13㎏以下が目安。赤ちゃんを寝かせたまま持ち運ぶことができ、「キャリータイプ」ともよばれる。
チャイルドシート 「乳児・幼児用」の対象年齢は0~4歳頃で、身長100㎝以下・体重18㎏以下が目安。
「幼児用」は9カ月~4歳頃で身長100cm以下・体重9~18kgで支えなくても一人で座れることが使用できる目安。
ジュニアシート 「幼児・学童用」の対象年齢は1~12歳頃で、身長70㎝以上・体重9~36㎏が目安。
「学童用」の対象年齢は4~12歳頃で、身長100㎝以上・体重15~36㎏が目安。

チャイルドシートとは、体が小さくシートベルトだけでは十分な安全を確保できない子どもを衝撃から守るために設置する乗員保護装置の総称です。上記のように、チャイルドシートは年齢に応じて大きく3種類あります。

法律上では、チャイルドシートは「幼児用補助装置」と記載されており、6歳未満まで着用義務がありますが、対象年齢を過ぎてもまだ体が小さい場合は安全を守るために着用すべきです。

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助手席でのチャイルドシートが危険な理由

助手席にチャイルドシートを装着してはいけない理由に、エアバッグとの関係があります。ほとんどのクルマは衝突の際、乗員を守るためにエアバッグが展開します。しかし、開いたエアバッグがチャイルドシートに当たると、チャイルドシートが弾き飛ばされてしまい、乗員に危害を加える可能性もあるのです。

特に後ろ向きに取りつけるチャイルドシートはエアバッグと接触する可能性が強いといえます。それを危惧して「助手席にチャイルドシートを装着してはいけない」といわれているのです。

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やむを得ず助手席に取りつける際の注意点

チャイルドシートを助手席に取りつけることは推奨されていないこととはいえ、違法ではありません。親御さんの中にはお子さんの様子が心配で後方座席に乗せることに抵抗を感じる方もいるでしょう。以下では、やむを得ず助手席に取りつけなければならないときの注意点を解説します。

・前向きのチャイルドシートを使う

チャイルドシートには前向きのものと後ろ向きのタイプがあります。後ろ向きのタイプだと事故時にエアバックに押されてしまうため、危険です。どうしても助手席に設置したい場合は、前向きのタイプを使用しましょう。

・助手席をできるだけ後方に下げる

万が一のときにエアバックによる衝撃から身を守るために助手席はなるべく後方に下げてから、チャイルドシートを設置しましょう。エアバックとの空間を極力広く取ることが肝心です。

・必ず説明書を確認して取りつける

事故が発生した際にチャイルドシートの取りつけ方が間違っていたせいで、子どもを守れなかったというケースはよく起こります。当たり前のことですが、説明書をよく読んでからチャイルドシートを取りつけましょう。

・安全運転を心がける

そもそも事故が起こらなければ、エアバックが作動することもなく、子どもが危険にさらされることもありません。前述した対策を十分におこなった上で、適正スピードを保って安全な運転を心がけましょう。

チャイルドシート着用が免除されるケース

子どもが嫌がるからとチャイルドシート自体を使用しない保護者もいますが、法律上違反であり、命の危険も伴うため、基本的には着用する習慣を身につけさせるべきです。ただし、下記の項目に当てはまる着用が免除となります。

  • 幼児にとって、病気や障害、怪我のためにチャイルドシートの使用が療養上適当でないとき
  • 構造上、チャイルドシートを装置できない座席に幼児を載せるとき乗車させるとき(他の座席において装着できる場合を除く)
  • 運転席を除く座席の数以上の幼児を乗せるために、人数分のチャイルドシートを装着するのが難しいとき
  • 幼児が肥満やその他の身体の状態にあり、適切にチャイルドシートを使用させることができないとき
  • 運転者以外の者がチャイルドシートを使用したままではおこなえない日常生活上の世話(授乳など)を幼児におこなう必要があるとき
  • 路線バスや乗合タクシーなどに旅客である幼児を乗車させるとき
  • 公共の福祉のためにやむを得ない場合に運用される自家用車に幼児が乗るとき
  • 幼児が救急車で搬送されるとき

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チャイルドシートの安全な取りつけ方

チャイルドシートの取りつけ方は説明書を確認するのが一番ですが、どのタイプにも共通する基本の手順を説明します。

1. 後部座席にチャイルドシートを設置する

まず、基本的には後部座席にチャイルドシートを設置しましょう。エアバックの心配がなく、助手席よりも安全です。幼児の体重の目安として、10㎏以下なら後ろ向き、10㎏以上なら前向きに取りつけましょう。

2. チャイルドシートにシートベルトを通す

チャイルドシート自体や説明書の表記を見ながら適正な位置にシートベルトを通します。座席に直接はめ込む「ISOFIX」タイプであれば、シートベルトを通す必要がなく、簡単に取りつけられて便利です。

3. シートベルトを締め付けて固定する

シートに体重をかけて、座席に沈みこませます。安定したら、シートベルトを引っ張りながら締め付けて固定しましょう。腰ベルトがたるんでいないことを確認します。

4. ハーネスなどの長さを調節する

子どもの肩部分にあるハーネスを調節します。子どもが厚着をしているようであれば、上着を脱がせて装着した方が、あとでズレにくくなります。また、背中部分にあるハーネスの通し穴が子どもの肩より上にくるように調節しましょう。緩すぎないか、または逆に締め付けすぎて苦しそうでないか、確認してOKであれば完成です。

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チャイルドシートは安全を一番に考慮しよう

チャイルドシートを設置する際は後部座席に取りつけるのが安全です。とはいえ、どうしても助手席に設置しなければいけない状況もあるでしょう。チャイルドシートを助手席に取りつける際は、事故時に作動するエアバックの衝撃を子どもが受けないためにスペースを広く取ることが大切です。

また、どんなに急いでいても正しくチャイルドシートを取りつけることを忘れてはいけません。チャイルドシートの取り付けミスによる子どもの被害は事前に防ぐことができます。チャイルドシートを使用する際は、お子さんの安全を一番に優先しましょう。

2818年7月(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
2022年12月(GAZOO編集部リライト)

 

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