保険はどうなる? 野生動物と接触事故を起こした時の対処方法
都心ではなかなかお目にかかることがない野生動物ですが、地方へ行くとたびたび「動物注意」の標識を見かけます。
もしも、本当に動物が飛び出してきて接触事故を起こしてしまったら、どう対処すればいいのでしょうか。さらに、ダメージを受けたクルマの修理費などは自動車保険で補償されるのでしょうか。分からないことが多い「動物との接触事故」について、対処方法や自動車保険の補償などをソニー損害保険株式会社 経営企画部広報課の福田好成さんにおうかがいしました。
野生動物との接触事故で最初にやるべきことは?
動物との接触事故を起こした場合、「まず行うことは生死の確認」と福田さんは言います。
「生きている場合、小動物であればダンボールに入れるかタオルで包むかなどして、近くの動物保護施設や動物病院に搬送しましょう。しかし、大型動物や小動物であっても暴れて触れない時には、上記施設へ連絡して専門家の指示をあおいでください。また、野生動物は病気を持っている可能性もありますので、保護する際には素手で触らないこと。軍手や厚手のタオルなどで自分の手をカバーして怪我をしないようにしてください」
施設へ搬送した際、治療費はドライバーの自己負担となりますが、一部施設では、野生動物にかかる治療費を無償で対応している所もあるようです。
また、動物が死んでしまった場合には、どのような対応をすればいいのでしょうか。
「一般道なら市役所や町役場、もしくは警察署へ連絡しましょう。高速道路などの幹線道路では、全国共通道路緊急ダイヤル『#9910(24時間受付・通話無料)』へ連絡して、処理の依頼をします。また、死んだ動物をそのままにしておくと、後続車が避けるためにガードレールへ接触したり、対向車線へ飛び出してしまったりと、二次災害を起こす可能性があります。これらを防止するためにも、可能な範囲で構わないので、動物を路肩へ移動しておきましょう。ただし、素手で触れることは衛生面や安全面を考えると大変危険です。必ず軍手などを装着して対応しましょう。また、動物の毛や糞を吸い込まないようマスクを装着することもおすすめします」
全国共通道路緊急ダイヤルは、動物の死体だけではなく道路の損傷や落下物といった異状にも対応しています。ドライバーはぜひ覚えておきたい番号ですね。
動物との接触事故で、自動車保険から保険金は支払われる?
接触した動物が鹿やイノシシなど大きな動物であった場合、多かれ少なかれクルマもダメージを受けますし、同乗者やドライバーが怪我をする可能性もあります。そこで気になるのは、自動車保険は適用されるのかどうか。答えは、「車両保険の種類によっては補償される」とのことでした。
「野生動物との接触事故では、賠償責任を求める相手がいないため、単独事故として扱われることがほとんどです。自動車保険の車両保険には、補償範囲が広い『一般型』と補償範囲を絞った『エコノミー型』の主に2種類があります。野生動物との接触事故でクルマが損傷した場合には、車両保険の『一般型』をセットしていれば、クルマの修理費用などについて、保険金額を限度に車両保険から保険金が支払われます。」
また、「エコノミー型」でも、鳥類など飛来中の動物との接触事故であれば、補償の対象になるそうです。さらに、同乗者やドライバー自身への補償についてもお聞きしました。
「ドライバーが怪我をしてしまった場合も、野生動物との接触事故は単独事故扱いになることに変わりはありません。この場合、自動車保険に自分や同乗者の補償である人身傷害保険や搭乗者傷害特約などをセットしていれば、それらから保険金が支払われます。また、家族以外の同乗者が怪我をした時には、対人賠償保険で補償される場合もあります」
野生動物には所有者が存在しないため、接触事故を起こしても損害賠償の責任はドライバーに発生しません。しかし、野生動物ではなく所有者のいる「ペット」だった場合には、所有者である飼い主へ対しての損害賠償が発生するそうです。
「ペットとの接触事故においては、ドライバーが飼い主へ損害賠償責任を負うことになります。これは、『対物賠償保険』で補償することができますが、治療費などの支払額は、事故の状況やペットの種類など総合的な部分から判断することになります。ちなみに、強制保険といわれる自賠責保険は人を死傷させてしまった場合の補償をする保険であるため、ペットへの補償はありません」
それでは、動物を避けるために対向車と接触したり、歩道を歩いている人とぶつかったりしてしまった場合はどうなるのでしょうか。
「動物を避けるためとはいえ、危険な運転をしてしまったドライバーに損害賠償が生じる可能性が非常に高いです。この場合、クルマや自転車、ガードレールなど物の損害であれば対物賠償保険、人のケガであれば対人賠償保険で補償されます」
クルマの保険料は決して安いとは言えない金額ではありますが、やはりいざという時には大変心強いもの。また、ほとんどのドライバーが任意の自動車保険に加入していると思いますが、自分の運転状況によって保険を見直しておくことも大切ですね。
ロードキル件数No.1の動物はたぬき!
国土交通省の調べでは、ロードキル(野生動物が道路でクルマなどの車両の通行に巻き込まれて死亡すること)の年間件数は、高速道路で4.7万件、国道では7.3万件にのぼるそうです。(※平成29年度「高速道路会社の落下物処理件数」、平成28年度「動物死骸処理の実施状況」より)
また、ロードキル件数で一番多いのが「たぬき」。たぬきは夜行性であるため、夜間にいきなり道路へ飛び出してくるケースが多いとのこと。夜間のドライブではたとえ人気のない道でも注意して運転するように心がけておきましょう。
野生動物との遭遇はめったにありませんし、標識を見ても「まさか飛び出してくることはないだろう」と楽観視している人もいるかもしれません。しかし、標識があるということは、実際に野生動物が生息しており、道路へ飛び出してくる危険性のある場所だということです。
細い道路や夜間のドライブなど、標識を見かけたら「動物が飛び出してくるかもしれない」という想定運転を心がけておきましょう。
(取材・文:ヤマウチカズヨ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
<監修>
ソニー損害保険株式会社
https://www.sonysonpo.co.jp/
[ガズー編集部]
関連リンク
あわせて読みたい!
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
-
-
『簡単にキズが消えた!』初心者でも簡単、コンパウンドで愛車の浅いキズを手軽に修復するテクニック~Weeklyメンテナンス~
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-