「Android Auto」「Apple CarPlay」のアプリを試してみた

道案内するだけではなく、高画質なフルセグTVや高音質の「ハイレゾオーディオ」を内蔵していたりiPhoneをはじめとしたスマートフォンに対応していたり、ブルーレイディスクの再生ができたりと、高機能化が進んできたカーナビ。

しかし今、カーナビ以上に多くの人々が使っているスマートフォンの性能向上にともなって、カーナビそのものの形が変化しつつあります。それが「Android Auto」と「Apple CarPlay」です。

そもそも「Android Auto」と「Apple CarPlay」とは?

これらは、スマートフォンを主体とした車載インフォテイメント(通称IVI)です。今までのカーナビでも、スマートフォンと接続して音楽再生や映像出力、ハンズフリー通話はできました。「Android Auto」と「Apple CarPlay」は、カーナビのメインである「ナビゲーション」もスマートフォンで行い、さらにネットワークを使ったサービスを活用する点が異なります。

「Android Auto」であれば、Google社「Android OS」がインストールされているスマートフォン、「Apple CarPlay」であればiPhone/iPadが対応します。近年では、ナビゲーション機能やTV機能を内蔵せず、この2システムの使用を前提にしたディスプレイだけを装備するクルマも出てきました。

今回は、「Android Auto」と「Apple CarPlay」に対応したIVI「スマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)」を搭載する最新SUV「三菱エクリプスクロス」を使い、それぞれの使い勝手や純正アプリ以外のオススメを紹介していきます。

SDAが搭載されているのは最上級グレードの「G Plus Package」のみ。駐車時の安全装備としてバードアイビュー機能付の「マルチアラウンドモニター」もSDAの一機能として装備される
SDAが搭載されているのは最上級グレードの「G Plus Package」のみ。駐車時の安全装備としてバードアイビュー機能付の「マルチアラウンドモニター」もSDAの一機能として装備される

それぞれの基本的な使い勝手は?

使用したスマートフォンは「Apple iPhone 6 Plus」と「ASUS Zenfone 4 Pro」でOSは、どちらも2018年7月28日時点の最新版。まず、基本的なシステムの使い勝手を検証してみます。

「Apple CarPlay」は、シフトノブ横にあるタッチパッドコントローラーで操作ができますが、「Android Auto」は現時点では対応しておらず、タッチディスプレイで操作する必要がありました。また、Androidスマートフォンを接続認証できない場面も。ランチャーアプリでカスタマイズしていたメニュー画面をメーカー純正に戻して、念のため再起動してみたところ接続することができたので、カスタマイズしているユーザーは注意した方がいいかもしれません。

「Apple CarPlay」を接続して最初に表示されるメニュー
「Apple CarPlay」を接続して最初に表示されるメニュー
こちらが「Android Auto」の画面
こちらが「Android Auto」の画面

「Apple CarPlay」ではメニューが大きなアイコンで表示され、初めてでもわかりやすい印象。一方で「Android Auto」は、操作性では一歩譲るものの、音声認識システムや純正マップ「Google Map」の使い勝手の高さが光ります。

「Apple CarPlay」でマップアプリを使用したところ。9月配信予定のiOS 12にてGoogle Mapなどが利用できるようになるようだ
「Apple CarPlay」でマップアプリを使用したところ。9月配信予定のiOS 12にてGoogle Mapなどが利用できるようになるようだ
「Android Auto」の純正地図アプリ「Google Map」
「Android Auto」の純正地図アプリ「Google Map」

従来のカーナビと比較して、「Android Auto」と「Apple CarPlay」の優れている点は2つ。自宅のPCで事前に目的地を設定できること、地図が定期的に無料でアップデートされることです。

オススメのアプリを3つ紹介

「Android Auto」と「Apple CarPlay」は、スマートフォンと同じように、それぞれの純正以外のアプリをインストールして機能を追加していくことができます。アプリを調べてみると、どちらも音楽・ラジオといったミュージック系アプリとハンズフリー機能による通話アプリがほとんどでした。その中から3つ、「Android Auto」と「Apple CarPlay」の双方に用意されるアプリをご紹介します。

カーナビアプリ「Waze」は、地図そのものに秀でた部分はあまりありませんが、「Waze」使用ユーザー同士でさまざまな情報をやり取りできるソーシャル機能を持っています。渋滞に遭遇したときは、「渋滞」ボタンを押すことでその地点が渋滞していることを共有できたり、道路の冠水や通行止めなどの情報を「危険」アイコンで共有できたりします。

「Audible」は、エンターテイメントアプリに属しますが、音楽を再生するのではなく「本」などを再生します。つまり「朗読アプリ」です。小説から英会話レッスン、ビジネス誌に落語まで、ジャンルは多岐にわたります。故・桂歌丸さんの落語「井戸の茶碗」のライブ音源も聴けました。ラジオとは違い、比較的静かなもので、聴き流しながら運転できます。

「Spotify」は、ストリーミング音楽の代表格ともいえます。日本の有名アーティストの人気曲も充実しており、CDで聴くのと同じように高音質で楽しめるもの。好みの音楽を自動で選曲し再生してくれる「Spotify Radio」という機能があり、人気のプレイリストをジュークボックス感覚で利用できます。

アプリの充実はまだまだこれから?

今回、「Android Auto」と「Apple CarPlay」を検証して感じたのは、日本のニーズにマッチングしたアプリがまだほとんどないということです。幅広い世代でコミュニケーションツールとして使われている「LINE」やナビゲーションアプリ「Yahoo!カーナビ」もありませんし、最新ニュースを音声で読み上げるアプリもありませんでした。

日本では、車載型カーナビとスマートフォンとの使い分けがはっきりしているということなのでしょうか。「Android Auto」と「Apple CarPlay」は、レンタカーやカーシェアなどを利用する際にも便利なもの。アプリが充実していくことを望みたいですね。

(取材・文・写真:クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト 車両協力:三菱自動車)

[ガズー編集部]

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